※本プレスリリースは、6 月3 日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
本プレスリリースは、日本国内において未承認の情報も含みます。予めご注意ください。
DARZALEX®(ダラツムマブ)をベースとするレジメンが、新たに多発性骨髄腫と
診断された移植適応及び移植非適応患者さんの予後を有意に改善
第III相PERSEUS試験においてDARZALEX FASPRO®をベースとする導入、地固め、維持療法
レジメンにより、移植適応の患者さんの88 %が完全奏効以上を、47%が微小残存病変
(Minimal Residual Disease: MRD)陰性持続率1年以上を達成
第III相MAIA試験の最終解析において、DARZALEX®をベースとするレジメンでの
全生存期間中央値で、移植非適応の患者さんでの報告中、最長の7.5年を示す
シカゴ(米国時間2024年6月3日) – ジョンソン・エンド・ジョンソンは6月3日、第III相PERSEUS試験の結果を発表しました。本試験の結果は、新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応患者さんにおいて、DARZALEX FASPRO®(ダラツムマブ<遺伝子組換え>・ボルヒアルロニダーゼ アルファ<遺伝子組換え>製剤)をボルテゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンを併用する導入レジメン(D-VRd)と、その後にDARZALEX FASPRO®とレナリドミドを併用する維持療法レジメン(D-R)が、深い奏効とMRD持続率を10-5及び10-6の両レベルで達成したことを示すものです。VRdと比較して、DARZALEX FASPRO®をベースとする4剤併用導入、地固め療法レジメン+2剤併用維持療法レジメンでは、奏効の深さの割合及びMRD陰性率は無増悪生存期間(PFS)の改善と関連していました。この結果は、2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)総会の口頭発表(抄録番号7502)で発表され、2024年欧州血液学会(EHA)総会の口頭発表(抄録番号S201)で報告されます。
Cancer Center Clínica Universidad de NavarraのDepartment of Hematology(Pamplona, Navarra, Spain)のDr. Paula Rodriguez-Otero‡は、次のように述べています。「MRD陰性は、多発性骨髄腫患者さんの長期的な無増悪生存期間を予測する上で重要な指標です。奏効の深さの割合と、MRD陰性持続率が、DARZALEX FASPRO®をベースとするレジメンでより高かったという結果は、D-VRd+D-R維持療法が、新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応患者さんの治療におけるパラダイムシフトをもたらし、機能的治癒の可能性を高めるものであることを強調しています」
PERSEUS試験では、D-VRd群において、VRd群(n=354)よりも深い奏効と高いMRD陰性率が10-5及び10-6の両レベルで経時的に認められ、治療終了時点の完全奏効率もより高く、地固め療法終了時点でそれぞれ44.5%と34.7%、維持療法終了時点でそれぞれ87.9%と70.1%でした。D-VRd群では、10-6レベルのMRD陰性率は経時的に増加し、VRd群よりも一貫して高く、12ヵ月時点でそれぞれ43.9%と20.9%(P=0.0001)、24ヵ月時点でそれぞれ57.7%と27.4%(P=0.0001)、36ヵ月時点でそれぞれ63.9%と30.8%(P=0.0001)でした1。
またD-VRd群では、10-6レベルのMRD陰性率は12ヵ月以上にわたりVRd群よりも高く、それぞれ47.3%と18.6%(P<0.0001)でした。48ヵ月時点のPFS率は、D-VRd群が84.3%、VRd群が67.7%でした(ハザード比[HR]:0.42、95% CI:0.30~0.59、P<0.0001)。
フロントライン併用療法としてのDARZALEX®をベースとするレジメンの第III相MAIA試験における生存期間に関する最終解析データをEHAで発表
MAIA試験の追跡調査データより、全生存期間の中央値はDARZALEX®+レナリドミド+デキサメタゾン(D-Rd)群で7.5年であり、新たに多発性骨髄腫と診断された移植非適応患者さんにおける死亡リスクが、レナリドミド+デキサメタゾン(Rd)群に比べ33%低下したことが示されました(HR:0.67、95% CI:0.55~0.82、名目P<0.0001)2。全生存期間の中央値はD-Rd群で90.3ヵ月、Rd群で64.1ヵ月でした。全生存期間に対する効果についてのD-Rd群とRd群の差は、予め規定したすべての部分集団において一貫していました。MAIA試験に組み入れられた患者さんの年齢中央値は73歳(範囲:45~90歳)で、75歳を超える患者さんの割合は43.6%でした2。この解析結果は、EHAのポスター発表(抄録番号P968)で報告されます。
Johnson & Johnson Innovative Medicineの多発性骨髄腫領域のDisease Area Leaderで、Vice PresidentでもあるJordan Schecter, M.D.は、次のように述べています。「MAIA試験において全生存期間の中央値7.5年が示されたことで、移植非適応におけるフロントライン治療のベース薬としてのDARZALEX®の有効性が明らかになりました。DARZALEX®は、新たに多発性骨髄腫と診断された患者さんを対象とした3つのすべての試験において、全生存期間の延長を示したことから、標準治療としてのDARZALEX®の重要性を裏付けるものとなりました。DARZALEX®をベースとする4剤併用療法及び3剤併用療法は、新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応及び移植非適応患者さんの予後を改善しています」
