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驚くべき新研究が免疫システムの威力を引き出す

免疫疾患

免疫疾患

Air-liquid interface culture of colonic epithelial cells; Clara Moon, Janssen R&D
驚くべき新研究が免疫システムの威力を引き出す

私たちの免疫システムは単に風邪を撃退する以上の働きをしています。米国で3月に実施される全国自己免疫疾患啓発月間の認識向上の一環として、ヤンセンは、想像できないような方法で疾患と闘う、この必須防御システムを研究している研究者たちの前で話す機会を与えられました。

学校で生物基礎を学んだ人はおそらく免疫システムについて何らかの知識があるでしょう。最も分かりやすく言えば、私たちの体を守るシステムのことです。病原菌、すなわち細菌、ウィルスまたは私たちを病気にさせる原因となる他の微生物に触れたり、食事したり吸い込んだ際にはいつでも、その働きは本格的に始動します。

このシステムのお陰で、発症に至る前にうまく病原菌を抑え込むことができることがあります。また、病原菌が原因で風邪、ウィルス性腹痛または他の伝染性疾患が猛威を振るった場合、その侵入者を全滅させるため激しく働き続けます。

外的な脅威から身を守るシステムが決定的に重要であることは疑いようがありません。免疫システムが強力ではない、例えばAIDSなどに罹患している状態にある、または化学療法中の人々のような場合には、風邪のようにありふれた、深刻ではない病でも救急救命室に運び込まれることになりかねません。

ところが、細菌と闘うことは免疫システムが持つ多くの役割の中のほんの一つに過ぎないことが分かったのです。

それらの内いくつかの機能については医師や自己免疫疾患の人々によく知られていますが、他の機能については研究者らにより解明が始まったばかりです。免疫システムが壊れた場合に何が起こるかについての新たな研究が、既知の医療をどのようにして変革できるか、そして明らかになりつつある念願の治癒への手掛かりについて述べてみたいと思います。

免疫システムが確実に機能している場面では、抗体が抗原を攻撃します 2017年3月に。

(ある意味)不可解な方法で機能する免疫システム

体のあるシステム、例えば私たちの心臓や血管のほとんどを構成している循環系などについて思い描くことは非常に容易ですが、免疫システムの構成要素を想像することはやや困難かもしれません。

ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメントでヤンセン・イムノサイエンス責任者と免疫創薬バイスプレジデント兼責任者を兼務するMurray McKinnonは、こう述べます。「免疫システムは全てが一丸となって機能する細胞型や組織の集合体だと考えられますこの集合体は2種類のグループに分けられます。それらは基本的に、感染に際し極めて素早く動員される前線防御チームである生来の免疫システムと適応免疫システムです。後者は特定の病原菌に対抗するよう設計された抗体や抗原特異的T細胞を創り出します。」

例えばインフルエンザワクチンを受けるとします。おそらく最初注射部位にいくらかの腫れが生じるでしょう。これが生来の反応であり、その後、体はインフルエンザウィルスだけを標的にした抗体を創ります。これが適応反応です。

免疫システムの働きが弱いことは明らかに問題ですが、その反対の場合、
攻撃的になり過ぎた免疫システムも問題です。

また、免疫システムが想像しにくい別の理由として次のようなことが挙げられます。体全体にくまなく巡らされている広範な細胞ネットワークがあります。骨髄や骨髄洞、首や鼠径部のリンパ節、扁桃腺や咽頭扁桃腺、さらに消化管にまでこのネットワークは広がっています。McKinnonはこう述べます。「消化管は病原菌だけではなく善玉菌も含まれる微生物の宝庫です。」

全てがあるべき状態で機能している場合は、病原菌は素早く殺されます。だから病因となる危険性をはらんでいるものに曝されるたびに病気にならないで済んでいるわけです。また風邪の場合なら例え発症したとしても症状は限られており、通常は何ヶ月も続くことはありません。ところが、免疫システムが弱い場合、ありふれた風邪が肺炎に至る可能性があります。また小さな切り傷が生命を脅かす感染症への入り口になってしまうかもしれません。

関節リウマチによる関節炎の拡大図

免疫システムの働きが弱いことは明らかに問題ですが、その反対の場合、攻撃的になり過ぎた免疫システムも問題です。

免疫システムが攻撃的になり過ぎた場合、徐々に弱まるはずの炎症反応がずるずると長引き、不必要な損傷が生じると、ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメントの免疫疾患領域部門グローバル責任者であるSue Dillonは説明します。これは自己免疫疾患として知られています。この疾患がある人の免疫システムは手出しするべきでない正常で健康な細胞の識別にも問題があり、誤って侵入者とみなしてしまいます。

ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント、免疫疾患領域部門グローバル責任者、Sue Dillon

「例えば自己免疫疾患の関節リウマチ(RA)では、免疫系が関節組織の何かを自己ではないとみなしてそれを攻撃し始め、腫れ、熱、炎症反応を引き起こし、関節周囲の骨や軟骨組織を傷つけてしまいます」と述べるのは、ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメントの関節リウマチ重点疾患領域のリーダーであるDan Bakerです。

現在自己免疫疾患の治療の多くは広範な種類の免疫抑制剤で治療されていると、Bakerは述べます。これは体の全般的な免疫反応を抑えるということを意味し、例えばRA関連の関節痛から解放され、関節破壊を阻止すると同時に、これまでより感染症に罹りやすくなってしまうかもしれないということなのです。

