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「ライブリバント®点滴静注350mg」(アミバンタマブ[遺伝子組換え])、化学療法との併用療法でEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌治療に係る承認を取得

2024/09/24

 

「ライブリバント®点滴静注350mg」(アミバンタマブ[遺伝子組換え])、
化学療法との併用療法でEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な
進行・再発の非小細胞肺癌治療に係る承認を取得

 

今回の承認取得は、
化学療法群との比較で無増悪生存期間が統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、
主要評価項目を達成した第III相PAPILLON試験のデータに基づく

同日から倫理的無償供給プログラムを開始し、薬価収載前日に終了

 

Johnson & Johnson (法人名:ヤンセンファーマ株式会社、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「J&J」)は本日、「ライブリバント®点滴静注350mg」(一般名:アミバンタマブ[遺伝子組換え]、以下「ライブリバント®」)と化学療法(カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウム)の併用療法について、「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」の効能又は効果で、日本における製造販売承認を取得しました。

 

今回の承認は、第III相PAPILLON試験(NCT04538664)の結果に基づくものです1。本試験は、化学療法歴のないEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者さんを対象に、ライブリバント®と化学療法との併用による有効性と安全性を化学療法群と比較し、評価する無作為化、非盲検試験です1。本試験では、ライブリバント®と化学療法併用(ACP)群の無増悪生存期間(PFS)が、化学療法(CP)群と比較し統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、主要評価項目を達成しました。無増悪生存期間[中央値(95%信頼区間)]は、ACP群で11.37ヵ月(9.79~13.70ヵ月)、CP群で6.70ヵ月(5.59~7.33ヵ月)でした(ハザード比[HR]=0.395、95%信頼区間[CI]=0.296~0.528、P値=p<0.0001) 。また、ACP群は、CP群と比較し、より深い奏効と持続的な奏効に関与し、高い奏効率及び長い奏効期間を示しました。なおライブリバント®と化学療法の併用療法に関する安全性プロファイルは、ライブリバント®及び化学療法それぞれの安全性プロファイルと一貫していました2

 

世界的に見て肺がんは最もよく知られているがんの1つであり、すべての肺がんのうちNSCLCは80〜85%を占めます3,4。日本において肺がんは、年間罹患数が約12万人で全癌腫の中で4番目に多く、死亡率の最も高いがんの一つです5。NSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異は、細胞の増殖や分裂をコントロールする受容体型チロシンキナーゼであるEGFR遺伝子の変異です6。EGFR遺伝子エクソン20挿入変異は、EGFR遺伝子変異の中で3番目に多いことが知られています7。実臨床におけるEGFR遺伝子エクソン20挿入変異を有する患者さんの5年生存率は8%と、EGFR遺伝子エクソン19欠失変異またはEGFR遺伝子 L858R変異を有する患者さんの19%と比べ低い値になっており、アンメット・メディカル・ニーズの高い領域です8

 

J&J Innovative Medicine Japanの代表取締役社長である關口修平は次のように述べています。「ライブリバント®に関する今回の承認取得を大変嬉しく思います。これまで、化学療法以外に治療選択肢がなかったEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者さんに対する日本初の治療薬であり、患者さんにとって新たな希望となる分子標的治療薬です。EGFR遺伝子エクソン20挿入変異という、まれで複雑な遺伝子変異を有する患者さんの予後を改善する重要かつ切望されていた治療選択肢として、患者さんの治療における新境地を示すものになることを期待しています。」

 

ライブリバント®薬価収載前の無償供給について

今回の承認取得を受け、J&Jはライブリバント®が薬価収載されるまでの間、ライブリバント®を無償で提供する倫理的無償供給プログラム(以下、「本プログラム」)を開始します。本プログラムにおけるライブリバント®の使用に際し、ライブリバント®の適応判定を目的として承認された医療機器であるガーダントヘルスジャパン株式会社の「Guardant360® CDxがん遺伝子パネル」によるコンパニオン診断の検査結果についても当社が無償で提供します。(下記追加情報※をご参照ください)

