※本プレスリリースは、2022年12月10日~13日に開催された第64回米国血液学会(ASH2022)に向け、12月12日にヤンセン米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
年齢や細胞遺伝学的リスクに関わらず、さまざまなタイプの患者さんにおける無増悪生存期間、
微小残存病変陰性率、全奏効率、全生存期間に関する最新解析結果を報告
5年間の追跡調査により、虚弱な患者さんにおける健康関連QOLの結果も明らかに
ニューオリンズ(米国時間2022年12月12日) – 米国ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズ(以下、ヤンセン)は、本日、ダラザレックス®(一般名:ダラツムマブ)、レナリドミドおよびデキサメタゾンの併用療法に関する第III相MAIA試験の新たな解析結果を発表しました。本試験では、新たに多発性骨髄腫と診断され、移植非適応の患者さんを対象とし、追跡期間中央値64.5ヵ月における無増悪生存期間(PFS)、微小残存病変(MRD)陰性率、全奏効率(ORR)、追跡期間中央値73.6ヵ月における全生存期間(OS)を年齢や臨床上重要なサブグループに関わらず評価しました。また、虚弱な移植非適応患者さんにおける健康関連QOL(HRQoL)を評価する新たな解析結果を発表しました1,2,3,4。これらの解析結果は、2022年の米国血液学会(ASH)年次総会にて口頭発表およびポスター発表されました。今回得られた知見は、臨床的に重要な試験の評価項目及び患者集団において、これまで得られたMAIA試験のデータをさらに裏付けるものです5。
試験責任医師で、メイヨークリニック内科血液部門コンサルタントのShaji Kumar医学博士†は次のように述べています。「MAIA試験の初期データは、新たに多発性骨髄腫と診断され、移植非適応の患者さんの治療において、D-Rd療法が標準治療として確立する上で重要な役割を果たしました。今回の新たな解析結果により、D-Rd療法による全生存期間におけるベネフィットが一貫して裏付けられ、またさまざまな年齢や細胞遺伝学的リスクのある患者集団における重要な知見がもたらされました」
MAIA試験の最新の有効性解析では、主要評価項目であるPFS、副次評価項目であるMRD陰性率、ORR、OSについて、追跡期間中央値64.5ヵ月および73.6ヵ月時点での結果が明らかになりました(抄録番号:4559)1。さらに、年齢別(抄録番号:4553)、Gain(1q21)やAmp(1q21)などの細胞遺伝学的リスク因子別(抄録番号:3245)などの重要なサブグループにおけるフォローアップ解析も新たに報告されています2,3。
ヤンセン・リサーチ・アンド・デベロップメント社のグローバル・メディカル・アフェアーズ バイスプレジデントのMark Wildgust医学博士は、次のように述べています。「ダラザレックス®をベースとした併用療法は、新たに多発性骨髄腫と診断された患者さんに対する治療の基礎となるものであり、ASHで発表されたデータは、移植非適応患者さんに対する一次治療におけるD-Rd療法について、さらなる知見をもたらしています。多発性骨髄腫の治療において、当社がこれまで受け継いできた深い知見を礎とし、さまざまな患者さんのニーズに応えるため、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用におけるダラザレックス®の可能性を評価することに引き続き取り組んで参ります」
MAIA試験に組み込まれた737名の患者さんの年齢の中央値は73歳(範囲:45~90歳)で、75歳以上の患者さんは、全体の44%を占めていました。事後サブグループ解析の結果は、これまでに報告されているMAIA試験の年齢に関する解析データと一致しており、70歳未満、70~75歳、75歳未満の3つの年齢群すべてにおいて、D-Rd群は、Rd群と比較してOS、PFS、MRD陰性率、ORRにおける改善が認められました2。
- D-Rd群の75歳未満の患者さん(D-Rd群:n=208、Rd群:n=208)において、PFS中央値は未達であったのに対し、Rd群では37.5ヵ月(ハザード比:0.52、95%信頼区間:0.39~0.68)でした。またD-Rd群におけるMRD陰性率は36.1%であったのに対し、Rd群では12.0%でした[オッズ比:4.13、95%信頼区間:2.49~6.84]。さらに、D-Rd群におけるORRは95.2%であったのに対し、Rd群では81.7%2でした。
- D-Rd群の70歳未満の患者さん(D-Rd群:n=78、Rd群:n=77)において、PFSの中央値は未達であったのに対し、Rd群では39.2ヵ月(ハザード比:0.35、95%信頼区間:0.21~0.56)でした。またD-Rd群におけるMRD陰性率は35.9%であったのに対し、Rd群では11.7%でした(オッズ比:4.23、95%信頼区間:1.84~9.75)。さらにD-Rd群におけるORRは93.6%であったのに対し、Rd群は80.5%2でした。
- D-Rd群の70~75歳の患者さん(D-Rd群:n=130、Rd群:n=131)において、PFS中央値は61.9ヵ月であったのに対し、Rd群は37.5ヵ月でした(ハザード比:0.64、95%信頼区間:0.45~0.89、P = 0.0079)。またD-Rd群におけるMRD陰性率は36.2%であったのに対し、Rd群では12.2%でした(オッズ比:4.07、95%信頼区間:2.16~7.67)。さらにD-Rd群におけるORRは96.2%であったのに対し、Rd群は82.4%2でした。
主要なサブグループにおける2つ目の解析(抄録番号:3245)では、75 歳以上、国際病期分類(ISS)Ⅲ期、細胞遺伝学的リスクが高く、腎不全、髄外性形質細胞腫を有する患者さんにおいて、D-Rd療法後のPFS、MRD陰性率、ORRが改善したことが報告されています3。主な内容は以下の通りです。
- 細胞遺伝学的リスクの高い患者(t[4;14]、t[14;16]、del17pのうち1つ以上の異常を有すると定義)では、D-Rd群におけるPFS中央値は45.3ヵ月であったのに対し、Rd群では29.6ヵ月でした(ハザード比:0.57、95%信頼区間:0.34~0.96)(D-Rd群:n=48、Rd群:n=44)。 またD-Rd群におけるMRD陰性率は25.0%であったのに対し、Rd群では2.3%でした(オッズ比:14.33、95%信頼区間:1.78~115.59)。さらにD-Rd群におけるORRは91.7%であったのに対し、Rd群では75%(オッズ比:3.67、95%信頼区間:1.07~12.55)3でした。
