イムブルビカ®、慢性リンパ性白血病の治療薬として
日本の実臨床において、中長期の有効性及び安全性プロファイルを示す
慢性リンパ性白血病患者さんらを対象とした、Orbit studyの結果1により
36カ月時点での無増悪生存率(PFS率)は、一次治療の患者さんで80.9%、再発又は難治性の患者さんで67.2%
全生存率(OS率)は、一次治療の患者さんで90.8%、再発又は難治性患者さんで83.7%
実臨床における有効性は、一次治療では既に報告された臨床試験と同様の、
再発又は難治性では既報より良好な傾向が認められる1,2,3,4,5
良好な安全性プロファイルを示し、新たな安全性のシグナルも検出されず1
Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「J&J」)は17日、慢性リンパ性白血病(Chronic Lymphocytic Leukemia:CLL)と小リンパ球性リンパ腫(Small Lymphocytic Lymphoma:SLL)の患者さんを対象とした、日本の実臨床におけるブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬イムブルビカ®(一般名:イブルチニブ)の中長期の有効性と安全性プロファイルに関するOrbit studyの結果を発表しました。
本研究は、多施設共同、後ろ向き観察研究です。2018年7月から2020年12月までの間に、日本の日常診療で一次治療としてイムブルビカ®による治療(1st Line: 1L)を受けた日本人のCLL/SLL患者さん、または一次治療以降に再発又は難治性(Relapse or Refractory: RR)になり、イムブルビカ®による治療を受けたRR CLL/SLL患者さんを対象としました。イムブルビカ®投与開始から2022年12月までのデータを収集し、イムブルビカ®の中長期的な臨床転帰、有害事象発生、日常診療における有害事象管理について記述することを目的としました6。
調査の結果、237人(1L:142人、RR:94人、不明1人)のCLL/SLL患者さんが登録され、年齢中央値は73歳(範囲:28-90歳)、フォローアップ期間中央値は35.7ヶ月でした。1LとRRの36ヶ月時点の無増悪生存率(PFS率)は、それぞれ80.9%(95%CI:72.4-86.9%)と67.2%(95%CI:54.5-77.1%)、36ヶ月時点の全生存率(OS率)は、それぞれ90.8%(95%CI: 83.8–94.9)と83.7%(95%CI: 73.4-90.3%)で、1LではRESONATE-2試験2,3,4と同様の、RRではRESONATE試験5よりも良好な傾向が認められました。
また、イムブルビカ®は良好な忍容性を示し、新たな安全性シグナルは検出されませんでした。グレード3以上の注目すべき有害事象の発現率は心房細動が2.1%、出血が3.8%、二次性悪性腫瘍が2.5%でした。またグレード3以上のヘルペスウイルス感染、真菌感染、ニューモシスチス肺炎の発現率は、それぞれ1.3%(n-3)、0.4%(n=1)、0.8%(n=2)でした1。
この結果は、2024年10月11日から13日まで京都市で開催された2024年第86回日本血液学会学術集会(JSH)にて口頭発表されました。
J&J Innovative Medicine Japan メディカルアフェアーズ本部 本部長ポーリン・エンは、次のように述べています。「日本において希少疾患であるCLL及びSLLの患者さんを200例以上大規模に収集・調査した研究は限られており、本研究が日本における希少な血液がんに対する治療の進歩に向け、新たな一助となることと確信しています。私たちは今まで以上に自信をもって、必要とする患者さんにイムブルビカ®をお届けし、患者さんの症状や生活の改善に貢献できるよう、引き続き努めて参ります」
CLLとSLLは同一の細胞起源を有する疾患と定義されており、日本国内におけるCLLとSLLの患者総数は、白血病全体の1~2%7、約2,000人と報告8されています。いずれも高齢者に多くみられる希少疾患で、化学療法のみでの治癒は難しく、再発・進行を繰り返します。
イムブルビカ®は、日本国内では2016年5月に発売され、現時点で慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)の4つの適応症で承認を取得しています。なお、日本におけるCLL初回治療では、BTK阻害薬が標準治療とされており、再発においては過去の治療薬に応じ、BTK阻害薬、BCL-2阻害薬とリツキシマブの併用療法などが考慮されます9。
Orbit Studyについて
Orbit Study(UMIN000049281)は、実施医療機関(国内61施設)にて一次治療としてイムブルビカ®による治療を受けたCLL/SLL患者さん(n=142)、または一次治療以降に再発又は難治性になった後にイムブルビカ®による治療を受けたCLL/SLL患者さん(n=94)を対象に、日本の日常診療におけるイムブルビカ®の中長期的な臨床転記及び有害事象管理について記述することを目的とした、多施設共同、後ろ向き観察研究です。