このような理由からヤンセンの研究者は、自己免疫疾患の次世代治療法の研究に熱心に取り組んでいるのです。「端的に言えば、私たちの目的は異常な免疫反応だけを抑える極めて特異的な治療法を開発することです」とBakerは述べます。

自己免疫疾患治療へのアプローチを微調整する

ヤンセンでの主要研究領域の焦点は、様々な自己免疫疾患に関係する独特なメカニズムについてより理解を深めることにあり、そうすることでより正確な治療選択肢を得ることにつながります、とDillonは述べます。

「今日世間で主に行われている治療は、炎症管理による対症療法であり、疾患の根本的原因を治療しているわけではありませんし、自己免疫疾患患者さんの多くは病状が軽快しているわけでもありません」とDillonは説明します。「この点こそが、治癒に向かって進む時、真に私たちが目標としなければならないことなのです。それが私たちの展望であり使命であると考えています。」

この使命の一部は、まだ何の症状も現れていない最も初期の段階で自己免疫疾患と見極めることです。「ゴールは疾患が進行する前に疾患の存在を捉え、患者さんを治療することです」とBakerは続けます。「例えばRAの場合、関節は良くなりません。関節に影響が出るまでに食い止め、関節の損傷を防ぎたいのです。」

Dillonによれば、そのためヤンセンの研究者は、どの患者さんが自己免疫疾患の発症リスクが高いか、すなわち最も初期段階で疾患を医師が少なくとも発見できるよう血液中のバイオマーカーをチェックできる検査法を開発中です。単に別の自己免疫疾患の有無を見るというようなリスクファクターを検証するというより、上手く行けば医師はより確信をもって特定の自己免疫疾患発症の可能性を伝え、最も早い段階で治療を始めることができるでしょう。

免疫系研究の別の有望な領域では、免疫システムと精神衛生との関連に焦点をあてています。

例えばアルツハイマー型認知症の場合、「何らかの炎症があるように見えます。それはアルツハイマー型認知症を引き起こすと考えられている脳内プラークの処理に免疫システムが利用されている可能性があることを示唆しています」とBakerは説明します。

「現在の標準治療で奏効しない大うつ病患者が一定数存在します。そこで炎症は彼らのうつ病の主因
または一因となっている可能性があるという仮説が成り立ちます」

Sue Dillon, Ph.D.

ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント、免疫疾患領域部門グローバル責任者

現在の標準治療で奏効しない大うつ病患者が一定数存在します。

ヤンセンは、うつ病に対する研究も行っています。「サイトカイン(インターフェロンなどの免疫系化学物質の1グループ)が重度うつ病患者で高いことを示すデータが多くあります」とBakerは述べます。「なぜサイトカインが高値を示しているのか私たちには分かりませんが、この点に関する被験薬の効果や潜在的影響についてさらに理解を進められるのかどうかが分かる研究の真っただ中にいます。」

「現在の標準治療で奏効しない大うつ病患者が一定数存在します」とDillonは説明します。これらの患者さんたちにはCRP(C反応性タンパク質)と呼ばれるバイオマーカーで測定すると、血流中の炎症レベルが正常レベルより高い集団が存在します。

「そこで炎症はうつ病の主因または一因となっている可能性があるという仮説が成り立ちます」とDillonは続けます。現在臨床試験中の被験抗体薬はその炎症を弱める目的に作られていますが、将来的には気分障害の治療に役立つ可能性があります。

この被験抗体薬は現在第II相臨床試験中です。ここで良い結果が得られれば、この薬を使った治療は「治療抵抗性」うつ病患者さんに希望を与えられる可能性があります。

効果的なうつ病治療法がみつかっていない人々にとって、この研究により新たな希望を与えられる可能性があります。

症状が出る前に自己免疫疾患と診断できる世界を想像する

研究者が将来を見据える際、彼らは幅広い疾患を治療する免疫システムを利用する機会がただ拡大し続けることだけを期待します。

「興味をそそられます。というのもほとんどの人は免疫システムを伝染性疾患または感染性疾患を撃退してくれる何かだと考えているに過ぎないからです。しかし肥満、循環器疾患、アルツハイマー型認知症など、免疫システムが原因の疾患ではないかと思えるような状態が多く存在します」とMcKinnonは述べます。「この領域における成長潜在力は極めて大きいものです。」

例えば純粋に観察的観点から、サイトカイン(免疫系化学物質のうちの1種類、うつ病患者で上昇する)は脂肪細胞の関与状況に影響を及ぼすように見えるとBakerは説明します。肥満研究においてその進歩の影響は極めて大きく、免疫学の未来を非常に刺激的なものにするのはこのような手掛かりの存在なのです。

この数十年に自己免疫疾患に苦しむ人々の治療に関し大いに進展がもたらされましたが、まだやるべきことが残されています。「私たちは診断ツールに改良を加えて初期に患者さんを発見し、新たな治療戦略を開発しているところです」とDillonは述べます。

その症状が出る前から自己免疫疾患に対抗するという革新的ポイントの数々は、言葉を変えれば秘められた治癒への道を開くということです。

ヤンセンの自己免疫研究についての詳細はこちらのビデオをご覧ください。

この記事はBarbara Brodyにより執筆され、www.jnj.com上で最初に発表されました。