Skip to main content

Nipocalimab、ユニークな分子特性に基づき、全身型重症筋無力症治療において 他剤との違いが期待できる可能性が、米国神経学会の2024年年次総会で発表

2024/04/23

 

※本プレスリリースは、4月11日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先します。本資料(英文)についてはこちらをご参照ください。

 

本邦においてnipocalimabは現在開発中であり、現時点では承認されておりません。

 

Nipocalimab、ユニークな分子特性に基づき、
全身型重症筋無力症治療において
他剤との違いが期待できる可能性が、米国神経学会の2024年年次総会で発表

 

Nipocalimabが、速やかにかつ強力に免疫グロブリンG(IgG)を減少、持続させる可能性があることが、臨床試験および非臨床試験の解析で明らかに

 

デンバー コロラド州(米国時間2024年4月11日) – ジョンソン・エンド・ジョンソンは本日、胎児性Fc受容体(FcRn)を標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体で、現在開発中のnipocalimabの分子特性について、新たな非臨床試験の結果を発表することを明らかにしました。本試験のデータは、FcRnの免疫グロブリンG(IgG)結合部位に対する高い親和性や特異性といったユニークな特徴を持つことを示しています1。これらの特性と、試験用に選択された用法・用量は、用量及び時間依存的な受容体占有率、その結果、全身型重症筋無力症(Generalized Myasthenia Gravis:gMG)などの神経免疫疾患やその他の自己抗体疾患におけるIgG自己抗体を含むIgGを速やかに、かつ強力に減少、持続させます1。このデータは、弊社が米国神経学会(AAN)の2024年年次総会で発表する6つの学術ポスターのうちの1つです(ポスター14-008)。

 

gMGは、自己抗体を原因とする易疲労性の高い希少疾患で、現在のところ根治療法はなく、骨格筋の日内変動を伴う筋力低下を特徴とし、発話困難や嚥下困難などの症状が現れます1。『Neurology』誌(2024年)に掲載されたnipocalimabの第II相臨床試験では、IgG減少の程度が大きい重症筋無力症の患者さんほど、主な有効性評価項目(MG-ADLaなど)が大きく改善する傾向にあることが明らかになりました2,3

 

Johnson & Johnson Innovative MedicineのNeuroscienceのClinical Development LeaderであるSindhu Ramchandren, M.D.は次のように述べています。「今回新たに得られたデータは、nipocalimabが、自己抗体を原因とするgMGのような神経疾患に対して最適な治療成績をもたらす可能性があることを示す新たなエビデンスです。しかし、gMGにおいて持続的な症状コントロールを可能にするような、より効果的な治療法に対するアンメットニーズは依然として残っています。私たちは、ユニークな分子特性をもつnipocalimabが、この易疲労性、日内変動を伴う筋力低下を特徴とする慢性疾患とともに生きる患者さんの治療におけるアンメットニーズを満たす可能性があると期待しています」

 

nipocalimabは、自己抗体や同種抗体を原因とする3つの疾患「母体胎児免疫疾患」、「希少な自己抗体疾患」、「比較的罹患率の高いリウマチ性疾患」の全ての領域にわたって研究開発が行われている唯一のFcRn阻害薬です1。過去1年間で、nipocalimabは、これらの3つの疾患領域すべてにおいて、自己抗体を原因とする4つの疾患に対して臨床効果を示しました。これらの4つの疾患とは、「母体胎児免疫疾患」に属する胎児・新生児溶血性疾患(Hemolytic Disease of the Fetus and Newborn:HDFN)、「希少自己抗体疾患」に属するgMG、そして「比較的罹患率の高いリウマチ性疾患」に属するシェーグレン症候群(Sjögren's Disease:SjD)および関節リウマチです。nipocalimabは、pHに依存することなく、FcRnに対して高い親和性を示すため、母体の循環IgG濃度を低下させ、IgGが母体から胎児に移行するのを阻止します。経胎盤移行はほとんど認められていません。このような特性を持つことから、nipocalimabは、母体・胎児への適応について研究されている唯一のFcRn阻害薬となっています1。これらの適応症はアンメットメディカルニーズが高いだけでなく、自己抗体を原因とする疾患を抱えている患者さんの約80%が女性であり、その半数が妊娠可能な女性ということからも4,5妊娠中のデータを収集することで、他剤との違いを期待することができます。

 

Johnson & Johnson Innovative MedicineのVice PresidentおよびAutoantibody and Maternal Fetal Immunology Disease Area LeaderであるKatie Abouzahr, M.D.は次のように述べています。「AANの2024年年次総会でnipocalimabの最新データを発表できること、またそれにより、自己抗体疾患治療の開発を追求する、当社の揺るぎない姿勢を示すことができることを嬉しく思います。私たちは、これまでに培った神経科学と免疫学の専門知識、免疫介在性疾患に関する理解、そしてnipocalimabの包括的な試験結果を活用し、症状のない寛解状態を持続させることができる革新的な治療法を患者さんに届けられるよう、全力を尽くしています」

 

nipocalimabは、米国食品医薬品局(FDA)により、2019年7月にHDFNおよび温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、2021年12月にgMG、2024年3月に胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)でFast Trackに指定され、2019年12月にwAIHA、2020年6月にHDFN、2021年2月にgMG、2021年10月に慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、2023年12月に胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)でオーファンドラッグに指定されました。またHDFNに対する治験薬として、2024年2月にFDAよりBreakthrough Therapy Designationを受け、2019年10月に欧州医薬品庁よりオーファンドラッグに指定されました。

 

用語の説明:

  • a. MG-ADL(Myasthenia Gravis–Activities of Daily Living[重症筋無力症-日常生活動作])は、日常生活動作に影響を及ぼす症状を患者さんの報告に基づいて迅速に臨床評価する指標です。合計スコアは0~24で、スコアが高いほど症状の重症度が高いことを示します。