RESONATE-2について
RESONATE-2(NCT01722487)試験は、慢性リンパ白血病(小リンパ球性白血病を含む)と診断された前治療歴のない65歳以上の患者さん(n=269)を対象として、一次治療としてのイムブルビカ®単剤療法をクロラムブシルと比較した、国際、多施設共同、非盲検、第III相無作為化試験です10。患者さんはいずれかの治療に無作為に割り付けられ、イムブルビカ®420 mg/日の経口投与を増悪又は忍容性が許容できない状態に至るまで(n=136)、あるいはクロラムブシルの静脈内投与を最大12サイクル(n=133、各28日間サイクルの1~15日目の初回用量0.5~0.8 mg/kg)受けました11。主要評価項目はPFS(独立審査委員会のPFS評価により定義)とし、OS、全奏効率(ORR)、及び安全性を副次評価項目としました10。
RESONATEについて
RESONATE(NCT01578707)試験は、再発又は難治性の慢性リンパ白血病(小リンパ球性白血病を含む)の患者さん(n=391)を対象として、イムブルビカ®単剤療法をオファツムマブと比較した、国際、多施設共同、非盲検、第III相、無作為化試験です5。患者さんはいずれかの治療に無作為に割り付けられ、イムブルビカ®420 mg/日の経口投与を増悪又は忍容性が許容できない状態に至るまで(n=195)、あるいはオファツムマブの静脈内投与を最大24週(n=196、初回用量として第1週に300mg、その後7週間は毎週、その後の16週間は4週間ごとに2,000mg投与)受けました5。主要評価項目はPFS(独立審査委員会のPFS評価により定義)とし、OS、全奏効率(ORR)、及び安全性を副次評価項目としました5。
慢性リンパ性白血病(CLL)について
慢性リンパ性白血病は、一般的に進行の遅い白血球のがんです12。CLLは高齢の方に多く発症し、診断時の年齢の中央値は72歳です13。患者さんの予後はこの数十年で大きく改善したものの、増悪を繰り返すこと、治療が必要であることが、依然としてこの病気の特徴です14。再発や、治療に対する抵抗性を示すことがあり、多くの場合、患者さんは複数ラインの治療を受けることになります15。治療においては、BTK阻害剤などの新規分子標的薬の登場で、一般健常人集団とCLL患者さんの長期の生存率は同程度にまで改善しています16。
イムブルビカ®について
イムブルビカ®は、ヤンセン・バイオテック社とアッヴィ社の傘下にあるファーマサイクリックス社が共同開発・販売する、1日1回の経口剤です17。イムブルビカ®は、特定のがん細胞を含む正常及び異常なB細胞が増殖及び拡散するために必要とするブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)というタンパク質の働きを阻害します18。BTKを阻害することにより、イムブルビカ®は異常なB細胞を生存環境から切り離し、その増殖を抑制します19。
イムブルビカ®は、世界100カ国以上で承認されており、30万人以上の患者さんに使用されています20。第III相試験18試験を含め、50件以上の企業主導の臨床試験が行われており、11年以上にわたりイムブルビカ®の有効性と安全性を評価しています21,22。2021年10月に、イムブルビカ®はWHO(世界保健機関)の必須医薬品・診断薬リスト(EML)に掲載されました。このリストには、世界保健上の優先事項に対処しており、すべての人にとって入手可能で安価であるべき医薬品が収載されています23。
Johnson & Johnson について
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。
日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について
Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、および網膜疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。新しいJohnson & Johnson Innovative Medicineブランドとともに、私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。
【本件に関するお問合せ先】
Johnson & Johnson Innovative Medicine コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]
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