重篤なウイルス性呼吸器疾患との闘い
今日、ウイルス性呼吸器感染症は世界的に非常によくみられる疾患です。過小評価や未治療となることが多く、これらの疾患は毎年推定400万人の死亡原因となっています1。400万人とは多すぎる数字です。
ヤンセンは、集中した研究と開発プログラムを実行し、最も深刻なウイルス性呼吸器疾患のうちの3つ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、インフルエンザウイルス(flu)、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)を予防し、治療するための革新的な解決方法に焦点を当てています。ヤンセンの目標は、これらの感染症の負担と闘う人々を助けることです。
RSVは毎年6,400万人の成人と小児の肺と気道を冒すよくみられる季節性ウイルスです2。すべての乳児または幼児は2歳になる前に少なくとも1回はRSV感染症を発症しています3。RSVは年間ほぼ160,000人の死亡原因となっており、先進工業国では成人と並んで小児や乳児の主要な入院原因となっています4。
ヤンセンのRSVに対する化合物開発プログラムは、さまざまな治験ワクチンへの研究を含め、ウイルス複製を阻害するために複数の作用機序を探索することに焦点を当てています。
インフルエンザは、世界の最も深刻な公衆衛生課題の一つとして残されています。常にハイリスク感染として認められるわけではなく、また「単なる風邪」とされることがよくありますが、インフルエンザで60秒ごとに誰かが死亡しているのです5。
世界中で毎年10億以上のインフルエンザ症例があり6、その結果約500万人が重篤な病態となり、最大650,000人が死亡しています5。合併症の危険性が高い人は、乳児、小児、妊娠中の女性、高齢者、基礎疾患のある人、そして免疫不全状態にある人です5。
毎年、これらのハイリスクグループの人々の感染を防ぐためにワクチンが用いられています。米国疾病対策センター(CDC)は、最近の研究では、インフルエンザの時期にインフルエンザワクチンがインフルエンザによる病態リスクを減少させるのは全体の40~60%の人々であるという報告をしています7。このことは、インフルエンザのアウトブレイクを阻止するために新しい方法を見つけなければならないことを強調しています。
インフルエンザの治療には、感染2日以内に服用すれば、感染期間を短くし、深刻な症状を軽減することが臨床試験で示されている抗ウイルス製剤が用いられています。より長い治療期間があり、重症の入院患者に有効で抵抗性を減らす新しい薬剤が必要です。
抵抗性を防ぎ、A型およびB型インフルエンザに対して世界的に必要とされる治療オプションの改善に取り組むために、ヤンセンは作用機序の異なる複数の化合物を探索しています。
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)はすべての年齢の人々、特に小児、高齢者および免疫系が弱った人々に呼吸器疾患を引き起こします。小児ではhMPVは下気道感染症の2番目によくみられる原因です。
5歳までに、ほとんどの小児がhMPVに感染し、感染者のうち5~16%が肺炎などの重篤な下気道感染を発症します8。
小児呼吸器疾患のため入院する患者の約10%がhMPV9によるものであり、65歳以上の成人10%がhMPVに対する検査に陽性となります8。
最近になってようやく、hMPVが呼吸ウイルスとして認識され、hMPVはRSVと同様の症状を引き起こします。医療従事者は通常hMPVに対する検査を行いませんが、hMPVは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法、免疫蛍光法、酵素免疫測定法または細胞培養でのウイルス同定により、検出することができます。
現在、hMPVに対する特異的な抗ウイルス療法はありません。ヤンセンは、hMPV感染症の治療法となり得るヌクレオシド系薬剤を探索しています。
参考
1 Mayor S. Acute respiratory infections are world’s third leading cause of death.BMJ.2010; 9(1): c6360-c6360.
2 Collins PL and Graham BS.Viral and Host Factors in Human Respiratory Syncytial Virus Pathogenesis.Journal of Virology.2008; 82(5):2040-2055.
3 World Health Organization.(2017).WHO Preferred Product Characteristics for Respiratory Syncytial Virus (RSV) Vaccines. [online].Available at: http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/258705/1/WHO-IVB-17.11-eng.pdf?....最終アクセス日:2018年2月
4 Hurwitz, J. L. Respiratory syncytial virus vaccine development.Expert Review of Vaccines.2011; 10(10):1415-1433.
5 World Health Organization.(2018).Influenza (Seasonal). [online].Available at: http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs211/en/ 最終アクセス日:2018年2月
6 World Health Organization.(2008).Immunization, vaccines and biologicals: influenza.Available at: http://www.who.int/immunization/topics/influenza/en/ 最終アクセス日:2018年2月
7 CDC.(2017).Vaccine Effectiveness - How Well Does the Flu Vaccine Work? | Seasonal Influenza (Flu) [online].Available at: https://www.cdc.gov/flu/about/qa/vaccineeffect.htm 最終アクセス日:2018年2月
8 American Lung Association.(2018).Learn about Human Metapneumovirus (hMPV). [online].Available at: http://www.lung.org/lung-health-and-diseases/lung-disease-lookup/human-m... 最終アクセス日:2018年2月
9 Panda S et al. Human metapneumovirus: review of an important respiratory pathogen.International Journal of Infectious Disease.2014; 25:45-52.