 

本プログラムは、現時点で治療選択肢が極めて限られている「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC」9,10に対する治療の早期承認を要望されている患者さんや学会からの声11にお応えし、厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度」のもと実施します。ライブリバント®の適正使用の観点から、第III相PAPILLON試験(NCT045386641の治験実施医療機関のうち、添付文書に従ってご使用いただけること、本プログラム期間中の有害事象や副作用等の安全性情報報告等安全対策にご協力いただけることを条件に、弊社との「無償提供に関する合意書」を締結していただいた医療機関で実施します。本プログラムは製造販売承認を取得した本日以降、速やかに開始し、薬価収載日の前日に終了します。

 

※「Guardant360® CDxがん遺伝子パネル」によるコンパニオン診断検査結果の無償提供は、ライブリバント®に対応するコンパニオン診断の保険収載に伴い、10月10日をもって終了しました。なおライブリバント®の倫理的無償供給は引き続き実施しています。

 

ライブリバント®の倫理的無償供給プログラム
実施施設 第III相PAPILLON試験(NCT04538664)実施医療機関のうち、J&Jと「無償提供に関する合意書」を締結した施設
実施期間 ライブリバント®の承認取得後から薬価収載前日まで
適応対象
  • EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC、かつ
  • ライブリバント®と化学療法(カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウム)の併用療法を必要とする患者さん
【ライブリバント®の倫理的無償提供プログラムに関するお問い合わせ先】
医療従事者の皆様専用ダイヤル 0120-183-275
受付時間:9:00~17:00(土・日・祝日・会社休日を除く)
*患者さんやそのご家族の皆様は、まず主治医にご相談いただき、主治医から弊社にお問い合わせいただくようお願いいたします。

 

PAPILLON試験について

PAPILLON試験(NCT04538664)は、新たに診断された、EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者さんを対象に、アミバンタマブと化学療法を併用した際の有効性と安全性を、化学療法群と比較し評価する無作為化、非盲検、第III相試験です1。本試験の主要評価項目は、盲検下独立中央評価により評価したPFS(RECISTガイドラインv1.1に基づく)です。主な副次評価項目は、全奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、病勢進行までの期間(DOR)です1。なお化学療法のみを行った患者さんは、病勢進行後、二次治療としてアミバンタマブ単剤療法を受けることが当該試験において認められました2

 

ライブリバント®について

ライブリバント®は、免疫細胞を介した作用によりEGFR遺伝子及びMET遺伝子を標的とする完全ヒト型二重特異性抗体です。米国食品医薬品局(FDA)が承認した検査によりEGFR遺伝子エクソン20挿入変異が検出された局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんにおいて、プラチナ製剤による化学療法の実施中又は実施後に病勢が進行した場合の治療のための単独療法として、米国、欧州のほか、その他の複数の国や地域において承認を取得しています12

 

ライブリバント®はまた、FDAが承認した検査によりEGFR遺伝子エクソン20挿入変異が検出された局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんの一次治療として、化学療法(カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウム)との併用について、米国で承認を取得しています。2024年8月20日には、EGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はL858R置換変異が検出された局所進行性又は転移性NSCLC成人患者さんの一次治療として、ライブリバント®とラゼルチニブの併用について、米国FDAから正式な承認を取得しました13

 

また、MARIPOSA試験に基づき、ライブリバント®とラゼルチニブの併用について、販売承認申請(MAA)とタイプII適応拡大申請をEMAに提出しました。2023年11月には、MARIPOSA-2試験に基づき、オシメルチニブの投与後または投与後に進行したEGFR遺伝子変異を有するNSCLC患者さんを対象とした化学療法との併用によるライブリバント®のsBLAを米国FDAに提出しました。なお、MARIPOSA‐2試験に基づく適応は、欧州では2024年8月に承認を取得しています。国内では、2024年4月8日にMARIPOSA試験に基づき、EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌に対するラゼルチニブとの併用療法について製造販売承認申請を行い、同5月31日には、MARIPOSA‐2試験に基づく製造販売承認申請を行いました14,15

