ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「ヤンセン」)は24日、抗悪性腫瘍剤『イムブルビカ®カプセル 140mg(以下、イムブルビカ®、一般名:イブルチニブ)』について、「マントル細胞リンパ腫」を効能又は効果として、未治療のマントル細胞リンパ腫に対する製造販売承認事項一部変更の承認を取得しました。
マントル細胞リンパ腫は、白血球に起因する進行性の血液がんです1。患者数も少なく、また、治療におけるアンメットニーズが依然として残る疾患です。日本国内における患者数は約2,100人と推定されており2,3、男性に多く、日本の悪性リンパ腫のうちの約3%を占めると推計されています4。患者さんの予後は、ここ数十年で改善されてきてはいるものの5、再発や治療に対する抵抗性を示すこともあり、複数の治療を受ける患者さんもいます6,7。
今回の承認は、日本及び海外で実施されたSHINE(PCI-32765MCL3002)試験の結果に基づくものです。本試験では、イムブルビカ®と化学療法の併用において、主要評価項目である無増悪生存期間の有意な延長と安全性・忍容性が認められています8。
ヤンセンの代表取締役社長である關口修平は次のように述べています。「今回の承認は、この難治性の血液がんと共に生きる患者さんに変革をもたらすだけでなく、日本の患者さんに革新的な医薬品をご提供するという当社のコミットメントを裏付けるものです」
また、ヤンセンの取締役 研究開発本部 本部長のアマナス・シャーマは次のように述べています。「マントル細胞リンパ腫は、治療が進歩してはいるものの、未だに治癒困難な疾患です。私たちはこのアンメットニーズが残るB細胞性腫瘍においてイムブルビカ®の研究開発を継続し、患者さんに新たな価値を提供できるよう引き続き努めて参ります」
臨床試験について
SHINE(PCI-32765MCL3002)試験は、65歳以上の未治療のマントル細胞リンパ腫の患者さん523例(日本人11例を含む)を対象とした、第III相、国際共同、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験です。同試験では、イムブルビカ®とベンダムスチン塩酸塩及びリツキシマブ(以下、BR)の併用群又はプラセボとBR併用群における有効性及び安全性を評価しました。主要評価項目は無増悪生存期間でした。主要解析時点の観察期間中央値(イムブルビカ®とBR併用群で83.75カ月、プラセボとBR併用群で84.86カ月)における無増悪生存期間中央値は、イムブルビカ®とBR併用群で80.6カ月(95%信頼区間:61.9~NE)、プラセボとBR併用群で52.9カ月(95%信頼区間:43.7~71.0)でした。ハザード比は0.75(95%信頼区間:0.59~0.96、p=0.011)で、イムブルビカ®とBR併用群で有意な延長が認められました。観察されたイムブルビカ®とBR併用群の安全性プロファイルは、各薬剤における既知の安全性プロファイルと一貫していました。なお、イムブルビカ®が投与された259例(日本人6例を含む)中237例(91.5%)に副作用が認められました。主な副作用は、発疹96例(37.1%)、下痢74例(28.6%)、肺炎66例(25.5%)、血小板減少症64例(24.7%)、悪心58例(22.4%)等でした8。
イムブルビカ®(一般名 イブルチニブ)について8
イムブルビカ®は、ヤンセン・バイオテック社とアッヴィ社の傘下にあるファーマサイクリックス社が共同開発・販売する、1日1回の経口剤です。イムブルビカ®は、特定のがん細胞を含む正常及び異常なB細胞が増殖および拡散するために必要とするブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)というタンパク質の働きを阻害します。BTKを阻害することにより、イムブルビカ®は異常なB細胞を生存環境から切り離し、その増殖を抑制します9,10,11。
イムブルビカ®は、世界100カ国以上で承認されており、27万人以上の患者さんに使用されています。18の第III相臨床試験を含む、50以上の企業主導の臨床試験が行われており、11年以上にわたりイムブルビカ®の有効性と安全性を評価しています。
日本国内においてイムブルビカ®は、2016年3 月に「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病 (小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応で製造販売承認を取得し、同年12月に「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」、2018年7月に未治療を含む「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応に対する承認を取得しています。また2021年9月には、成人及び12歳以上の小児を対象とし、「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」の適応で承認を取得しています。さらに、2022年12月「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」を適応症として承認を取得しました。
本剤は日本国内では、ヤンセンが製造販売しています。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちは循環器疾患、代謝・網膜疾患、免疫疾患、感染症・ワクチン、精神・神経疾患、がん、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
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ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]
参考文献
- Lynch D, et al. Mantle Cell Lymphoma. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2020 Jan.
- Ministry of Health, Labor and Welfare (MHLW). 2011. Patient Survey - outline of Survey, e-stat official statics of Japan, total number of patient, sex/ age group x the disease and injury-classified chart 63. [Online] Available from: https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003318621. Accessed January 2023.
- Lymphoma Study Group of Japanese Pathologist. The World Health Organization classification of malignant lymphomas in Japan. Incidence of recently recognized entities. Pathol Int. 2000; 50(9):696-702.
- Chihara D, et al. Prognostic model for mantle cell lymphoma in the rituximab era : a nationwide study in Japan. Br J Haematol. 2015; 170(5): 657-668.
- Buege MJ, et al. Management of mantle cell lymphoma in the era of novel oral agents. Ann Pharmacother. 2020; 54(9): 879–898.
- National Cancer Institute. Stages of adult non-Hodgkin lymphoma. Available at: http://www.cancer.gov/cancertopics/pdq/treatment/adultnon-hodgkins/Patient/page2. Accessed January 2023.
- Silkenstedt E et al. Mantle cell lymphoma - advances in molecular biology, prognostication and treatment approaches. Br J Haematol. 2021;195(2):162-173.
- イムブルビカ®添付文書
- Genetics Home Reference. Isolated growth hormone deficiency. http://ghr.nlm.nih.gov/condition/isolated-growth-hormone-deficiency. Accessed January 2023.
- Turetsky A, et al. Single cell imaging of Bruton's tyrosine kinase using an irreversible inhibitor. Scientific Reports. 2014; 6:4782.
- de Rooij MF, et al. The clinically active BTK inhibitor PCI-32765 targets B-cell receptor- and chemokine-controlled adhesion and migration in chronic lymphocytic leukemia. Blood. 2012;119(11):2590-2594.