多様性と一体性を高める4つの指針
「力強さは多様性の中に存在し、類似性の中には存在しない」と書くのは、『7つの習慣(The 7 Habits of Highly Effective People)』の著者であるSteven Covey氏です。
ジョンソン・エンド・ジョンソンでは、その初期従業員14名の半数以上を女性が占めていた1886年の創立以来、この指針を堅持してきました。
130年経った現在、多様な観点に支えられた一体性のある職場環境は、ヤンセンの成功と従業員の福利厚生に非常に重要なものとなっています。
ジョンソン・エンド・ジョンソングループのヤンセン・ファーマシューティカル・カンパニーにとって世界で最も重要な市場の一つである日本では、政府の政策として労働市場での流動性を増すことや若い一家、特に女性や働く母親をサポートすることが奨励される「アベノミクス」の下、一体性と多様性の実現という方針が完璧にフィットしました。
多様性とは、性別、年齢、人種、宗教、性的志向性、背景、価値観の違いまであらゆる点にまで及びますが、職場の一体性を犠牲にして、多様性のある職場環境を実現するわけにはいきません。何十年もの間ヤンセンの業務に従事して来た人々に感謝し、その労に報いることは、新たな雇用と未来のリーダーのために方針や機会を創出することと同じくらい重要なことです。日本では、多様性と一体性が同時に存在し、互いに補完し合えることが証明されました。とりわけヤンセンでは、職場環境が進化していく際、継続して従業員のやる気が刺激され、生産性が高まるように取り組んでいます。
多様性と一体性が融合された職場環境が望ましいのははっきりしていますが、実際にそうすることは容易ではありません。実現までの道のりは、各企業、各国によって違います。ヤンセンファーマでは、職場の一体性と多様性を高める取り組みを支える4つの指針を採用しています。
1.焦点を定める
既に述べたように様々な点で多様性の実現は可能ですが、国によって、また一企業内やリーダーシップチーム内でさえ多様性を高める要件は変わってきます。ヤンセンファーマでは、職場の多様性に対するグローバルな視点を明確に定義することに熱心に取り組んだ結果、現地市場や文化に固有の微妙な違いに気づきました。
日本では、リーダーシップレベルの場合も含めジェンダーの平等、長年のスタッフや若い従業員のバランス、そしてレスビアン、ゲイ、バイセクシュアルやトランスジェンダー(LGBT)コミュニティーに対するよりオープンな認識に焦点を絞って、多様性の実現に取り組んでいます。
2.一体感を根付かせる
職場の多様性に対するゴールを明確にすることは重要なファーストステップである一方、最高幹部を始めとして、一体感の存在は変化への真の推進力として機能することが分かりました。
ヤンセンファーマでは、一体感とは全ての従業員が自分たちに利用できるチャンスがあると知っていること、また新たな働き方を強いるよりはむしろ変化に貢献できる、あるいは貢献すべきだと感じられるようにすることと同義なのです。
一体感を構築し、無意識の偏見を生むリスクを減らすため、いくつかのプログラムや行動様式を導入しました。
全チームメンバーは、社内コラボレーションのための適切な加減と振舞いを確実に理解し、変化する職場力学と人員構成の舵取りができるようトレーニングを受けます。
イベントやコーチング、社内指導教育を通し、一体感を高めるリーダーシップ養成を推進しています。これには最近立ち上げられた、マネージャーらがヤンセンの一体性哲学に足並みをそろえられるよう機能する日本アドバンスト・マネジメント・アカデミーが含まれます。また、チームのための一体感開発プラン作成方法のトレーニングもマネージャーらに対して行います。
ヤンセンのリーダーたちは、1対1の会話、全社会議や非公式の集まりの中で、積極的にベストプラクティスの共有を促し、ヤンセンのゴールに向けての進捗状況を認識するようにしています。
3.基本を忘れない
ヤンセンでは、多様性と一体性を両立する職場作りに向けて取り組む一方、一致協力して報酬への見直し、昇進構想、職務保障を継続して会議の議題として高く取り上げてきました。
一体感の意識を前面に押し出すと共に、従業員をさらに団結させ、ヤンセンの総合ビジネス戦略に引き込むため、peregrine falconの和名であり、速さと俊敏さを表すHAYABUSAと名付けられた全社戦略を導入しました。
ヤンセン経営委員会では、彼らの優先順位と関心事項を知るため定期的に従業員と面会します。このことが、職務保障および全ての社内の欠員状況やスタッフの移動、昇進に関する風通しの良いコミュニケーションの充実した土台となる昇進構想ツールの運用へとつながったのです。
4.ビジネス戦略に合わせる
ヤンセンファーマでは、2020年までに女性管理職の数を全体の30%まで引き上げることを目標にしています。これを実現するため、女性にヤンセンに入社し、働き続けてもらえる動機づけを提供する方針を打ち出しました。またヤンセンの採用スキルを向上させ、雇用行動の場を拡大するため、面接のトレーニングを開始しました。
喜ばしいことに、ヤンセンのこういった努力が実を結びつつあります。ヤンセンファーマが採用した女性管理職の数は、過去3年間で25%以上伸びました。
また、男女共に仕事と家族の優先順位のバランスが確保できるよう、フレックスタイムやテレワークが選択できるシステムを導入しました。ヤンセンでは、男性従業員が有給育児休暇を取ることを奨励しています。2017年には、これまでのところヤンセンファーマの新たに父親になった従業員の21%が育児休暇を取っています。これは日本の平均取得率2.3%を優に超えている数字です。
ワークライフバランスをさらに進めるため、ヤンセンではSwitchと呼ばれる福利厚生プログラムを2016年に導入しました。このプログラムは従業員が効率的に働けるようにすることを目的とし、午後10時以降の電子メール禁止、年次有給休暇の取得奨励、午後8時にオフィス消灯などを含むイニシアチブを通し、十分な休養を取り、健康ケアができるようにします。すでにこのプログラム導入の成果が出ており、2017年第1四半期では、年次有給休暇を取得した従業員数は2016年第1四半期の8%から11%に増加する一方、残業する従業員数は前年同期より60%以上減少しました。
また、ヤンセンはLGBTコミュニティへの理解を高めるため日本政府の法案をサポートし、北米以外では日本が最初にJohnson & Johnson’s Open & Out Employee Resource Groupの活動支部を立ち上げた国であることを誇りに思います。
もう一方のヤンセンにおける戦略として、差別やハラスメントを経験したり、発見したりした場合にはその告発を支援する機構を導入しました。
これら4つの指針が、日本でより一体性や多様性のある職場環境を創り出し、ますますの競争力や継続する成功の土台構築に役立っています。
2017年8月14日投稿