Skip to main content

第II相CAPTIVATE試験の最新結果によりハイリスク患者さんを含む慢性リンパ性白血病における一次治療としてイムブルビカ®(イブルチニブ)とベネトクラクスの固定期間併用療法の持続的な臨床的有用性が示される

公開日: 
2024/06/27

 

※本プレスリリースは、6月14日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。

 

本プレスリリースは、日本国内において未承認の情報も含みます。予めご注意ください。

 

第II相CAPTIVATE試験の最新結果により
ハイリスク患者さんを含む慢性リンパ性白血病における一次治療として
イムブルビカ®(イブルチニブ)とベネトクラクスの固定期間併用療法の
持続的な臨床的有用性が示される

 

5年時点での無増悪生存率は67%、全生存率は96%

 

ベルギー、ベルセ(現地時間2024年6月14日) – ジョンソン・エンド・ジョンソングループのJanssen-Cilag International NVは6月14日、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者さんを対象に、イムブルビカ®(一般名:イブルチニブ)とベネトクラクスの固定期間併用療法(以下、I+V療法)を評価する第II相CAPTIVATE試験に関する最新の結果を発表しました1。追跡期間5.5年時点において、I+V療法は、全患者群とハイリスクな遺伝子変異を有する患者群の両方において、臨床的に意義のある無増悪生存期間を引き続き示しました1。本データは、2024年5月31日~6月4日にシカゴで開催された2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で口頭発表され(抄録番号:7009)、6月13日~16日にスペイン・マドリードで開催された欧州血液学会(EHA)総会でアンコール演題として発表されました(ポスター番号:P675)。

 

治験責任医師である、サン・ラッファエレ生命健康大学およびIRCCS サン・ラッファエレ病院(イタリア、ミラン)のPaolo Ghia医学博士は次のように述べています。「5年以上を経て、CAPTIVATE試験の結果は、ハイリスクの遺伝子変異を有する患者さんを含む、CLL患者さんにおける一次治療としてのイブルチニブとベネトクラクスのI+V療法の持続的な有用性を示しています。すべてが経口投与であり、化学療法を行わないこのI+V療法は、病勢を効果的にコントロールしながら、無治療期間を延長するというベネフィットを患者さんにもたらすことが期待できます」

 

第II相、多施設共同のCAPTIVATE試験の最新結果では、追跡期間中央値61.2カ月において、I+V療法群159症例中67%(95%信頼区間[CI]:59~74)が5年時点で無増悪で生存していました1。特に、最長5.5年の追跡期間を経ても無増悪生存期間は中央値に達しておらず、持続的な病勢コントロールを示唆しています1。全患者群の5年全生存率は96%でしたが、ハイリスクな遺伝子変異(17p欠失、TP53変異または複雑な染色体異常)を有する患者群の全生存率は90%(95%CI:77~96)で、ハイリスク遺伝子変異を有さない患者群では100%でした1。さらに、血液及び骨髄での微小残存病変(MRD)が検出不能な状態を達成した患者さんにおいては、これが予後改善と関連していました1。投与終了3カ月後に骨髄でのMRD検出不能を達成した患者さんの5年無増悪生存率は84%(95%CI:73~90)であったのに対し、MRD検出不能を達成しなかった患者さんでは50%(95%CI:36~62)でした1

 

I+V療法後に再発した限られた患者群において、その後のイブルチニブをベースとする治療は、ハイリスク遺伝子変異を有する患者さんであっても、許容可能な安全性プロファイルとともに、持続的な奏効をもたらすことが示されました1。I+V療法後に病勢進行がみられた61人中、32人がイブルチニブ単剤療法(n=25)又はI+V療法(n=7)で後治療を開始しました1。イブルチニブ単剤での治療期間中央値21.9カ月で、86%の患者さんが部分奏効以上の全奏効を達成しました。I+V療法再投与での治療期間中央値13.8カ月で、全奏効率は71%でした1

 

より長期的な追跡期間では、13人において18件の二次性悪性腫瘍が発生し、全体としては、前回の解析以降、I+V療法における新たな安全性シグナルは認められませんでした1。後治療中の有害事象は、イブルチニブ単剤療法及びI+V療法における既知の安全性プロファイルと一貫していました1。イブルチニブをベースとするレジメンでの再治療時に最もよく見られた有害事象(イブルチニブ単剤療法群の10%以上、またはI+V群の2症例以上で発生)は、下痢、高血圧、発熱、上気道感染症、悪心などで、重篤な有害事象が5例で報告されました1

 

第III相GLOW試験における6年間の次治療までの期間外挿曲線の結果

未治療のCLLに対するI+V療法の治療効果持続期間に関する長期エビデンスの最新の結果には、57カ月の追跡期間が含まれています2。次治療までの期間に関する入手可能なデータの範囲を超える外挿を行い、6年後に次の治療が必要でなくなる患者数を推定し、その結果をEHAのポスター発表で報告しました(ポスター番号:P699)2。この外挿法によれば、6年後に、I+V療法群の約87%は二次治療を必要とする可能性が低いことが示唆されました2。これらの結果は、一次治療でI+V療法を受けたCLLの患者さんの無治療期間が長くなる可能性を示唆しています2

