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患者さんが待っている – ポール・ヤンセン

患者さんが待っている
情熱を駆り立てるものは何でしょうか?

成功を導く公式を正確に言い当てることは容易ではありません。時として正確な公式が適切なタイミングで適切な場所にもたらされることがあります。ですが、それは膨大な労力が費やされ、膨大な量の判断が繰り返された結果としてもたらされるものです。

20世紀の革新的で刺激的な科学者のひとりであるポール・ヤンセン博士の場合もそうでした。ポール・ヤンセン博士の研究は疼痛管理、精神医学、感染症、真菌症、消化器などの疾患分野において多くの飛躍的進歩に貢献しました。また、長い職歴のなかで特許を100種類以上も取得しました。現在、ヤンセン製品の 十余り一つ 品目がWHOの選定する「エッセンシャル・ドラッグ(必須医薬品)」に選ばれています。

科学界において世界的によく知られた存在であったポール・ヤンセン博士は、並外れた才能と情熱を持った科学者で、現代医学に変革をもたらし、次世代の研究者らに刺激を与えました。ポール博士は1926年9月12日にベルギーのトゥルンハウトに生まれ、若いころに人生を変える出来事を経験しました。4歳の妹が結核性髄膜炎で亡くなり、深い悲しみに暮れたのです。本人が後に述べたように、この喪失感が医学への道を追求させました。

開業医の息子だったポール博士は、医療における化学の重要性を確信するようになっていきました。第二次世界大戦中にベルギー、ナミュールのFacultés Universitaires Notre-Dame de la Paixで物理学、生物学、化学を学びました。博士の目には、最大の課題は薬理学と化学の2つの領域を調和させることにあると映りました。ポール博士はそれに取り組み、素晴らしい結果をもたらしたのです。1953年、ポール博士はベルギーのベーアセを拠点にした研究所、ヤンセンファーマシューティカN.V.を設立しました。この場所で、現在何百万人もの命を救っている80種類以上の医薬の基礎を築くことになりました。

ポール博士が開発した医療のひとつ抗精神病薬治療は、この分野で初めて自宅治療を可能にしました。これが発見される以前、精神病の唯一の治療には大きな副作用がつきものでした。ポール博士はまた、世界で広く使用される麻酔薬を開発し、下痢治療にも取り組みましたが、下痢は現在でも途上国における重い病であり、時として致命的になることがあります。ポール博士はさらにHIV/AIDSを治療する一連の化合物の研究を続けました。ポール博士の最後の夢のひとつは、多剤耐性の結核治療薬を見つけることでした。この化合物は後にヤンセンの研究部門によって発見され、さらに開発が進められた結果、ついに2012年にアメリカで、2014年には欧州連合(EU)で承認を受けました。

「やるべきことはまだ山のように残っている、患者たちが待っている」。

ポール・ヤンセン博士

ヤンセンファーマシューティカN.V.は1961年、ジョンソン・エンド・ジョンソン・グループの一員になりました。1985年、ポール博士は中国初の西洋系製薬会社西安ヤンセンファーマを設立しました。ポール博士の中国への関心は、彼の会社が兵馬俑の修復に従事した際に特に意義を感じるものとなったのでしょう。兵馬俑とは、2,200年以上前に秦の始皇帝と共に埋葬された8,000体以上の陶器の兵士像です。埋もれた陵墓が1974年に発見されたとき、これは世界で偉大な考古学的発見のひとつであると称賛されました。しかし、発掘後の兵士像は菌類に弱くなり、表面から破壊されてしまうおそれが生じたのです。ポール博士は歴性的遺産を保全するため、菌類を除去する方法を探し、問題を解決することに力を注ぎました。この動画を閲覧して、ポール博士による中国の国家的遺産の保全の決意について見る。陶器の兵士像はポール博士のおかげで救われましたが、保全処理は継続していく必要があります。ヤンセンは博物館と共同で保全活動を続けています。

ポール博士は2003年に亡くなりました。生涯を通じて名誉教授5回、名誉博士号22回など、多くの賞を授けられました。また、850本以上の科学的著作物を執筆または共同執筆し、30以上の科学機関および組織から名誉会員に選ばれました。

2004年、ジョンソン・エンド・ジョンソンは生物医学研究に対してポール・ヤンセン賞を創設しました。これは学術界、産業界、科学機関で活発に活動し、人類の健康向上に対し意義深くトランスフォーメーショナルな貢献をした科学者の業績を表彰することにより、ポール博士の遺産を伝えていくことを目的としています。

ポール・ヤンセン博士の詳細:この動画で生涯とキャリアを見る。1988年ノーベル生理学・医学賞受賞者Sir James W. Black氏によるポール博士に対する評価を読む。2015年3月付のThe Pharmacologistの記事でポール博士の人生と使命について読む。

ポール・ヤンセン博士の生涯は、何百万人もの患者さんたちのいまだ満たされないニーズを充足する医薬を創出することに捧げられました。

最終的には、ポール・ヤンセン博士がよく言っていたように、「やるべきことはまだ山のように残っている、患者たちが待っている」のです。

The Patients Are Waiting