新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応の患者さんを対象に、DARZALEX®をベースとする治療法と維持療法について検討した第III相CASSIOPEIA試験の長期データをEHAにて発表
CASSIOPEIA試験の6年を超える追跡調査結果から、DARZALEX®による移植後維持療法は進行または死亡のリスクを、経過観察に比べて51%低下させたことが明らかになり、PFSの中央値は経過観察下では4年未満(45.8ヵ月)であったのに対し、DARZALEX®では6年時点で未達でした(HR:0.49、95% CI:0.40~0.59、P< 0.0001)3。この試験結果は、EHAの口頭発表(抄録番号S204)で報告されます。
PERSEUS試験、MAIA試験及びCASSIOPEIA試験において、安全性プロファイルは、DARZALEX®及びDARZALEX FASPRO®の既知の安全性プロファイルと一貫していました1,2,3。
‡Dr. Paula Rodriguez-Otero(Department of Hematology, Cancer Center Clínica Universidad de Navarra)は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのコンサルタントを務めていますが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っていません。
PERSEUS試験について
PERSEUS試験(NCT03710603)は、スポンサーであるEuropean Myeloma Networkと共同で実施されています。本試験は、新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応の患者さんを対象に、D-VRd+自家造血幹細胞移植(ASCT)とその後のD-R維持療法の有効性及び安全性を、VRd+ASCTとその後のR維持療法と比較する、無作為化、非盲検、第III相試験です。主要評価項目はPFS、副次評価項目は完全奏効(CR)とそれ以上の割合、(CR以上を達成した患者さんにおける)全体的なMRD陰性率及び全生存期間です。DARZALEX FASPRO®は、CR以上と判定され、かつMRD陰性が12ヵ月以上持続した患者さんにおいて、24ヵ月以上のD-R維持療法後に中止されました4。組み入れられた患者さんの年齢中央値は、D-VRd群が61.0(32~70)歳、VRd群が59.0(31~70)歳です。この試験は欧州14ヵ国とオーストラリアで実施されています。
PERSEUS試験のデータは、2023年米国血液学会総会のLate Breaking Oral Session(LBA-1)報告されるとともに、2023年に『The New England Journal of Medicine』にも掲載されました。
MAIA試験について
MAIA試験は、新たに多発性骨髄腫と診断され、大量化学療法及びASCT非適応の45~90歳(年齢の中央値73歳)の737人の患者さんを対象とした、無作為化、非盲検、多施設共同、第III相(NCT02076009)試験です5。患者さんは、1サイクル28日間のD-Rd群またはRd群のいずれかに無作為に割付けられました。D-Rd群の患者さんには、DARZALEX® 16 mg/kgを、サイクル1~2は1週ごと、サイクル3~6は2週ごと、サイクル7以降は4週ごとに静脈内投与を行いました5。またD-Rd群とRd群の患者さんに、各28日サイクルの1~21日目にレナリドミド25 mgを投与し、デキサメタゾン40 mgを各サイクルにおいて週1回投与しました。両群とも、進行または許容できない毒性に至るまで治療を継続しました6。
CASSIOPEIA試験について
CASSIOPEIA試験は、French Intergroupe Francophone du Myelomeが、Dutch-Belgian Cooperative Trial Group for Hematology Oncology及びJanssen Research & Development, LLCと共同で実施している、無作為化、非盲検、多施設共同、第III相(NCT02541383)試験です。この第III相試験には、新たに多発性骨髄腫と診断され、未治療の、症状があり、かつ大量化学療法及びASCT適応の1,085人が組み入れられました。本試験のパート1で、新たに多発性骨髄腫と診断されたASCT適応の患者さんを対象に、導入、地固め療法として、DARZALEX®(D)をボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン(VTd)の併用療法(D-VTd)群とVTd群とを比較したところ、D-VTd群でより深い奏効が得られ、PFSの延長が認められました。そして本試験のパート2で、8週ごとのD維持療法(標準的な長期投与頻度である4週ごとよりも投与頻度を減らしたもの)を経過観察と比較しました。本試験のパート2の主要評価項目は、移植100日後に厳格な完全奏効(sCR)を達成した患者さんの割合です。本試験のパート2(現在進行中)では、パート1で部分奏効以上を達成した患者さんを、2回目の無作為割付けにより、DARZALEX® 16 mg/kgを8週ごとに最大2年間投与する維持治療群、それ以上の治療を行わず観察する群に組み入れました。本試験のパート2の主要評価項目は無増悪生存期間です7。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、骨髄内にある形質細胞と呼ばれる白血球の一種が侵される血液がんです8。多発性骨髄腫では、これらの形質細胞が変化して急速に増殖し、骨髄中の正常細胞を腫瘍に置き換えていきます9。多発性骨髄腫は血液がんの中で3番目に多いがんであり、依然として治癒が難しい疾患です10。2024年には、米国において35,000人以上が多発性骨髄腫と診断され、12,000人以上がこの疾患により亡くなると推定されています7。多発性骨髄腫の5年生存率は59.8%です7。多発性骨髄腫は無症状の場合もありますが、骨折や骨痛、赤血球減少、倦怠感、カルシウム値の上昇、腎障害または感染症などにより受診し診断されることがあります12,13。