 

NSCLCについて

世界的に見て肺がんは最もよく知られているがんの1つであり、すべての肺がんのうちNSCLCは80〜85%を占めます3,16。NSCLCの主なサブタイプには、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんがあります17。NSCLCにおける最も一般的なドライバー遺伝子変異は、細胞の増殖や分裂をコントロールする受容体型チロシンキナーゼであるEGFR遺伝子の変異です18。組織学的サブタイプが腺がんであるNSCLCの場合、欧米人患者さんの10〜15%、アジア人患者さんの40〜50%にEGFR遺伝子変異が認められます11,12,19,20,21,22。EGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はEGFR遺伝子 L858R変異は、EGFR遺伝子変異の中で最も一般的な変異です23。EGFR遺伝子変異を有する進行性NSCLC患者さんでEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療歴のある患者さんの5年生存率は20%未満です24,25, 。EGFR遺伝子エクソン20挿入変異は、3番目に多いEGFR遺伝子を活性化する変異です26。実臨床におけるEGFR遺伝子エクソン20挿入変異を有する患者さんの5年生存率は8%であり、EGFR遺伝子エクソン19欠失変異又はEGFR遺伝子 L858R置換変異を有する患者さんの19%と比べ低い値となっています27

 

Johnson & Johnson について

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。 Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。

 

日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について

Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、および網膜疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。

Johnson&Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/https://www.linkedin.com/company/jnjinnovativemedicine/をフォローしてください。

 

【本件に関するお問合せ先】

ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]

 

参考文献

 

