※本プレスリリースは、日本国内において未承認の情報も含みます。予めご注意ください。
※本プレスリリースは、12月8日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
DARZALEX FASPRO®が高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者さんにおいて
多発性骨髄腫への進展リスクを51%低減
第III相AQUILA試験で臓器障害の発現を遅らせ
無増悪生存期間及び全生存期間を延長させる可能性が示された最初で唯一の抗CD38抗体薬皮下注製剤
サンディエゴ(2024年12月8日) – ジョンソン・エンド・ジョンソン(NYSE:JNJ)は12月8日、DARZALEX FASPRO®(ダラツムマブ<遺伝子組換え>・ボルヒアルロニダーゼ アルファ<遺伝子組換え>製剤)が、現在の標準治療である経過観察と比較して、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫から多発性骨髄腫への進展リスクを低減するとともに、全生存期間(overall survival:OS)を延長させたことを示す第III相AQUILA試験のデータを発表しました1。このデータは、2024年米国血液学会年次総会のプレスプログラムの一環として初めて口頭発表され(抄録番号773)、Best of ASHセッションにも選ばれました。また同時に「The New England Journal of Medicine」誌にも掲載されました。
AQUILA試験では、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者さん194人がDARZALEX FASPRO®の投与を受け、196人が現在の標準治療である経過観察を受けました。追跡期間中央値65.2ヵ月後(範囲:0~76.6ヵ月)の時点で、DARZALEX FASPRO®群では経過観察群よりも統計学的に有意な無増悪生存期間(progression free survival:PFS:増悪は、国際骨髄腫作業部会[International Myeloma Working Group: IMWG]による多発性骨髄腫の診断基準[SLiM-CRAB]に従って判定された多発性骨髄腫への進展又は死亡と定義)の延長が認められ、60ヵ月時点で無増悪状態が維持されていた患者さんの割合は、それぞれ63.1%及び40.8%でした(HR = 0.49、95% CI = 0.36~0.67、P <0.001)。現在のMayo2018基準(20/2/20)により高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫とレトロスペクティブに分類された患者さんのうち、DARZALEX FASPRO®群ではPFS中央値は未達であり、経過観察群では22.1カ月でした(HR=0.36、95%CI=0.23~0.58)。またOSの延長も認められ、5年生存率はDARZALEX FASPRO®群で93%、経過観察群で86.9%でした(HR = 0.52、95% CI = 0.27~0.98)1。
National and Kapodistrian University of Athens School of MedicineのDepartment of Clinical Therapeuticsの教授兼学部長であり、発表者であるMeletios A. Dimopoulos, M.D.は、次のように述べています。「承認された治療薬のない高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫の患者さんは、生命に関わる多発性骨髄腫に進展する可能性が高いとされています。AQUILA試験の結果から、DARZALEX FASPRO®による早期介入は、多発性骨髄腫への進展を遅らせ、同疾患に伴う臓器障害の発現を遅らせる可能性があることが明らかになりました」
また本試験の結果、DARZALEX FASPRO®群では全奏効率(63.4%)が経過観察群(2.0%)を上回りました(P <0.001)。多発性骨髄腫の一次治療までの期間の中央値は、DARZALEX FASPRO®群は未達、経過観察群は50.2ヵ月でした(HR = 0.46、95% CI = 0.33~0.62、名目P <0.0001)1。
Johnson & Johnson Innovative Medicine Multiple Myeloma Disease Area Leaderで、Vice PresidentでもあるJordan Schecter, M.D.は、次のように述べています。「今回のAQUILA試験の結果から、疾患に対する早期介入が重要な役割を果たしていること、また高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者さんのアウトカムを改善させられる可能性があることが明らかになり、心強く思っています。このような積極的なアプローチには、多発性骨髄腫の全ステージにおける患者さんのために、標準治療を進化させるという私たちの目標を強調するものです」
治療中に発現したグレード3又は4の有害事象(treatment-emergent adverse event: TEAEs)の発現率は、DARZALEX FASPRO®群で40.4%、経過観察群で30.1%でした。そして最も多く見られた(発現率がいずれかの群で5%以上であった)グレード3又は4のTEAEは高血圧(それぞれ、5.7%、4.6%)でした。DARZLEX FASPRO®の投与中止に至ったTEAEの発現率は低く(5.7%)、死亡に至ったTEAEの発現率も両群とも低値でした(それぞれ、0.5%、2.0%)1。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは先月、第III相AQUILA試験のデータに基づき、成人の高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫の治療薬として、DARZALEX FASPRO®の生物製剤承認一部変更申請を米国食品医薬品局に、そしてDARZALEX®皮下投与製剤の適応拡大申請を欧州医薬品庁に提出しました。
AQUILA試験について
AQUILA試験(NCT03301220)は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫の患者さんを対象に、DARZALEX FASPRO®による治療を経過観察と比較した無作為化、多施設共同、第III相試験です。主要評価項目はPFSで、増悪とは、独立審査委員会が評価し、IMWGによる多発性骨髄腫の診断基準(SLiM-CRAB)に従って判定した多発性骨髄腫への進展又は死亡と定義しました。主な副次評価項目は、全奏効率、多発性骨髄腫に対する一次治療下のPFS(PFS2)、OSです。
くすぶり型多発性骨髄腫について