DARZALEX FASPRO®及びDARZALEX®について ※以下は、米国における承認状況です。
DARZALEX FASPRO®(ダラツムマブとヒアルロニダーゼの合剤)は、2020年5月に米国FDAの承認を取得し、多発性骨髄腫における8つの適応症に対して承認されています14。そのうちの3つが、新たに診断された移植適応または移植非適応の患者さんにおけるフロントライン治療です。本剤は、多発性骨髄腫患者さんの治療薬として承認されている唯一のCD38に対する皮下投与する抗体薬です。DARZALEX FASPRO®は、Halozyme社のENHANZE®ドラッグデリバリー技術である遺伝子組換えヒアルロニダーゼPH20(rHuPH20)と共に製剤化されています。
※なおDARZALEX FASPRO®は、日本国内では「ダラキューロ®配合皮下注」名で販売されています。
DARZALEX®(ダラツムマブ)は2015年11月に米国FDAの承認を取得し、8つの適応症に対して承認されています。そのうちの3つが、新たに診断された移植適応または移植非適応の患者さんにおけるフロントライン治療です6。
DARZALEX®は、多発性骨髄腫治療薬として承認された最初のCD38に対する抗体薬です5。DARZALEX®をベースとするレジメンは、世界中の518,000人以上の患者さん、米国だけでも68,000人以上の患者さんの治療に用いられてきました。
2012年8月、ヤンセン・バイオテックとGenmab A/Sは、ダラツムマブを開発・製造・販売するための独占的ライセンスをヤンセンに付与する契約を世界規模で締結しました。
2020年以降、National Comprehensive Cancer Network®(NCCN®)は、新たに診断された多発性骨髄腫ならびに再発性及び難治性の多発性骨髄腫の治療にダラツムマブをベースとする併用レジメンを推奨してきました†。新たに多発性骨髄腫と診断された移植非適応患者さんに対しては、NCCN®ガイドラインは、ダラツムマブとレナリドミド及びデキサメタゾンの併用を、望ましいカテゴリー1レジメンの1つとして推奨しており、ダラツムマブとボルテゾミブ、メルファラン及びプレドニゾンの併用を追加的なカテゴリー1レジメンとして推奨しており、ダラツムマブとボルテゾミブ、シクロホスファミド及びプレドニゾンの併用を、推奨される追加的なカテゴリー2Aレジメンとして推奨しています。新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応患者さんに対してNCCN®ガイドラインは、ダラツムマブとボルテゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンの併用を、追加的なカテゴリー2Aレジメンとして推奨しており、ダラツムマブとボルテゾミブ、サリドマイド及びデキサメタゾンの併用を、特定の状況で有用なカテゴリー2Aレジメンの1つとして推奨しており、ダラツムマブとカルフィルゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンの併用を、特定の状況で有用なカテゴリー2Aレジメンの1つとして推奨しており、ダラツムマブとシクロホスファミド、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用を、特定の状況で有用なカテゴリー2Aレジメンの1つとして推奨しています。移植適応患者さんに対する維持療法としては、NCCN®ガイドラインは、ダラツムマブとレナリドミドの併用を、特定の状況で有用として推奨しています。再発性/難治性骨髄腫については、早期再発(前治療が1~3つ)に対して、ダラツムマブとレナリドミド及びデキサメタゾンの併用、ダラツムマブとボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用、ダラツムマブとカルフィルゾミブ及びデキサメタゾンの併用、ならびにダラツムマブとポマリドミド及びデキサメタゾンの併用[レナリドミド及びプロテアソーム阻害薬(PI)1剤を含む1つの前治療の後]の、4つのダラツムマブレジメンが望ましいカテゴリー1レジメンとして記載されています。またNCCN®は、ダラツムマブとシクロホスファミド、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用を、早期再発(前治療が1~3つ)に対する追加的なカテゴリー2Aレジメンとして、またPI 1剤及び免疫調節薬1剤を含む3つ以上の前治療後の早期に再発した患者さん、またはPI及び免疫調節薬に二重抵抗性の患者さんに対する、単独療法としての特定の状況で有用なカテゴリー2Aレジメンの1つとして推奨しています。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、網膜疾患の分野で貢献ができると考え、注力しています。
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参考文献
