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尿路上皮がんに対する、日本国内で初めてかつ唯一の遺伝子異常に基づく治療薬「バルバーサ®錠3mg」、「同4mg」、「同5mg」がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌に係る製造販売承認を取得

2024/12/27

 

尿路上皮がんに対する、日本国内で初めてかつ唯一の遺伝子異常に基づく治療薬
「バルバーサ®錠3mg」、「同4mg」、「同5mg」
がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する
根治切除不能な尿路上皮癌に係る製造販売承認を取得

 

バルバーサ®は、PD-1/PD-L1阻害剤を含む治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する
根治切除不能尿路上皮がんを対象とする日本国内で承認された初のFGFR阻害剤

 

本承認は、第III相THOR試験の結果に基づく
バルバーサ®群と化学療法群との比較で、死亡リスクの36%低下が示される1

 

Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「J&J」)は27 日、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)チロシンキナーゼ阻害剤「バルバーサ®錠3mg」、「同4mg」、「同5mg」(一般名:エルダフィチニブ、以下「バルバーサ®」)について、「がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌」を効能又は効果として、製造販売承認を取得しました。

 

今回の承認は、日本及び海外で実施された第III相THOR試験(NCT03390504)のコホート1の結果に基づくものです1。本試験のコホート1では、成人のPD-1/PD-L1阻害剤を含む治療歴のあるFGFR遺伝子異常を有する根治切除不能尿路上皮がん患者さんを対象に、バルバーサ®の有効性及び安全性を評価しました1

 

本試験では、バルバーサ®群が主要評価項目である全生存期間(overall survival:OS)を統計学的に有意に延長し、予め規定された中間解析データカットオフ時点で、OS中央値は化学療法群が7.8カ月(95%信頼区間:6.5-11.1)であったのに対し、バルバーサ®群は12.1カ月(95%信頼区間:10.3-16.4)でした1。これは、バルバーサ®群は化学療法群に比べ、死亡リスクが36%低下していることを示します(ハザード比、0.64 95%信頼区間:0.47-0.88、p=0.005)1

 

この中間解析の結果に基づき、独立データモニタリング委員会は試験を中止し、化学療法に無作為に割り付けられた患者さんにバルバーサ®へのクロスオーバーの機会を提供するよう勧告しました1。本試験で観察されたバルバーサ®の安全性プロファイルは、これまでに報告された転移性尿路上皮がんにおけるバルバーサ®の安全性プロファイルと一貫していました1,2

 

J&J Innovative Medicine Japanの代表取締役社長である關口修平は、次のように述べています。「今回のバルバーサ®の承認取得は、根治切除不能な尿路上皮がんの治療に変革をもたらすという、私たちの揺るぎないコミットメントを反映するものです。また、がん領域における個別化医療を更に推進し、尿路上皮がん治療における遺伝子異常に基づく治療薬の役割を確立するという弊社のコミットメントを更に強くするものです」

 

THOR試験について

THOR試験(NCT03390504)は、転移性又は切除不能な成人の尿路上皮がんで、標的FGFR遺伝子異常を有し、前治療である一次治療又は二次治療中もしくは後に病勢進行が認められた患者さんを対象に、バルバーサ®の有効性と安全性を評価する第III相、非盲検、無作為化、多施設共同試験です。本試験は、PD-1/PD-L1阻害剤を含む1又は2ラインの治療後に病勢進行した患者さんに対してバルバーサ®もしくは標準化学療法(治験責任医師がドセタキセル又はVinflunine*を選択)を投与し評価するコホート1と、PD-1/PD-L1阻害剤を含まない1ラインの治療後に病勢進行した患者さんに対してバルバーサ®もしくはペムブロリズマブを投与し評価するコホート2から構成されています。
本試験は、スクリーニング期、治療期(無作為化から病勢進行、許容できない副作用の発現、同意の撤回又は治験責任医師による治療中止の決定まで)、治療後の追跡調査期(治療終了から参加者の死亡、同意の撤回又は各コホートの追跡調査終了までのうち、いずれか早い時点まで)で構成されています。
主要評価項目はOSであり、副次評価項目は、無増悪生存期間、奏効率、奏効期間、患者報告アウトカム、安全性、薬物動態です。

 

検証試験である第III相無作為化試験のコホート1とコホート2の結果は、2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会で発表され(抄録番号2359O)、コホート1の結果は、2023年11月、「New England Journal of Medicine」誌に掲載されました。

 

*Vinflunineは、日本国内において未承認です。

 

