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第II相臨床試験の最新結果から、nipocalimabはシェーグレン症候群の 疾患活動性を有意に改善することが示された

公開日: 
2024/07/04

 

※本プレスリリースは、6月15日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。

 

nipocalimabは現在開発中であり、現時点でいずれの国においても承認されておりません。

 

第II相臨床試験の最新結果から、nipocalimabはシェーグレン症候群の
疾患活動性を有意に改善することが示された

 

nipocalimab 15mg/kg群は、プラセボ群と比較した主要評価項目において相対的平均
改善率70%以上を示した

 

シェーグレン症候群は易疲労性が高く、比較的罹患率の高い慢性の自己抗体疾患であり、
現時点では、承認された先進的な治療薬は存在しない

 

ウィーン(現地時間2024年6月15日) – ジョンソン・エンド・ジョンソンは、成人のシェーグレン症候群患者さんを対象とするnipocalimabの第II相用量設定試験(DAHLIAS試験)の結果を発表しました。本試験の結果、nipocalimab群はプラセボ群と比べ、主要評価項目である24週時点におけるClinESSDAIaスコアのベースラインからの改善が統計学的に有意(P=0.002)、かつ臨床的に意義のある改善を示しました。nipocalimab群はプラセボ群と比較し、投与開始4週目から奏効が認められ、24週間の投与期間中、奏効が持続しました。これらのデータは、nipocalimabがシェーグレン症候群に対して良好な結果を示した初めてのものです。本試験の結果は、欧州リウマチ学会(EULAR)2024年大会のLate-breaking(LBA0010)で取り上げられ、弊社が発表する30件のアブストラクトのうちの1つとして発表されました。

 

National Centre for Rare Systemic Autoimmune Diseases、ストラスブール大学病院リウマチ科の教授であり治験責任医師b,1,2であるProf. Jacques-Eric Gottenberg, M.D., Ph.D.は次のように述べています。「これらのデータは、シェーグレン症候群におけるnipocalimabのプルーフ・オブ・コンセプトを確立し、さらなる臨床開発を支持するものであるとともに、易疲労性の高いこの慢性疾患を抱える世界中の約400万人の患者さんにとって喜ばしいニュースと言えます。シェーグレン症候群の患者さんは、この疾患がもたらす深刻な健康状態に対処するための新たな先進的治療薬を必要としています。私は、今回発表された試験結果と臨床的に意義のある疾患活動性指標に対するポジティブな結果に勇気づけられています」

 

nipocalimab 15mg/kg群では、主要評価項目の達成に加え、以下の結果が示されました。

  • 多臓器評価項目(DALc)、医師による全般評価(PhGAd)、臨床試験で用いられる複合評価ツール(STARe, CRESSf)を含む副次評価項目において、24週時に臨床的に意義のある改善が認められた。
  • 口腔乾燥、眼乾燥、膣乾燥などシェーグレン症候群の重要な臨床症状の改善傾向が認められた。
  • nipocalimabの安全性及び忍容性は、他の臨床試験の結果と一貫するものであった。

 

さらに、血中総IgGおよびシェーグレン症候群に関連する自己抗体(抗Ro60、抗La/SSBなど)の低下は、nipocalimabの作用機序と非常によく一致しており、nipocalimabによる先行の臨床試験の結果と同様の低下を示しました。

 

Johnson & Johnson Innovative MedicineのVice President及びRheumatology, Immunology Disease Area LeaderであるTerence Rooneyは次のように述べています。「シェーグレン症候群の患者さんが、この疾患の根本的な原因と全身性の症状を標的とする先進的な治療薬を必要としていることは、明らかです。私たちは、シェーグレン症候群のような自己抗体が介在する疾患に対し、革新的かつ画期的なアプローチによる治療薬を提供すべく取り組んでいます。EULARで発表されたデータは、治療選択肢が限られたシェーグレン症候群に対するnipocalimabの可能性を示しています」

 

用語の説明:

  1. ClinESSDAIは、シェーグレン症候群に特異的な評価項目の1つで、11の器官系領域(皮膚症状、肺病変、腎病変、関節症状、筋症状、末梢神経障害[PNS]、中枢神経障害[CNS]、血液障害、腺症状、健康状態、リンパ節腫脹及びリンパ腫)における器官別疾患活動性を評価する複合的尺度です。スコアが高いほど症状の重症度が高いことを示します。
  2. Prof. Jacques-Eric Gottenberg, M.D., Ph.D.はジョンソン・エンド・ジョンソンのコンサルタントを務めていますが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っていません。
  3. 疾患活動性レベル(DAL)に反応が認められるとは、ClinESSDAI領域(関節症状、血液障害、皮膚症状、健康状態など)の1つ以上で、疾患活動性レベルがベースラインから1以上低下することを言います。
  4. 疾患活動性のPhysician’s Global Assessment(PhGA)は治験責任医師によって、試験参加者による評価とは独立に記録されます。反応を0〜100 mmの範囲で表した視覚的アナログスケール(VAS)で、片方のスケール端が「シェーグレン症候群の活動性なし」(0)および反対側のスケール端が「極めて高いシェーグレン症候群の活動性」(100 mm)であるアンカー(基準)が用いられます。PhGAベースライン測定値は、0週投与開始前の直近測定値と定義しました。
  5. Sjögren’s Tool for Assessing Response(STAR)は複合的なレスポンダー指数で、指数には、全身の疾患活動性、患者報告の症状、涙腺項目、唾液腺項目および血清項目などシェーグレン症候群の主要な特徴全てが含まれ、これらを1つのツールで評価するものです。
  6. シェーグレン症候群複合関連評価項目(CRESS)は、全身の疾患活動性、患者報告の症状、涙腺項目、唾液腺項目および血清項目の5つの補足項目からなる複合評価項目ツールで、一次性シェーグレン症候群の臨床試験に使用されるものです。

 

シェーグレン症候群について

シェーグレン症候群は、比較的罹患率の高い自己抗体により引き起こされる疾患の1つです。この疾患に対する根本的かつ全身性の疾患の治療薬として、現在承認されているものはありません3。シェーグレン症候群は慢性の自己免疫疾患で、世界全体で約400万人の患者さんがいると推定されており、男性よりも女性において9倍多く見られます1,2。シェーグレン症候群は、自己抗体の産生、慢性炎症、外分泌腺系のリンパ球浸潤を特徴とする疾患です。ほとんどの患者さんにおいて、粘膜の乾燥(眼、口、膣)、関節痛、疲労が所見として認められます3。腺外症状が認められることもあり、関節、肺、腎臓、神経系などの複数の臓器に影響を及ぼすことがあります4。シェーグレン症候群の患者さんは、複数の関連疾患の発症リスクが高くなることが知られており、B細胞性リンパ腫の発症リスクは一般集団と比較すると最大20倍高くなると言われています。シェーグレン症候群では、一般集団より全死因死亡リスクが約50%高く、複数の臓器/疾患領域の活動性が高いため死亡リスクは最大5倍になります3,5。疾患に伴う身体的・心理的苦痛は関節リウマチや全身性エリテマトーデスと同程度になることもあります。多くの場合、生活の質や機能的能力の低下を伴います2,4

 

DAHLIAS試験について

DAHLIAS試験は、一次性シェーグレン症候群患者さんを対象にnipocalimabの有効性を評価する、第II相、多施設共同、ランダム化、プラセボ対照、二重盲検試験です。DAHLIAS試験には、疾患活動性が中等度から重度の、成人の一次性シェーグレン症候群患者さんで、抗Ro60抗体及び/又は抗Ro52 IgG抗体の血清学的陽性である方を対象とする第II相用量設定試験が含まれます。18〜75歳の163人の成人患者さんを、2週間おきに22週間にわたって、治験実施計画書で認められた標準治療と共にnipocalimab(5mg/kgまたは15mg/kg)の静脈内投与を受ける群、プラセボ静脈内投与を受ける群に1:1:1に割り付けました。安全性評価は30週間にわたり実施しました。

 

nipocalimabについて

nipocalimabは現在開発中のモノクローナル抗体であり、高い親和性を持ち、FcRnを阻害して循環免疫グロブリンG(IgG)抗体の濃度を下げつつ、広範囲な免疫抑制を引き起こさずに免疫機能も維持するよう設計されています。その対象には、3つの重要な自己抗体疾患である「希少な自己抗体疾患」、母体の同種抗体が介在する「母体胎児疾患」および「比較的罹患率の高いリウマチ性疾患」において複数の疾患の根本的な原因となっている自己抗体や同種抗体が含まれます6,7,8,9,10,11,12,13,14

 

また、胎盤でIgGがFcRnに結合するのを阻害することで、母体の同種抗体が胎盤を介して胎児に移行するのを防ぐことができるとも考えられています15,16

 

