※本プレスリリースは、11月14日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
ニポカリマブは現在開発中であり、現時点でいずれの国においても承認されておりません。
nipocalimab (ニポカリマブ)、シェーグレン症候群を対象とした
第II相試験において、疾患活動性を有意に改善し、IgG減少を示す
FcRn阻害薬であるニポカリマブの投与を受けた、疾患活動性が中等度から重度の成人
シェーグレン症候群患者さんにおいて、24週時点における疾患活動性スコアの改善とともに、IgGおよび自己抗体の有意な減少が認められた
ニポカリマブは、第II相DAHLIAS試験の結果に基づき、中等度から重度のシェーグレン症候群の成人に対する治療薬として、
FDAよりブレークスルーセラピーの指定を受ける
ワシントン D.C.(現地時間2024年11月14日) – ジョンソン・エンド・ジョンソンは、本日、第II相DAHLIAS試験の追加解析結果を発表しました。本試験の結果、中等度から重度の成人のシェーグレン症候群患者さんにおいて、ニポカリマブ投与後に主な疾患活動性指標が改善し、循環免疫グロブリンG(Immunoglobulin G: IgG)が77%以上有意に減少したことが示されました。これらのデータは、米国リウマチ学会(American College of Rheumatology: ACR)2024年年次総会のプレナリーセッション発表(抄録番号#2527)及び2件のポスター発表(抄録番号#1427および#2294)に含まれるとともに、弊社が発表する43件の口頭発表及びポスター発表に含まれます。
FcRn阻害薬であるニポカリマブによる治療を受けた患者さんは、24週時点におけるClinESSDAIaスコアで有意な改善を示し、主要評価項目を達成しました。さらに、全身及び複数の臓器における疾患活動性の低下、医師による全般評価及びシェーグレン症候群複合評価ツールの改善が示され、主な副次評価項目も達成しました。
また、本試験の結果、ニポカリマブ 15mg/kgを2週ごとに投与した群では、自己抗体を含むIgG値の有意な低下も示され、FcRnとの相互作用によるニポカリマブの作用機序についてさらなるエビデンスが提供されました。さらにClinESSDAIは、ベースライン時の抗Ro及び抗La自己抗体の抗体価が最も高い患者さんにおいて改善傾向が最も強く、ニポカリマブによるIgG及び血中総IgG自己抗体の大幅な減少と関連していました。
カンザス大学メディカルセンター、アレルギー・臨床免疫学・リウマチ学准教授であるGhaith Noaiseh(M.D.)bは、次のように述べています。「これらのデータは、シェーグレン症候群の発症機序における自己抗体の関連性を示しています。全身の疾患活動性及び唾液分泌の改善と関連して、本試験で認められたIgG及び抗Ro抗体などの主要な自己抗体の減少は、本疾患についての私たちの理解と効果的な治療法を大きく前進させるものです。また、患者さんにとって最も重要である患者報告評価の多くで認められた傾向も勇気づけられるものです。今回の結果が、今後の研究において裏付けられることを期待しています。シェーグレン症候群とともに生きる患者さんは、根本的な原因に作用し、本疾患がもたらし得る重大な健康問題の軽減につながる効果的な治療選択肢を必要としています」
シェーグレン症候群では、多くの場合、慢性的かつ重篤な粘膜の乾燥を含む、日常活動やQOLに影響を及ぼす症状が認められます1,2。腺外症状(シェーグレン症候群のより全身性の症状)が認められることもあり、関節、肺、腎臓、神経系などの複数の臓器に影響を及ぼすことがあります3。複数の臓器や疾患領域の活動性が高い患者さんの死亡リスクは、一般集団と比較して最大5倍になります4。
第II相試験では、患者報告症状の改善が認められ、口腔乾燥、眼乾燥、膣乾燥、疲労及び関節痛などの患者さんにとって最も重要な症状カテゴリーにおいて、プラセボ群と比較して数値的な改善が示されました。また、客観的唾液量の改善(ベースラインからの改善率が50%以上)が認められた患者さんの割合は、24週時点で、プラセボ群で16%であったのに対し、ニポカリマブ高用量群(15mg/kg)では32.7%と2倍以上となりました。