- Gain(1q21)またはAmp(1q21)の患者さんにおいては、D-Rd群におけるPFS中央値は53.2ヵ月であったのに対し、Rd群では32.3ヵ月でした(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.46~0.88)(D-Rd群:n=127、Rd群:n=120)。またD-Rd群におけるMRD陰性率は33.1%であったのに対し、Rd群では11.7%(オッズ比:3.74、95%CI:1.92~7.30)でした。さらにD-Rd群におけるORRは95.3%であったのに対し、Rd群では85%(オッズ比:3.56、95%信頼区間:1.36~9.30)3でした。
- 75歳以上の患者さんにおけるグレード3または4及び治験薬の初回投与後に発現した重篤な有害事象(TEAEs)の発現率は、両群で同程度でした。一方D-Rd群におけるTEAEsによる治療中止の割合は、Rd群と比べ低いものでした3。
MAIA試験の4つ目の解析として、患者報告アウトカム(PRO)のデータが口頭発表され、D-Rd群における虚弱な患者さんのサブグループでは、Rd群と比較して、HRQoL及び身体機能において持続的な改善が認められ、治療を行っている間、痛みが大きく減少していたことが報告されました(抄録番号:472)4。またRd群と比較して、D-Rd群の患者さんの方が高い割合で治療を継続していました4。
MAIA試験について
MAIA試験は、新たに多発性骨髄腫と診断され、大量化学療法を伴う自家造血幹細胞移植(ASCT)が非適応の患者さん737名(45〜90歳、年齢中央値73歳)を対象とする第III相、無作為化、非盲検、多施設共同試験です6。被験者は、28日を1サイクルとし、ダラザレックス®、レナリドミドおよびデキサメタゾンによる治療群(D-Rd群)と、レナリドミドとデキサメタゾン群(Rd群)の2群に無作為に割り付けられました。D-Rd群の被験者は、ダラザレックス®を体重キログラム当たり16mg(16mg/kg)、点滴静脈内注射により、サイクル1~2では毎週、サイクル3~6では 隔週、サイクル7以降は4週ごとに投与されました6。D-Rd 群とRd群の被験者には各28日サイクルの1日目から21日目までレナリドミド25mgが投与され、各サイクル中の週に1回、デキサメタゾン40mgが投与されました。いずれの治療群においても、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで治療が継続されました7。
MAIA試験の初期の結果は、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用に関するダラザレックス®の米国食品医薬品局(FDA)からの承認を支持するものです。これらの試験結果は2019年にThe New England Journal of Medicine誌にも掲載されました。最新のOS解析についても2021年にThe Lancet Oncology誌に掲載されました。
ダラザレックス®について ※以下は米国での適応です。
ダラザレックス®(一般名:ダラツムマブ)は、2015年11月にFDAの承認を受けました。多発性骨髄腫の治療において、8つの適応症で承認されており、そのうち3つは、移植適応または非適応の新たに多発性骨髄腫と診断された患者さんを対象とする一次治療です7。
ダラザレックス®は多発性骨髄腫の治療薬で、CD38を標的とするモノクローナル抗体として初めて承認されました7。ダラザレックス®は世界100か国以上で承認されており、ダラザレックス®をベースとした療法は、世界中で30万人以上、米国だけでも6万8,000人以上の患者さんに投与されています7。14の第Ⅲ相試験を含む、37以上の企業主導の臨床試験が実施され、ダラザレックス®の有効性と安全性が評価されています7。
2012年8月、ヤンセン・バイオテックとGenmab A/Sは、ヤンセンがダラツムマブを開発、製造、販売する独占的ライセンスを付与する契約を世界規模で締結しました。
2020年以降、National Comprehensive Cancer Network®(NCCN®)は、新たに診断された多発性骨髄腫および再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療として、ダラザレックス®をベースとする併用療法を推奨しています。NCCN®ガイドラインでは、新たに診断された多発性骨髄腫に対して、ダラザレックス®、レナリドミドおよびデキサメタゾンの併用療法をカテゴリー1の優先レジメンとして、移植非適応例ではダラザレックス®、ボルテゾミブ、メルファラン、およびプレドニゾンの併用療法をカテゴリー1推奨レジメンとして、また移植候補例では、ダラザレックス®、ボルテゾミブ、サリドマイド、およびデキサメタゾン併用療法が特定の状況では有用として、カテゴリー2Aに記載されています。再発又は難治性の骨髄腫においては、ダラザレックス®をベースとする4つの療法が早期再発(1~3種類の前治療後)に対する優先レジメンとしてカテゴリー1に記載されています。ダラザレックス®、レナリドミドおよびデキサメタゾンの併用療法、ダラザレックス®、ボルテゾミブおよびデキサメタゾンの併用療法、ダラザレックス®、カルフィルゾミブおよびデキサメタゾンの併用療法、ダラザレックス®、ポマリドミドおよびデキサメタゾンの併用療法[レナリドミドおよびプロテアソーム阻害剤を含む2種類の前治療を行った後]。さらにNCCN®は、プロテアソーム阻害剤及び免疫調節薬を含む少なくとも3種類の前治療を行った後、またはプロテアソーム阻害剤及び免疫調節薬に二重不応性を示す患者さんに対してダラザレックス®をカテゴリー2Aで推奨しています。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、骨髄内にある形質細胞と呼ばれる白血球の一種が侵される血液がんで、治癒は難しいとされています8,9。多発性骨髄腫では、形質細胞が変化すると急速に広がり、骨髄内の正常な細胞が腫瘍に置き換わります。2022年には、米国で 34,000 人以上が多発性骨髄腫と診断され、12,000 人以上が亡くなると推定されています9。多発性骨髄腫と診断されても、最初は無症状の場合もあります。しかしほとんどの場合、骨折や骨痛、赤血球数の減少、疲労感、カルシウム値の上昇、腎臓障害、感染症などの症状により診断されます10。