 

Johnson & Johnson Innovative MedicineのEMEA Therapeutic Area Leadで ヘマトロジー領域の責任者であるEdmond Chan MBChB, M.D.(Res)は次のように述べています。「イブルチニブは、CLLにおいて固定期間併用療法と継続療法の両方で使用可能な唯一のブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬であり、同クラスにおいて最も包括的に試験が行われている治療薬です。EHAで発表された最新のデータは、イブルチニブのような、患者さんの進化するニーズや好みに合わせることのできる革新的な治療薬により、患者さんのケアを進展させるという私たちのコミットメントをより強固にするものです」

 

Johnson & Johnson Innovative Medicineのオンコロジー領域のグローバル・メディカル・アフェアーズ本部Vice PresidentであるMark Wildgust(PhD)は次のように述べています。「私たちの究極の目標は、血液がんを撲滅することです。そして、私たちはイブルチニブベースの療法が患者さんのアウトカムにもたらし続けている変革的な影響に刺激を受けています。現在、世界中で30万人近い患者さんがイブルチニブによる治療を受けています。最新の試験結果では、CLL患者さんが、I+V療法により長期の無治療期間につながる深く持続的な奏効を経験していることが示されています」

 

CAPTIVATE試験について

第II相CAPTIVATE試験(NCT02910583)では、ハイリスク疾患の患者さんを含む71歳以下、未治療の成人CLL患者さんを、MRDコホート(n=43、年齢中央値58歳)とI+V療法を行うコホート(n=159、年齢中央値60歳)の2つのコホートで評価しました1,3,4。I+V療法コホートの患者さんにはイブルチニブによる導入療法を3サイクル実施し、続いてI+V併用療法を12サイクル実施しました(経口イブルチニブ[420 mg/日]、経口ベネトクラクス[5週間で400 mg/日まで増量])。主要評価項目は完全寛解率としました3。MRDコホートでは、イブルチニブによる導入療法3サイクル実施し、その後I+V療法12サイクルを行った後、MRD検出不能を達成した患者さんを、プラセボによる二重盲検治療、又はイブルチニブの継続治療のいずれかに無作為に割り付けました3。主要評価項目は1年無病生存率としました3

 

GLOW試験について

GLOW試験(NCT03462719)は、(a) 65歳以上または(b) 18〜64歳でcumulative illness rating scale(CIRS)スコア6以上またはクレアチニンクリアランス70 mL/分未満、成人のCLL患者さん(International Workshop on CLL規準において治療を要する活動性疾患と判断される患者さん)を対象に、一次治療としての有効性及び安全性をI+V療法とクロラムブシルとオビヌツズマブの併用療法とで比較検討する、無作為化、非盲検、第III相試験です5

 

第III相GLOW試験における次治療までの時間6年外挿曲線について

6年間の外挿は生存分布関数を、GLOW試験のI+V群にカプランマイヤーデータに、生存分布関数を適用することで作成しました(次治療までの時間は、後治療までの時間と定義)2。生存分布は、事象(すなわち、その後の抗がん剤治療の開始)を経験しない確率を時間ごとに記述したものです2。この分析には、国立医療技術評価機構(NICE)のTechnical Decision Support Unitの推奨に従って、指数分布、ワイブル分布、ゴンペルツ分布、対数ロジスティック分布、対数正規分布、ガンマ分布、一般化ガンマ分布のパラメトリックモデルを適用しました2。各分布について、赤池情報量規準(AIC)とベイズ情報量規準(BIC)により測定データに対する適合性を評価しました2。どの分布がデータに最も適合するかを評価する際には、目視検査だけでなく、AIC及びBICも用いました2。外挿は分析時点(追跡期間46カ月)で入手可能なデータを使用して行いました2

 

イブルチニブについて

イブルチニブは、ヤンセン・バイオテック社とアッヴィ社の傘下にあるファーマサイクリックス社が共同開発・販売する、1日1回の経口剤です6。イブルチニブは、特定のがん細胞を含む正常及び異常なB細胞が増殖及び拡散するために必要とするブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)というタンパク質の働きを阻害します7。BTKを阻害することにより、イブルチニブは異常なB細胞を生存環境から切り離し、その増殖を抑制します8
イブルチニブは、世界100カ国以上で承認されており、30万人近くの患者さんに使用されています9。18の第III相臨床試験を含む、50以上の企業主導の臨床試験が行われており、11年以上にわたりイブルチニブの有効性と安全性を評価しています5,10。2021年10月、イブルチニブはWHO(世界保健機関)の必須医薬品・診断薬リスト(EML)に掲載されました。このリストには、世界保健上の優先事項に対処しており、すべての人にとって入手可能で安価であるべき医薬品が収載されています11

 

イブルチニブは、2014年に初めて欧州委員会(EC)に承認されました。これまでに承認されている適応症は次のとおりです5以下は、日本国内の適応症ではありません。ご注意ください。

