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全身型重症筋無力症を対象とした第III相ピボタル試験、シェーグレン症候群を対象とした第II相試験で得られたnipocalimabに関する良好な結果を報告

公開日: 
2024/02/20

 

※本プレスリリースは、2月5日に米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容及び解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。

 

本邦ではnipocalimabは現在開発中であり、現時点では承認されておりません。

 

全身型重症筋無力症を対象とした第III相ピボタル試験、シェーグレン症候群を
対象とした第II相試験で得られたnipocalimabに関する良好な結果を報告

 

持続的な疾患コントロールをもたらす有効かつ安全な治療法に対するアンメットニーズが存在する慢性の自己抗体疾患、全身型重症筋無力症においてnipocalimabが臨床効果を示す

 

比較的罹患数の多い自己抗体疾患の1つであり、承認された高度な治療薬が存在しないシェーグレン症候群に対し、初のFcRn阻害薬であるnipocalimabが有効性を示す

 

直近12ヵ月間で、nipocalimabは4つの自己抗体疾患において臨床的有効性を示した

 

スプリングハウス ペンシルベニア州(米国時間2024年2月5日) – ジョンソン・エンド・ジョンソンは、成人の全身型重症筋無力症(Generalized Myathenia Gravis:gMG)患者さんを対象としたnipocalimabのピボタル第III相VIVACITY試験及び成人のシェーグレン症候群(Sjögren's Disease:SjD)患者さんを対象とした第II相DAHLIAS試験の結果を発表しました。nipocalimabはこの1年間で、gMGおよびSjDに加え、胎児・新生児溶血性疾患(Hemolytic Disease of the Fetus and Newborn:HDFN)および関節リウマチの4つの自己抗体疾患に対する臨床的有効性を示しました。

 

gMGを対象とした第III相VIVACITY試験では、nipocalimabは主要評価項目を達成し、第22週から第24週にかけてのMG-ADLaスコアにおいて、プラセボと比較しベースラインから統計学的に有意な低下を示しました。gMGは易疲労性と日内変動を伴う筋力低下を特徴とする希少で生涯に渡り疾病負担の大きな慢性自己抗体疾患です。

 

SjDを対象とした第II相DAHLIAS用量設定試験においても主要評価項目が達成され、第24週時のclinESSDAIbスコアが、ベースラインからプラセボと比較して統計学的に有意な低下を示しました。
この慢性自己抗体疾患に対しては、現時点で承認された高度な治療薬がなく、今回の試験結果は、現在開発中のFcRn阻害薬の中で初めて良好な結果が示されたものとなります。SjDは男性よりも女性の方が9倍多く発症する疾患であり、これは現在開発中のFcRn阻害薬の中で、妊婦を対象とした臨床試験で良好なベネフィット・リスクを示しているnipocalimabのユニークな位置づけからも、重要な結果であると考えられます。

 

なお、両試験におけるnipocalimabの忍容性は良好でした。

 

ジョンソン・エンド・ジョンソンのVice Presidentであり、Autoantibody and Maternal Fetal Immunology Disease Area LeaderでもあるKatie Abouzahr, M.D.は、次のように述べています。「これらの重要な試験で得られた総合的な結果を、今後開催される学術会議で発表できることを楽しみにしています。私たちは、これらの慢性自己抗体疾患における多くのアンメットニーズに対処できるよう取り組んでいきます。当社は、自己抗体疾患における3つの重要な領域においてFcRn阻害薬を開発し、それぞれの領域で proof of concept(創薬概念の検証)を達成している唯一の企業です。(希少免疫疾患領域であるgMG、母体胎児免疫疾患領域であるHDFN、そして比較的罹患数の多い自己免疫疾患であるSjDと関節リウマチにおける既存データ)」

 

次のステップとして、私たちは第III相VIVACITY試験から得られた全ての結果を今後開催される学術会議で発表するとともに、gMGの患者さんにnipocalimabを提供できるよう、各国の保健当局と連携して参ります。また第II相DAHLIAS試験の結果は、SjDを対象とするnipocalimabの臨床開発を次のステップに進めることを支持するものであり、同試験の全ての結果についても本年の学術会議にて発表予定です。

 

nipocalimabは、米国食品医薬品局(FDA)より、2019年7月にHDFNおよび温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、2021年12月にgMGでFast Trackに指定され、2019年12月にwAIHA、2020年6月にHDFN、2021年2月にgMG、2021年10月に慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)、2023年12月に胎児・新生児同種免疫性血小板減少症(FNAIT)でオーファンドラッグに指定されました。またnipocalimabは欧州医薬品庁により、2019年10月にHDFNでオーファンドラッグに指定されました。nipocalimabは現在開発中であり、まだ承認されていません。

 

用語の説明
a. MG-ADL(Myasthenia Gravis–Activities of Daily Living[重症筋無力症-日常生活動作])は、日常生活動作に影響を及ぼす症状を患者さんの報告に基づいて迅速に臨床評価する指標です。合計スコアは0~24で、スコアが高いほど症状の重症度が高いことを示します。

b. ClinESSDAIは、SjDに特異的な評価項目の1つで、11の器官系領域(皮膚、肺、腎、関節、筋肉、末梢神経系[PNS]、中枢神経系[CNS]、血液、腺、体質、リンパ節腫大、リンパ腫)における器官別疾患活動性を評価する複合的尺度です。スコアが高いほど症状の重症度が高いことを示します。

 

gMGを対象としたnipocalimabの第III相VIVACITY試験について
第III相VIVACITY試験は、中等度から重度のgMGを有し、標準治療で十分な効果が得られない成人患者さんを対象とした、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験です。

 