†Shaji Kumar医師は、ヤンセンのコンサルタントを務めていますが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っておりません。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちは循環器疾患、代謝・網膜疾患、免疫疾患、感染症・ワクチン、精神・神経疾患、がん、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
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ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]
参考文献
- Kumar SK, Usmani SZ. Daratumumab Plus Lenalidomide and Dexamethasone (D-Rd) Versus Lenalidomide and Dexamethasone (Rd) Alone in Transplant-ineligible Patients with Newly Diagnosed Multiple Myeloma (NDMM): Updated Analysis of the Phase 3 MAIA Study. To be presented at the 2022 American Society of Hematology Annual Meeting.
- Facon T, Goldschmidt H. Daratumumab Plus Lenalidomide and Dexamethasone in Patients with Transplant-ineligible Newly Diagnosed Multiple Myeloma: MAIA Age Subgroup Analysis. To be presented at the 2022 American Society of Hematology Annual Meeting.
- Moreau P, Kumar SK. Daratumumab Plus Lenalidomide and Dexamethasone (D-Rd) Versus Lenalidomide and Dexamethasone (Rd) in Transplant-ineligible Patients (Pts) With Newly Diagnosed Multiple Myeloma (NDMM): Clinical Assessment of Key Subgroups of the Phase 3 MAIA Study. To be presented at the 2022 American Society of Hematology Annual Meeting.
- Facon T, Weisel K. Health-Related Quality of Life for Frail Transplant-Ineligible Patients with Newly Diagnosed Multiple Myeloma Treated With Daratumumab, Lenalidomide and Dexamethasone: Subgroup Analysis of MAIA Trial. To be presented at the 2022 American Society of Hematology Annual Meeting.
- Facon T, Kumar SK, Plesner T, et al. Daratumumab, lenalidomide, and dexamethasone alone in newly diagnosed multiple myeloma (MAIA): overall survival results from a randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2021;22(11)
- ClinicalTrials.gov Identifier NCT02076009. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02076009. Accessed December 10, 2022.
- DARZALEX® Prescribing Information, November 2022.
- Kumar, SK et al. Risk of progression and survival in multiple myeloma relapsing after therapy with IMiDs and bortezomib: a multicenter international myeloma working group study. Leukemia. 2012 Jan; 26(1):149-57.
- American Cancer Society. "What Is Multiple Myeloma?" Available at: http://www.cancer.org/cancer/multiplemyeloma/detailedguide/multiple-myel.... Accessed December 10, 2022.
- American Cancer Society. "Key Statistics About Multiple Myeloma." Available at: https://www.cancer.org/cancer/multiple-myeloma/about/key-statistics.html. Accessed December 10, 2022.