- Rodríguez-Otero P, et al. Daratumumab (DARA) + bortezomib/lenalidomide/dexamethasone (VRd) in transplant-eligible (TE) patients (pts) with newly diagnosed multiple myeloma (NDMM): Analysis of minimal residual disease (MRD) in the PERSEUS trial. 2024 American Society for Clinical Oncology Annual Meeting. June 3, 2024.
- Facon T, et al. Final survival analysis of daratumumab plus lenalidomide and dexamethasone versus lenalidomide and dexamethasone in transplant-ineligible patients with newly diagnosed multiple myeloma: MAIA Study. 2024 European Hematology Association Hybrid Congress. Accessed June 1, 2024. https://library.ehaweb.org/eha/2024/eha2024-congress/421032/thierry.faco...
- Moreau P, et al. Daratumumab (DARA) + bortezomib/thalidomide/dexamethasone (D-VTd) followed by dara maintenance in transplant-eligible (te) newly diagnosed multiple myeloma: >6-year update of CASSIOPEIA. 2024 European Hematology Association Hybrid Congress. Accessed June 1, 2024. https://library.ehaweb.org/eha/2024/eha2024-congress/422308/philippe.mor...
- ClinicalTrials.gov Identifier NCT03710603. Accessed May 2024. https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT03710603
- ClinicalTrials.gov Identifier NCT02076009. Accessed May 2024. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02076009.
- DARZALEX® Prescribing Information, November 2022.
- ClinicalTrials.gov Identifier NCT02541383. Accessed May 2024. https://clinicaltrials.gov/study/NCT02541383.
- Rajkumar SV. Multiple myeloma: 2020 update on diagnosis, risk-stratification and management. Am J Hematol. 2020;95(5):548-5672020;95(5):548-567. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32212178
- National Cancer Institute. Plasma Cell Neoplasms. Accessed July 9, 2023. Available at: https://www.cancer.gov/types/myeloma/patient/myeloma-treatment-pdq
- Multiple myeloma. City of Hope, 2022. Multiple Myeloma: Causes, Symptoms & Treatments. Accessed July 18, 2023. https://www.cancercenter.com/cancer-types/multiple-myeloma
- American Cancer Society. Myeloma Cancer Statistics. Accessed May 2024. Available at: https://cancerstatisticscenter.cancer.org/types/myeloma
- American Cancer Society. What is Multiple Myeloma? Accessed May 2024. Available at: https://www.cancer.org/cancer/multiple-myeloma/about/what-is-multiple-my...
- American Cancer Society. Multiple Myeloma Early Detection, Diagnosis, and Staging. Accessed May 2024. Available at: https://www.cancer.org/cancer/types/multiple-myeloma/detection-diagnosis...
- DARZALEX FASPRO® Prescribing Information. Revised November 2022.