米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)からnipocalimabに付与された重要な指定は以下のとおりです。

  • 2019年7月にHDFNおよび温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、2021年12月に全身型重症筋無力症(gMG)、2024年3月に胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)に対するFast Track指定を受けました
  • 2019年12月にwAIHA、2020年6月に胎児新生児溶血性疾患(HDFN)、2021年2月にgMG、2021年10月に慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、2023年12月にFNAITに対するオーファンドラッグ指定を受けました
  • 2024年2月にHDFNに対するブレークスルーセラピー指定を受けました
  • 欧州医薬品庁より2019年10月にHDFNに対するオーファンドラッグ指定を受けました

 

Johnson & Johnson について

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、健康こそすべてだと考えています。ヘルスケアイノベーションにおける私たちの強みが、複雑な病を予防、治療、治癒し、治療をよりスマート化した、低侵襲なものに進化させ、一人ひとりの患者さんに合ったソリューションを提供することができる世界を築く力になります。 Innovative MedicineとMedTechにおける専門性を生かし、将来の飛躍的な進化に向けてヘルスケアソリューションの幅広い領域でイノベーションを推し進め、人々の健康に大きなインパクトを与えていきます。

 

日本におけるJohnson & Johnson Innovative Medicine について

Johnson & Johnson Innovative Medicine は、米J&Jグループにおける医療用医薬品事業の名称です。日本では、1978年の設立以来、これまでヤンセンファーマ株式会社として、患者さんの治療に貢献する多くの医薬品をお届けしてきました。私たちは、アンメットニーズに基づく開発戦略のもと、注力疾患領域―がん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、および網膜疾患領域における学術および情報提供活動を強化しながら、私たちの薬剤を必要とする全ての患者さんが適切なタイミングでベストな治療を選択するための活動を続けています。新しいJohnson & Johnson Innovative Medicineブランドとともに、私たちは、今後も医療の未来を切り拓き、日本の患者さんに革新的な医薬品をお届けしていきます。

 

Johnson & Johnson Innovative Medicineに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。また、www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。
*自社メディアに関しても、新ブランドに伴うリニューアルを順次進めてまいります。

 

【本件に関するお問合せ先】

ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]

 

参考文献

  1. Beydon, M., McCoy, S., Nguyen, Y. et al. Epidemiology of Sjögren syndrome.
  2. Nat Rev Rheumatol 20, 158–169 (2024). https://doi.org/10.1038/s41584-023-01057-6
  3. Huang H, Xie W, Geng Y, Fan Y, Zhang Z. Mortality in patients with primary Sjögren’s syndrome: a systematic review and meta-analysis. Rheumatology (Oxford). 2021 Sep 1;60(9):4029-4038. doi: 10.1093/rheumatology/keab364. PMID: 33878179.
  4. Hackett KL, et al. Arthritis Care Res (Hoboken). 2012;64(11):1760-1764.
  5. Brito-Zeron, P., Flores-Chavez, A., Horvath, Fanny I., Rasmussen, A., et al. Mortality risk factors in primary Sjogren syndrome: a real-world, retrospective, cohort study. eClinicalMedicine. July, 4, 2023. DOI: https://doi.org/10.1016/j.eclinm.2023.102062
  6. ClinicalTrials.gov. NCT03842189. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03842189. Last accessed: June 2024
  7. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04951622. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04951622. Last accessed: June 2024.
  8. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05327114. Available at: https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT05327114. Last accessed: June 2024
  9. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04119050. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04119050. Last accessed: June 2024.
  10. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05379634. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05379634. Last accessed: June 2024.
  11. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05912517. Available at: https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT05912517. Last accessed: June 2024
  12. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT06028438. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT06028438. Last accessed: June 2024.
  13. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04968912. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04968912. Last accessed: June 2024.
  14. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04882878. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04882878. Last accessed: June 2024.
  15. Lobato G, Soncini CS. Relationship between obstetric history and Rh(D) alloimmunization severity. Arch Gynecol Obstet. 2008 Mar;277(3):245-8. DOI: 10.1007/s00404-007-0446-x. Last accessed: June 2024.
  16. Roy S, Nanovskaya T, Patrikeeva S, et al. M281, an anti-FcRn antibody, inhibits IgG transfer in a human ex vivo placental perfusion model. Am J Obstet Gynecol. 2019;220(5):498 e491-498 e499.