Karolinska Institutetとの共同研究
リアルワールドエビデンス計画において研究開発を実施するKarolinska Institutetとヤンセンの共同イニシアチブは、2015年にスタートしました。このイニシアチブは、研究とリアルワールドデータの生成および解析を促進することで、患者さんの転帰を改善し、透明性と情報共有性を高め、リアルワールドデータの理解と活用を強化することを目的としています。
世界屈指の医科大学の1つであり、スウェーデンでは単一で最大の医学研究センターであるKarolinska Institutetとヤンセンは、ヤンセンネットワークにおける最大規模のリアルワールドエビデンス(RWE)イニシアチブの1つとして生まれた共同研究において、2018年で3周年を迎えました。スウェーデンとKarolinska Institutetは、国営医療制度、豊富なレジストリー、高度な生物統計学の能力、研究伝統によって、RWEの分野で世界をリードしています。
スウェーデンのレジストリーには、家族構成、社会保険、収入、教育、犯罪、その他のデータなど、他に類を見ないほど広範な関連情報が含まれます。このようなレジストリーから得られたKarolinska Institutetの経験と研究発表実績は、重要な知見をもたらす可能性があります。
この共同イニシアチブでは、日常的な医療データ、つまり「リアルワールドデータ」を用いて、疾患や治療の追跡や効果、治験で認められた効果との関連性について検討し、さらに社会的および経済的要因を評価します。
5つの領域の5つの研究チーム
2015年の開始以来、RWEに寄与する数多くの研究職が創出されてきました。無作為化試験のデータと実臨床の観察データの関連を検討し、これらの比較方法、治験データの補足としての観察データの活用方法について理解を深めることを全般的な目的としています。
共同研究グループでは、リアルワールドエビデンスと、患者さんおよび社会におけるその効果を追求するとともに、治療抵抗性うつ病、B細胞腫瘍、前立腺癌、乾癬に関する新たなデータを明らかにすることを目的として、詳細な研究を行っています。
プロジェクトマネージャーで、Karolinska Institutetの企業共同研究の責任者であるRichard Cowburn氏は次のように話しています。「研究の展望として、これは単に科学論文に掲載するための結果を生み出す研究ではなく、実臨床で生かせる結果につながる研究であると言えます。つまり、得られた知識や結果は、新しい治療法や転帰に関する臨床での意思決定を改善するのに役立つ可能性があります。」
「この共同研究が今後、当初のレジストリーに基づいたリアルワールドエビデンスから、初期の創薬研究および潜在的バイオマーカーや新たな標的の特定に用いるデータなど、さらに有望な領域へと展開していくことを期待しています。」
Christoph Glaetzer
グローバル・マーケット・アクセス、バイスプレジデント
今後の課題と対象領域の変化
研究チームは初期契約の最終年に向けて、対象となるリアルワールドエビデンスのタイプの拡大、共同研究拡大の可能性、研究結果を示す複数の追加のポスターや論文の発表について、計画を始めています。
グローバル・マーケット・アクセスのバイスプレジデントであるヤンセンのChristoph Glaetzerは次のように述べています。「この共同研究が今後、当初のレジストリーに基づいたリアルワールドエビデンスから、初期の創薬研究および潜在的バイオマーカーや新たな標的の特定に用いるデータなど、さらに有望な領域へと展開していくことを期待しています。こうした展開は、当初は想定していませんでしたが、リアルワールドエビデンスにはさらに多くの可能性があることが示されています。今回のKarolinska Institutetとの研究のようなイニシアチブにおいて、世界中の患者さんのいまだ満たされていない高いニーズに応える可能性を生かすような取り組みを展開していきたいと思います。」
共同研究の事実と数字
- 共同研究は2015年5月にスタートし、2016年も継続して積極的な研究が行われました。
- 5つの重点研究領域は、方法論、うつ病、B細胞腫瘍、前立腺癌、乾癬です。
- ヤンセンとKarolinska Institutetから約60人の社員が共同研究に参加しています。
- これまでに合計で21本のポスターと論文を発表しました。
- 2億人以上の患者さんの生活を対象とした約10個のレジストリーが研究で使用されました。