全身型重症筋無力症(gMG)について
重症筋無力症(MG)は、自己抗体が神経筋接合部のタンパク質を標的として、神経筋シグナル伝達を障害し、筋収縮を障害または妨げる自己抗体疾患です。世界で70万人の患者さんがいると推定され、このうち85%はより広範囲に病変が広がっています1。MGでは、免疫系が抗受容体抗体(最も一般的なものは、抗アセチルコリン受容体[AChR]抗体または抗筋特異的キナーゼ[MuSK]抗体)を産生し、誤って筋受容体を攻撃します。それにより、これらの筋受容体が遮断または破壊され、神経から筋肉に伝達されるシグナルが妨げられます。症状としては、四肢脱力、眼瞼下垂、複視、咀嚼困難、嚥下困難、発話困難、呼吸困難などが挙げられます。gMGは既存の治療法で対処できる場合もありますが、既存の治療法では十分な効果が得られない、もしくは現治療に対して忍容性がない患者さんのために、新たな治療薬の開発が必要とされています。

 

SjDを対象としたnipocalimabの第II相DAHLIAS試験について
第II相DAHLIAS試験は、標準治療下で中等度から重度の疾患活動性を示すSjD患者さんを対象とした、無作為化、二重盲検、プラセボ対照用量設定試験です。

 

シェーグレン症候群(SjD)について
シェーグレン症候群(SjD)は、比較的罹患率の高い自己抗体により引き起こされる疾患の1つです。この疾患に対する根本的かつ全身性の疾患の治療薬として、現在承認されているものはありません2。SjDは慢性の自己免疫疾患で、米国で約35万人、米国と欧州を併せて56万人の患者さんがいると推定されており3、男性よりも女性において9倍多く見られ4、自己抗体の産生、慢性炎症、外分泌腺系のリンパ球浸潤を特徴とします。ほとんどの患者さんにおいて、粘膜の乾燥(眼、口、膣)、関節痛、疲労が所見として認められます。腺外症状が認められることもあり、関節、肺、腎臓、神経系などの複数の臓器系に影響を及ぼすことがあります。SjDの患者さんは、複数の関連疾患の発症リスクが高くなることが知られており、B細胞性リンパ腫の発症リスクは一般集団と比較すると最大20倍高くなると言われています。また疾患に伴う身体的・心理的苦痛は関節リウマチや全身性エリテマトーデスと同程度になることもあります。また多くの場合、生活の質や機能的能力の低下を伴います5,6

 

nipocalimabについて
nipocalimabは、現在開発中の高親和性、完全ヒト型、アグリコシル化、エフェクターレスのモノクローナル抗体であり、FcRnを選択的に阻害し、複数の疾患の根本的な原因となっている自己抗体や同種抗体をはじめとする循環免疫グロブリンG(IgG)抗体の濃度を下げます7。nipocalimabは、3つの重要な自己抗体疾患である「希少な自己抗体疾患」(例:成人および小児の全身型重症筋無力症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、温式自己免疫性溶血性貧血、特発性炎症性筋疾患)、母体の同種抗体を媒介する「母体胎児疾患」(例:HDFN)、そして「比較的罹患率の高いリウマチ性疾患」(例:関節リウマチ、SjD、全身性エリテマトーデス)の治療薬として開発中の唯一のFcRn阻害薬です8,9,10,11,12,13,14,15。FcRnを阻害することで、広範囲な免疫抑制を引き起こさずに免疫機能を維持したまま、全体的な自己抗体濃度を低下させられる可能性があります。また、胎盤でIgGがFcRnに結合するのを阻害することで、母体の同種抗体が胎盤を介して胎児に移行するのを防ぐことができるとも考えられています16

 

ヤンセンについて

ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、心血管疾患、肺高血圧症、網膜疾患の分野で貢献ができると考え、注力しています。

ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。

 

【本件に関するお問合せ先】

ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]

 

参考文献

 

  1. Chen J, Tian D-C, Zhang C, et al. Incidence, mortality, and economic burden of myasthenia gravis in China: A nationwide population-based study. The Lancet Regional Health - Western Pacific. 2020;5(100063). https://doi.org/10.1016/j.lanwpc.2020.100063.
  2. Sjogren’s Disease Foundation https://sjogrens.org/blog/2022/sjogrens-awareness-month-2022 , accessed on January 26, 2024.
  3. Sjogren’s Syndrome Landscape and Forecast, DRG Clarivate, August 31, 2022
  4. Patel R, et al. Clin Epidemiol. 2014; 6:247-255
  5. Gairy K, et al. Rheumatology (Oxford). 2021;60(4):1871-1881.
  6. Hackett KL, et al. Arthritis Care Res (Hoboken). 2012;64(11):1760-1764.
  7. Zhu LN, et al. FcRn inhibitors: a novel option for the treatment of myasthenia gravis. Neural Regen Res. 2023 Aug;18(8):1637-1644.
  8. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04951622. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04951622. Last accessed: February 2024.
  9. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04951622. Available at: https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT05327114. Last accessed: February 2024.
  10. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04119050. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04119050. Last accessed: February 2024.
  11. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05379634. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT05379634. Last accessed: February 2024.
  12. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05912517. Available at: https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT05912517. Last accessed: February 2024
  13. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT06028438. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT06028438. Last accessed: February 2024.
  14. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04968912. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04968912. Last accessed: February 2024.
  15. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04882878. Available at: https://clinicaltrials.gov/study/NCT04882878. Last accessed: February 2024.
  16. Roy S, Nanovskaya T, Patrikeeva S, et al. M281, an anti-FcRn antibody, inhibits IgG transfer in a human ex vivo placental perfusion model. Am J Obstet Gynecol. 2019;220(5):498 e491-498 e499.