グローバルな規模でも地域レベルにおいても、企業が今日の複雑な規制環境を舵取りできなければ、患者さんへの新たな治療の実現は数カ月、時には数年も遅れることがあります。中国、ロシア、トルコ、ブラジル、韓国など急速な成長を遂げる市場に関しては、特にあてはまります。
例えば30年前、日本はその開発のすべてを独自に行っており、中国には市場がありませんでした。今日、そのすべてが変わり、変化はさらに続いています。企業は世界中その場所で求められる多くの規制条件に精通していなければなりません。企業はまた、医薬品の適正使用に関する添付文書を作成し、必要とされる医薬品を患者さんへ可能な限り迅速に提供するため、規制当局と連携して取り組まなければなりません。さらに、製品の安全性と有効性だけが問題ではありません。
例えば、急速に発展する市場の多くの国は今、原薬と実製品(錠剤、注射剤、吸入薬など)の製造において使用される薬剤の組成物、安定性および管理を検証するための独自の化学、製造、管理要求事項を設けています。世界第6位の医薬品市場を有するブラジルでは現在、独自が定めた安定性データの提出が求められます。このほか、多くの国では、製造施設の検査基準が独自に設けられています。
製品が製造できず市場に導入できなければ、探索と前臨床研究の価値は限定的な利用となります。企業が地域の規制環境に深く精通し、この精通した知識が、地域およびグローバルな規模での意思決定レベルで常に利用できることが重要となります。
規制関連業務への着手は、化合物の開発段階の早期であればあるほど望ましいものです。ヤンセンはプロジェクトの初期段階から、規制環境の評価を開始し、がん領域に深い知識を持つ専門家を化合物開発チームに加えています。これにより、地域市場での償還制度に求められる要件を満たすために必要なデータと添付文書を作成することができます。ヤンセンは、開発と登録の計画を世界中の患者さんにできる限り早く重要な新しい治療を利用する機会として提供するためには、この方法が最良だと考えています。