  • 前治療歴のない成人のCLLに対する単剤又はリツキシマブ、オビヌツズマブ、ベネトクラクスのいずれかとの併用療法
  • 1つ以上の前治療歴のある成人のCLLに対する単剤又はベンダムスチン及びリツキシマブ(BR)との併用療法
  • 成人の再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫(MCL)に対する単剤療法
  • 1つ以上の前治療歴のある成人の原発性マクログロブリン血症(WM)に対する単剤療法又は化学免疫療法が適していない患者さんの一次治療としての単剤療法及び成人WMに対するリツキシマブとの併用療法

 

全有害事象一覧ならびに用法・用量、禁忌およびその他のイブルチニブ使用上の注意に関する情報については、製品概要をご参照ください。

 

慢性リンパ性白血病について

CLLは、一般的に進行の遅い白血球のがんです12。欧州におけるCLL罹患率は100,000人あたり約4.92症例で、女性よりも男性で約1.5倍多く見られます13。CLLは高齢の方に多く発症し、診断時の年齢の中央値は72歳です14。患者さんの予後はこの数十年で大きく改善したものの、増悪を繰り返すこと、治療が必要であることが、依然としてこの病気の特徴です15。再発したり、治療に対する抵抗性を示すことがあり、多くの場合、患者さんは複数ラインの治療を受けることになります16

 

Paolo Ghia医学博士は、ヤンセンのコンサルタントを務めていますが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っておりません。

 

ヤンセンについて

ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、網膜疾患の分野で貢献ができると考え、注力しています。

ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。

ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。

 

【本件に関するお問合せ先】

ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]

 

参考文献

  1. Jacobs et al., Outcomes in High-risk Subgroups After Fixed-Duration Ibrutinib + Venetoclax for Chronic Lymphocytic Leukemia/Small Lymphocytic Lymphoma: Up To 5.5 years of Follow-up in the Phase 2 CAPTIVATE Study. Poster presentation at 2024 European Hematology Association (EHA) Hybrid Congress; June 13–16, 2024. P675
  2. Osorio Prendes et al., 6-Year Time To Next Treatment (Ttnt) Extrapolation Curve For Glow Study: First-Line Ibrutinib + Venetoclax (I+V) Offers Long Treatment-Free Period For Elderly/Unfit Cll Patients. Presented at 2024 European Hematology Association Hybrid Congress. Poster #P699
  3. ClinicalTrials.gov. Ibrutinib Plus Venetoclax in Subjects With Treatment-naive Chronic Lymphocytic Leukemia /Small Lymphocytic Lymphoma (CLL/SLL) (CAPTIVATE). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02910583. Last accessed: June 2024
  4. Ghia P, et al. Fixed-duration ibrutinib + venetoclax for first-line treatment of chronic lymphocytic leukemia (CLL)/small lymphocytic lymphoma (SLL): up to 5 years of follow-up from the FD cohort of the phase 2 CAPTIVATE study. 2023 American Society of Hematology Annual Meeting. December 10, 2023
  5. ClinicalTrials.gov A Study of the Combination of Ibrutinib Plus Venetoclax Versus Chlorambucil Plus Obinutuzumab for the First-line Treatment of -Participants With Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL)/Small Lymphocytic Lymphoma (SLL) (GLOW). Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT03462719. Last accessed: June 2024
  6. European Medicines Agency. IMBRUVICA Summary of Product Characteristics. September 2023. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/imbruvica-epa.... Last accessed: June 2024.
  7. Turetsky A, et al. Single cell imaging of Bruton's tyrosine kinase using an irreversible inhibitor. Sci Rep. 2014;4:4782.
  8. de Rooij MF, et al. The clinically active BTK inhibitor PCI-32765 targets B-cell receptor- and chemokine-controlled adhesion and migration in chronic lymphocytic leukemia. Blood. 2012. 119(11):2590-2594
  9. J&J Data on File (RF-419273). Global number of cumulative patients treated with Ibrutinib since launch. June 2024
  10. Pollyea DA, et al. A Phase I Dose Escalation Study of the Btk Inhibitor PCI-32765 in Relapsed and Refractory B Cell Non-Hodgkin Lymphoma and Use of a Novel Fluorescent Probe Pharmacodynamic Assay. Blood. 2009. 114(22): 3713
  11. World Health Organization. WHO prioritizes access to diabetes and cancer treatments in new Essential Medicines Lists. Available at: https://www.who.int/news/item/01-10-2021-who-prioritizes-access-to-diabe.... Last accessed: June 2024.
  12. American Cancer Society. What is chronic lymphocytic leukemia? Available at: https://www.cancer.org/cancer/chronic-lymphocytic-leukemia/about/what-is.... Last accessed: June 2024.
  13. Sant M, et al. Incidence of hematologic malignancies in Europe by morphologic subtype: results of the HAEMACARE project. Blood. 2010. 116:3724–34.
  14. Eichhorst B, et al. Chronic lymphocytic leukaemia: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up Ann Oncol. 2021 an;32(1):23-33.
  15. Moreno C. Standard treatment approaches for relapsed/refractory chronic lymphocytic leukemia after frontline chemoimmunotherapy. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2020;2020:33-40.
  16. Bewarder M, et al. Current Treatment Options in CLL. Cancers (Basel). 2021;13(10):2468