 

全身型重症筋無力症(gMG)について

重症筋無力症(MG)は、自己抗体が神経筋接合部のタンパク質を標的として、神経筋シグナル伝達を障害し、筋収縮を障害または妨げる自己抗体疾患です。世界で70万人の患者さんがいると推定され、このうち85%はより広範囲に病変が広がっています6。MGでは、免疫系が抗受容体抗体(最も一般的なものは、抗アセチルコリン受容体[AChR]抗体または抗筋特異的キナーゼ[MuSK]抗体)を産生し、誤って筋受容体を攻撃します。それにより、これらの筋受容体が遮断または破壊され、神経から筋肉に伝達されるシグナルが妨げられます7。症状としては、四肢脱力、眼瞼下垂、複視、咀嚼困難、嚥下困難、発話困難、呼吸困難などが挙げられます8,9。gMGは既存の治療法で対処できる場合もありますが、既存の治療法では十分な効果が得られない、もしくは現治療に対して忍容性がない患者さんのために、新たな治療薬の開発が必要とされています。

 

nipocalimabについて

nipocalimabは、現在開発中の高親和性、完全ヒト型、アグリコシル化、エフェクターレスのモノクローナル抗体であり、FcRnを選択的に阻害し、複数の疾患の根本的な原因となっている自己抗体や同種抗体をはじめとする循環免疫グロブリンG(IgG)抗体の濃度を下げます10。nipocalimabは、3つの重要な自己抗体疾患である「希少な自己抗体疾患」(例:成人および小児の全身型重症筋無力症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、温式自己免疫性溶血性貧血、特発性炎症性筋疾患)、母体の同種抗体を媒介する「母体胎児疾患」(例:HDFN)、そして「比較的罹患率の高いリウマチ性疾患」(例:関節リウマチ、SjD、全身性エリテマトーデス)の治療薬として開発中の唯一のFcRn阻害薬です11,12,13,14,15,16,17,18,19。FcRnを阻害することで、広範囲な免疫抑制を引き起こさずに免疫機能を維持したまま、全体的な自己抗体濃度を低下させられる可能性があります。また、胎盤でIgGがFcRnに結合するのを阻害することで、母体の同種抗体が胎盤を介して胎児に移行するのを防ぐことができるとも考えられています20,21

 

ヤンセンについて

ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、網膜疾患の分野で貢献ができると考え、注力しています。

ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。

ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。

 

【本件に関するお問合せ先】

ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]

 

参考文献

 

  1. Nilufer Seth, et al. Nipocalimab a High Affinity, Immunoselective Clinical FcRn Blocker with Unique Properties: Observations from Non-clinical and Clinical Studies. 2024.
  2. “Johnson & Johnson Reports Positive Topline Results for Nipocalimab from a Phase 3 Pivotal Study in Generalized Myasthenia Gravis (GMG) and a Phase 2 Study in Sjögren’s Disease (SJD).” JNJ.com, February 13, 2024.
  3. Carlo Antozzi et al., Safety and Efficacy of Nipocalimab in Patients With Generalized Myasthenia Gravis: Results From the Randomized Phase 2 Vivacity-MG Study Neurology. 2024 Jan 23;102(2)
  4. Angum, Fariha et al. Cureus vol. 12,5 e8094. 13 May. 2020, DOI:10.7759/cureus.8094
  5. Johnson & Johnson data on file
  6. Chen J, Tian D-C, Zhang C, et al. Incidence, mortality, and economic burden of myasthenia gravis in China: A nationwide population-based study. The Lancet Regional Health - Western Pacific. 2020;5(100063). https://doi.org/10.1016/j.lanwpc.2020.100063.
  7. Wiendl, H., et al., Guideline for the management of myasthenic syndromes. Therapeutic advances in neurological disorders, 16, 17562864231213240. https://doi.org/10.1177/17562864231213240. Last Accessed April 2024.
  8. Myasthenia gravis fact sheet. Retrieved April 2024 from https://www.ninds.nih.gov/sites/default/files/migrate-documents/myasthen....
  9. Myasthenia Gravis: Treatment & Symptoms. (2021, April 7). Retrieved April 2024 from https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/17252-myasthenia-gravis-mg.
  10. ClinicalTrials.gov. NCT03842189. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03842189. Last accessed: April 2024
  11. de Winter DP, Kaminski A, et al. Hemolytic disease of the fetus and newborn: systematic literature review of the antenatal landscape. BMC Pregnancy and Childbirth. 2023;23(12). DOI: https://doi.org/10.1186/s12884-022-05329-z. Last accessed: April 2024.
  12. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05265273. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05265273. Last accessed: April 2024.
  13. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04951622. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04951622. Last accessed: April 2024.
  14. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05327114. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05327114. Last accessed: April 2024.
  15. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04119050. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04119050. Last accessed: April 2024.
  16. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04968912. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04968912. Last accessed: April 2024.
  17. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04882878. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04882878. Last accessed: April 2024.
  18. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05379634. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05379634. Last accessed: April 2024.
  19. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04991753. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04991753. Last accessed: April 2024.
  20. Lobato G, Soncini CS. Relationship between obstetric history and Rh(D) alloimmunization severity. Arch Gynecol Obstet. 2008 Mar;277(3):245-8. DOI: 10.1007/s00404-007-0446-x. Last accessed: April 2024.
  21. Roy S, Nanovskaya T, Patrikeeva S, et al. M281, an anti-FcRn antibody, inhibits IgG transfer in a human ex vivo placental perfusion model. Am J Obstet Gynecol. 2019;220(5):498 e491-498 e499.