Johnson & Johnson Innovative MedicineのRheumatology 領域Director 兼Global Medical Affairs LeadのFederico Zazzettiは、次のように述べています。「シェーグレン症候群の患者さんが抱える重い負担を持続的に軽減し得る、証明された安全性プロファイルを有する新たな免疫選択的治療法が明らかに必要とされています。私たちは、このアンメットニーズを解消すべく、継続的な研究に取り組んでいます。ACRで発表されたデータは、治療選択肢が限られたシェーグレン症候群に対するニポカリマブの可能性を示しています」
用語の説明:
- ClinESSDAIは、シェーグレン症候群に特異的な評価項目の1つで、11の器官系領域(皮膚症状、肺病変、腎病変、関節症状、筋症状、末梢神経障害[peripheral nervous system: PNS]、中枢神経障害[central nervous system: CNS]、血液障害、腺症状、健康状態、リンパ節腫脹およびリンパ腫)における器官別疾患活動性を評価する複合的尺度です。スコアが高いほど症状の重症度が高いことを示します。
- Ghaith Noaiseh(M.D.、Ph.D.)はジョンソン・エンド・ジョンソンのコンサルタントを務めていますが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っていません。
シェーグレン症候群について
シェーグレン症候群は、比較的罹患率の高い自己抗体により引き起こされる疾患の1つです。この疾患に対する根本的かつ全身性の疾患の治療薬として、現在承認されているものはありません4。シェーグレン症候群は慢性の自己免疫疾患で、世界全体で約400万人の患者さんがいると推定されており、男性よりも女性において9倍多く見られます5,6。シェーグレン症候群は、自己抗体の産生、慢性炎症、外分泌腺系のリンパ球浸潤を特徴とする疾患です。ほとんどの患者さんにおいて、粘膜の乾燥(眼、口、膣)、関節痛、疲労が所見として認められます4。腺外症状が認められることもあり、関節、肺、腎臓、神経系などの複数の臓器に影響を及ぼすことがあります。シェーグレン症候群の患者さんは、複数の関連疾患の発症リスクが高くなることが知られており、B細胞性リンパ腫の発症リスクは一般集団と比較すると最大20倍高くなると言われています。シェーグレン症候群では、一般集団より全死因死亡リスクが約50%高く、複数の臓器/疾患領域の活動性が高いため死亡リスクは最大5倍になります。疾患に伴う身体的・心理的苦痛は関節リウマチや全身性エリテマトーデスと同程度になることもあります。多くの場合、生活の質や機能的能力の低下、死亡のリスクを伴います3,5,7。
DAHLIAS試験について
DAHLIAS試験(NCT04969812)は、一次性シェーグレン症候群患者さんを対象にニポカリマブの有効性を評価する、第II相、多施設共同、ランダム化、プラセボ対照、二重盲検試験です。DAHLIAS試験は、疾患活動性が中等度から重度の、成人の一次性シェーグレン症候群患者さんで、抗Ro60抗体および/または抗Ro52 IgG抗体の血清学的陽性である方を対象とする第II相用量設定試験です。18〜75歳の163人の成人患者さんを、2週間おきに22週間にわたって、治験実施計画書で認められた標準治療と共にニポカリマブ(5mg/kgまたは15mg/kg)の静脈内投与を受ける群、プラセボ静脈内投与を受ける群に1:1:1に割り付けました。安全性評価は30週間にわたり実施しました。主要評価項目は、24週時点におけるClinESSDAIスコアのベースラインからの変化量でした。主な副次評価項目には以下の項目が含まれました。
- 多臓器評価項目:
- 欧州リウマチ学会(EULAR)シェーグレン症候群疾患活動性指標(ESSDAI)は、一次性シェーグレン症候群患者さんの疾患活動性を測定するための全身の疾患活動性指標です。ESSDAIは、健康状態、リンパ節腫脹、腺症状、関節症状、皮膚症状、呼吸器症状、腎病変、筋症状、末梢神経障害、中枢神経障害、生物学的所見および血液障害を含む12の領域に基づいて評価されます。
- 疾患活動性レベル(DAL)に反応が認められるとは、ClinESSDAI領域(関節症状、血液障害、皮膚症状、健康状態など)の1つ以上で、疾患活動性レベルがベースラインから1以上低下することを言います。
- 医師による全般評価:
- 医師による疾患活動性の全般評価(PhGA)は、治験責任医師によって、試験参加者による評価とは独立して記録されます。反応を0(「シェーグレン症候群の活動性なし」)〜100(「極めて高いシェーグレン症候群の活動性」)までのスケールで評価します。
- 臨床試験で用いられる複合評価ツール:
- シェーグレン症候群反応評価ツール(STAR)は複合的なレスポンダー指数で、指数には、全身の疾患活動性、患者報告の症状、涙腺項目、唾液腺項目および血清項目などシェーグレン症候群の主要な特徴全てが含まれ、これらを1つのツールで評価するものです。
- シェーグレン症候群複合関連評価項目(CRESS)は、全身の疾患活動性、患者報告の症状、涙腺項目、唾液腺項目および血清項目の5つの補足項目からなる複合評価項目ツールで、一次性シェーグレン症候群の臨床試験に使用されるものです。
- 患者報告アウトカム:
- EULARシェーグレン症候群患者報告指数(ESSPRI) は、一次性シェーグレン症候群に関連する乾燥、疲労および疼痛の重症度の患者報告評価です。患者さんは、過去2週間の症状の重症度を0 「症状なし(乾燥、疲労または疼痛)」~10 「考えられる最大値(乾燥、疲労または疼痛)」までの数値化スケール(NRS)で評価します。
- シェーグレン症候群症状評価ツールは、過去7日間の口腔乾燥、眼乾燥、膣乾燥および関節痛の重症度の患者報告評価です。患者さんは、0「症状なし(特定の症状)」~10「重症(特定の症状)」までのNRSで評価します。
ニポカリマブについて
ニポカリマブは現在開発中のモノクローナル抗体であり、高い親和性で結合してFcRnを阻害し、循環免疫グロブリンG(IgG)抗体の濃度を下げつつ、広範囲な免疫抑制を引き起こさずに免疫機能も維持するよう設計されています。その対象には、3つの重要な自己抗体疾患である「希少な自己抗体疾患」、母体の同種抗体が介在する「母体胎児疾患」および「比較的罹患率の高いリウマチ性疾患」において複数の疾患の根本的な原因となっている自己抗体や同種抗体が含まれます8,9,10,11,12,13,14,15,16。
また、胎盤でIgGとFcRnの結合を阻害することで、母体の同種抗体が胎盤を介して胎児に移行することを防げるとも考えられています17,18。
米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)は、ニポカリマブに対して以下の重要な指定を行っています。
- 2019年7月に胎児新生児溶血性 疾患(HDFN)および温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、2021年12月に全身型重症筋無力症(gMG)、2024年3月に胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)に対するFast Track指定を受けました
- 2019年12月にwAIHA、2020年6月にHDFN、2021年2月にgMG、2021年10月に慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、2023年12月にFNAITに対するオーファンドラッグ指定を受けました
- 2024年2月にHDFNに対するブレークスルーセラピー指定を受けました
- 欧州医薬品庁より2019年10月にHDFNに対するオーファンドラッグ指定を受けました
Johnson & Johnson について
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。 Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心・肺疾患、および眼疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。新しいJohnson & Johnson Innovative Medicineブランドとともに、私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。
【本件に関するお問合せ先】
ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]
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