くすぶり型多発性骨髄腫は、多発性骨髄腫の無症候性の前駆状態です。くすぶり型多発性骨髄腫は、骨髄中の異常な形質細胞濃度が高く、血中モノクローナルタンパク質(Mタンパク質)濃度が上昇していますが、多発性骨髄腫によく見られる症状(特に臓器障害)は発現していません。新たに多発性骨髄腫と診断された全症例の15%がくすぶり型多発性骨髄腫に分類され、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫と診断された症例の半数が2年以内に多発性骨髄腫に進展するとの報告があります2。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、骨髄内にある形質細胞と呼ばれる白血球の一種が侵される血液がんです2。多発性骨髄腫では、悪性形質細胞が増殖し、骨髄中の正常細胞が腫瘍細胞に置き換わっていきます3。多発性骨髄腫は血液がんの中では世界中で2番目に多いがんであり、依然として治癒が難しい疾患です4。2024年には、米国において35,000人以上が多発性骨髄腫と診断され、12,000人以上がこの疾患により亡くなると推定されています5。多発性骨髄腫の5年生存率は59.8%です。多発性骨髄腫と診断された人のなかには、最初は症状がない人もいますが、ほとんどの患者さんは、骨折や骨の痛み、赤血球数の減少、疲労感、カルシウム高値及び腎障害、又は感染症などの症状を契機に診断されます6,7。
DARZALEX FASPRO®及びDARZALEX®について
DARZALEX FASPRO® (ダラツムマブ<遺伝子組換え>・ボルヒアルロニダーゼ アルファ<遺伝子組換え>製剤)は2020年5月に米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得し、多発性骨髄腫における9つの適応症に対して承認されています。そのうちの4つが、移植適応又は移植非適応の未治療の多発性骨髄腫患者さんに対する治療です。本剤は、多発性骨髄腫治療薬として承認されている唯一の抗CD38抗体薬皮下注製剤です。DARZALEX FASPRO®は、Halozyme社のENHANZE®ドラッグデリバリー技術である遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20と共に製剤化されています。
DARZALEX® (ダラツムマブ<遺伝子組換え>)は2015年11月に米国FDAの承認を取得し、8つの適応症に対して承認されています。そのうちの3つが、移植適応又は移植非適応の未治療の多発性骨髄腫患者さんに対する治療です6。
DARZALEX®は、多発性骨髄腫治療薬として承認された最初のCD38に対する抗体薬です6。DARZALEX®をベースとするレジメンは、世界中の585,000人以上の患者さん、米国のみでも239,000人以上の患者さんの治療に用いられてきました。
2012年8月、ヤンセン・バイオテックとGenmab A/Sは、ダラツムマブを開発・製造・販売するための独占的ライセンスをヤンセンに付与する契約を世界的に締結しました。
なおDARZALEX FASPRO®は、日本国内では「ダラキューロ®配合皮下注」名で販売されています。また、日本国内において「くすぶり型多発性骨髄腫」に対する効能又は効果は有しておりません。
* Meletios A. Dimopoulos氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのコンサルタントを務めていますが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っていません。
Johnson & Johnson について
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患、及び眼患領域における学術及び情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。新しいJohnson & Johnson Innovative Medicineブランドとともに、私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。
【本件に関するお問合せ先】
Johnson & Johnson Innovative Medicine コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]
参考文献
- Dimopoulos, M. et al. Phase 3 Randomized Study of Daratumumab Monotherapy Versus Active Monitoring in Patients with High-risk Smoldering Multiple Myeloma: Primary Results of the AQUILA Study. ASH 2024. December 8, 2024.
- Rajkumar SV. Multiple Myeloma: 2020 Update on Diagnosis, Risk-Stratification and Management. Am J Hematol. 2020;95(5):548-567. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32212178
- National Cancer Institute. Plasma Cell Neoplasms. Accessed August 2024. Available at: https://www.cancer.gov/types/myeloma/patient/myeloma-treatment-pdq
- Multiple Myeloma. City of Hope, 2022. Multiple Myeloma: Causes, Symptoms & Treatments. Accessed August 2024. Available at: https://www.cancercenter.com/cancer-types/multiple-myeloma
- American Cancer Society. Myeloma Cancer Statistics. Accessed August 2024. Available at: https://cancerstatisticscenter.cancer.org/types/myeloma
- American Cancer Society. What is Multiple Myeloma? Accessed August 2024. Available at: https://www.cancer.org/cancer/multiple-myeloma/about/what-is-multiple-my...
- American Cancer Society. Multiple Myeloma Early Detection, Diagnosis, and Staging. Accessed August 2024. Available at: https://www.cancer.org/cancer/types/multiple-myeloma/detection-diagnosis...