  1. ClinicalTrials.gov. A Study of Combination Amivantamab and Carboplatin-Pemetrexed Therapy, Compared With Carboplatin-Pemetrexed, in Participants With Advanced or Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer Characterized by Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Exon 20 Insertions (PAPILLON). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04538664. Accessed October 2023.
  2. Pharmaceutical Companies of Johnson and Johnson. (22023 July 17). Treatment with RYBREVANT® (amivantamab-vmjw) Plus Chemotherapy Resulted in Statistically Significant and Clinically Meaningful Improvement in Progression-Free Survival in Patients with Newly Diagnosed EGFR Exon 20 Insertion Mutation-Positive Non-Small Cell Lung Cancer [Press Release].
  3. American Cancer Society. What is Lung Cancer? https://www.cancer.org/content/cancer/en/cancer/lung-cancer/about/what-i.... Accessed September 2023.
  4. Oxnard JR, et al. Natural history and molecular characteristics of lung cancers harboring EGFR exon 20 insertions. J Thorac Oncol. 2013 Feb;8(2):179-84. doi: 10.1097/JTO.0b013e3182779d18.
  5. 国立研究開発法人国立がん研究センター「がん情報センター」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/12_lung.html#anchor1 Accessed September 2024
  6. Riess JW, et al. Diverse EGFR exon 20 insertions and co-occurring molecular alterations identified by comprehensive genomic profiling of NSCLC. J Thorac Oncol. 2018;13(10):1560-1568. doi:10.1016/j.jtho.2018.06.019.
  7. Arcila, M. et al. EGFR exon 20 insertion mutations in lung adenocarcinomas: prevalence, molecular heterogeneity, and clinicopathologic characteristics. Mol Cancer Ther. 2013 Feb; 12(2):220-9.
  8. Girard N, et al. Comparative clinical outcomes for patients with NSCLC harboring EGFR exon 20 insertion mutations and common EGFR mutations. Abstract presented at: World Conference on Lung Cancer Annual Meeting; January 29, 2021; Singapore.
  9. NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology. Non-Small Cell Lung Cancer Version3. 2024.
  10. Park K, Haura EB, Leighl NB, et al. Amivantamab in EGFR Exon 20 Insertion-Mutated Non-Small-Cell Lung Cancer Progressing on Platinum Chemotherapy: Initial Results From the CHRYSALIS Phase I Study. J Clin Oncol. 2021;39(30):3391-402.
  11. 日本肺がん患者連絡会と日本肺癌学会連名要望書 http://www.jlca-renrakukai.com/wp/wp-content/uploads/20240408.pdf
  12. RYBREVANT® Prescribing Information. Horsham, PA: Janssen Biotech, Inc.
  13. https://www.jnj.com/media-center/press-releases/rybrevant-amivantamab-vm...
  14. アミバンタマブ(遺伝子組換え)とラゼルチニブの併用療法、EGFR変異を有する非小細胞肺癌に対する治療として製造販売承認を申請https://www.janssen.com/japan/press-release/20240408
  15. アミバンタマブ(遺伝子組換え)と化学療法の併用療法、前治療無効のEGFR変異を有する進行性の非小細胞肺癌に対する治療として製造販売承認を申請
  16. Oxnard JR, et al. Natural history and molecular characteristics of lung cancers harboring EGFR exon 20 insertions. J Thorac Oncol. 2013 Feb;8(2):179-84. doi: 10.1097/JTO.0b013e3182779d18.
  17. Bauml JM, et al. Underdiagnosis of EGFR Exon 20 Insertion Mutation Variants: Estimates from NGS-based Real World Datasets. Abstract presented at: World Conference on Lung Cancer Annual Meeting; January 29, 2021; Singapore.
  18. Riess JW, et al. Diverse EGFR exon 20 insertions and co-occurring molecular alterations identified by comprehensive genomic profiling of NSCLC. J Thorac Oncol. 2018;13(10):1560-1568. doi:10.1016/j.jtho.2018.06.019.
  19. Pennell NA, et al. A phase II trial pf adjuvant erlotinib in patients with resected epidermal growth factor receptor-mutant non-small cell lung cancer. J Clin Oncol. 37:97-104.
  20. Burnett H, et al. Epidemiological and clinical burden of EGFR exon 20 insertion in advanced non-small cell lung cancer: a systematic literature review. Abstract presented at: World Conference on Lung Cancer Annual Meeting; January 29, 2021; Singapore.
  21. Zhang YL, et al. The prevalence of EGFR mutation in patients with non-small cell lung cancer: a systematic review and meta-analysis. Oncotarget. 2016;7(48):78985-78993.
  22. Midha A, et al. EGFR mutation incidence in non-small-cell lung cancer of adenocarcinoma histology: a systematic review and global map by ethnicity. Am J Cancer Res. 2015;5(9):2892-2911.
  23. American Lung Association. EGFR and Lung Cancer. https://www.lung.org/lung-health-diseases/lung-disease-lookup/lung-cancer/symptoms-diagnosis/biomarker-testing/egfr. Accessed July 2023.
  24. Howlader N, et al. SEER Cancer Statistics Review, 1975-2016, National Cancer Institute. Bethesda, MD, https://seer.cancer.gov/csr/1975_2016/, based on November 2018 SEER data submission, posted to the SEER web site.
  25. Lin JJ, et al. Five-Year Survival in EGFR-Mutant Metastatic Lung Adenocarcinoma Treated with EGFR-TKIs. J Thorac Oncol. 2016 Apr;11(4):556-65.
  26. Arcila, M. et al. EGFR exon 20 insertion mutations in lung adenocarcinomas: prevalence, molecular heterogeneity, and clinicopathologic characteristics. Mol Cancer Ther. 2013 Feb; 12(2):220-9.
  27. Girard N, et al. Comparative clinical outcomes for patients with NSCLC harboring EGFR exon 20 insertion mutations and common EGFR mutations. Abstract presented at: World Conference on Lung Cancer Annual Meeting; January 29, 2021; Singapore.