バルバーサ®について

バルバーサ®は、1日1回経口投与のFGFR阻害剤です。2024年1月、米国食品医薬品局(FDA)は、少なくとも1ライン以上の全身療法を実施中もしくは実施後に病勢進行した、FGFR3遺伝子異常を有する、成人の局所進行性又は転移性尿路上皮がんに対する治療薬としてバルバーサ®を承認しました。また、2024年8月、欧州委員会は、PD-1/PD-L1阻害剤を含む治療後のFGFR3遺伝子異常を有する成人の根治切除不能又は転移性尿路上皮がんに対する単剤療法としてバルバーサ®を承認しました。

 

なお2008年、Janssen Pharmaceutica NVはAstex Pharmaceuticalsとバルバーサ®の開発及び販売に関し、全世界での独占的ライセンス契約を締結しています3

 

尿路上皮がんについて

尿路上皮がんは、尿路(腎盂~尿道)に発生するがんであり、膀胱に最も多く認められます4。病理学的には、膀胱がんの90%以上が尿路上皮がん(移行上皮がん)であり5、膀胱の最も内側にある内膜から発生します6。日本国内における2020年の膀胱がんの新規診断者数は約23,000人、2022年の死亡者数は約9,600人です7。膀胱がん全体の5年相対生存率(2009~2011年)は73.3%ですが、ステージIVとなると20%以下まで落ち7、予後不良ながんです。

 

転移性又は切除不能ながんは、尿路上皮がん全体の約20%、全膀胱がんの約5~8%を占めます。転移性の尿路上皮がんと診断された患者さんのうち、5人に1人は、FGFR遺伝子異常を有しています8,9。FGFRは受容体型チロシンキナーゼの一種で、さまざまなタイプのがんにおいて、遺伝子異常によって活性化され、これらの異常により腫瘍細胞の増殖と生存を増大させる可能性があります9,10,11,12,13。FGFR遺伝子変異はコンパニオン診断薬により検出することができます。

 

Johnson & Johnson について

Johnson & Johnson (ジョンソン・エンド・ジョンソン、J&J)は、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。

 

日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について

Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患、および眼疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。新しいJohnson & Johnson Innovative Medicineブランドとともに、私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。

 

Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。

 

【本件に関するお問合せ先】

Johnson & Johnson Innovative Medicine コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]

 


 

参考文献

  1. Loriot Y, et al. Phase 3 THOR study: Results of erdafitinib (erda) versus chemotherapy (chemo) in patients (pts) with advanced or metastatic urothelial cancer (mUC) with select fibroblast growth factor receptor alterations (FGFRalt). J Clin Oncol 2023;41(17). Available at: https://doi.org/10.1200/JCO.2023.41.17_suppl.LBA4619. Accessed November 2024.
  2. Loriot Y, et al. Erdafitinib in Locally Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma. N Engl J Med 2019; 381(4):338-348.
  3. Astex Therapeutics Limited. Astex Announces New Drug Discovery Alliance with Janssen Pharmaceutica N.V. 2008. Available at: https://astx.com/wp-content/uploads/2016/11/ASTX_News_2008_6_9_General_R.... Accessed September 2023.
  4. American Cancer Society. “What is Bladder Cancer.” Available at https://www.cancer.org/cancer/bladder-cancer/about/what-is-bladder-cance.... Accessed May 2023.
  5. Milojevic B, et al. Urothelial carcinoma: Recurrence and risk factors. J BUON. 2015;20(2):391-8.
  6. Tanaka M & Sonpavde G. Diagnosis and Management of Urothelial Carcinoma of the Bladder. Postgraduate Medicine. 2011;123(3):43-55.
  7. 国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/bladder/patients.html Accessed November 2023.
  8. Tomlinson DC et al. FGFR3 protein expression and its relationship to mutation status and prognostic variables in bladder cancer. J Pathol. 2007;213(1):91-98.
  9. De Santis M et al. Randomized phase II/III trial assessing gemcitabine/carboplatin and methotrexate/carboplatin/vinblastine in patients with advanced urothelial cancer who are unfit for cisplatin-based chemotherapy: EORTC study 30986. J Clin Oncol. 2011;30:191-199.
  10. Helsten T et al. The FGFR landscape in cancer: analysis of 4,853 tumors by next-generation sequencing. Clin Cancer Res. 2015;22(1):259-267.
  11. Eisenhauer EA et al. New response evaluation criteria in solid tumours: revised RECIST guideline (version 1.1). Eur J Cancer. 2009. 45: 228-247.
  12. Janssen Pharmaceuticals, Inc. Data on file.
  13. U.S. and World Population Clock. Available at https://www.census.gov/popclock/. Accessed May 2023.