ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「ヤンセン」)は26日、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とする自家キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)製品である「カービクティ®点滴静注」(以下、カービクティ®、一般名:シルタカブタゲン オートルユーセル)について、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む3つ以上の前治療歴を有する「再発又は難治性の多発性骨髄腫※1」を効能、効果又は性能として、製造販売承認を取得しました。
※1 但し、以下のいずれも満たす場合に限る。
- BCMA抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴がない
- 免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む3つ以上の前治療歴を有し、かつ、直近の前治療に対して奏効が得られなかった又は治療後に再発した
カービクティ®は、BCMAを標的とする単ドメイン抗体2つを含む特徴的な構造をもつCAR-T細胞製品です1。カービクティ®はそれぞれの患者さん向けに個別に製造され、単回静脈内投与により治療を行います1。
今回の承認は、CARTITUDE-1試験の結果に基づくものです。本試験は、中央値で6つの前治療歴(範囲:3~18)を有し、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤による治療歴のある患者さんを対象としています。試験の結果、シルタカブタゲン オートルユーセルの単回投与により、持続的な奏効が得られ、再発又は難治性の多発性骨髄腫の外国人患者さんにおいて、全奏効率は96.9%(95%信頼区間:91.2-99.4)でした(n=97)1, ※2。また患者さんの67%(95%信頼区間:56.7-76.2)にあたる65例は、治療後の画像診断やその他の検査で兆候や症状が認められない厳格な完全奏効を達成しました2, ※2。また同様の有効性が、日本人患者さんにおいても認められました2, ※3。なお外国人患者さんにおいて、中央値18か月のフォローアップにおいて、奏効持続期間の中央値は、21.8か月でした2。
※2 最終被験者の投与から6ヶ月以上経過した2020年9月1日データカットオフ
※3 最終被験者の投与から12カ月以上経過した2021年7月22日データカットオフ
シルタカブタゲン オートルユーセルの安全性は、CARTITUDE-1試験における106例(外国人97例、日本人9例)の成人患者さんにおいて評価され、副作用は106例中105例(99.1%)で認められました。主な副作用は、サイトカイン放出症候群(94.3%)、血球減少(79.2%)、好中球減少症(75.5%)、血小板減少症(59.4%)、貧血(51.9%)、神経系事象(39.6%)、感染症(19.8%)、低ガンマグロブリン血症(11.3%)でした1, ※4。
※4 承認時までの集計
シルタカブタゲン オートルユーセルの長期的な有効性及び安全性プロファイルは、CARTITUDE-1試験のより長期のフォローアップ試験に基づき評価されています。その結果は、2022年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO)で発表され(Abstract#8028)、複数の前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんにおいて、カービクティ®の投与により、持続的な奏効が得られることが示されました。
CARTITUDE-1試験について
CARTITUDE-1 (NCT03548207) は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体製剤による治療歴があり、直近の前治療中もしくは治療後に病勢進行が認められた、再発又は難治性の多発性骨髄腫の成人患者さんを対象に、シルタカブタゲン オートルユーセルの安全性と有効性を評価する第Ib/II相、非盲検、国際共同試験です。本試験に参加した患者さんは、中央値で6つの前治療歴(範囲:3~18)を有していました。試験に参加した97例の患者さんのうち99%は、直近の治療薬に対して抵抗性を示しており、88%は免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体製剤に反応しない、または反応しなくなり、3種類のカテゴリーの薬剤に対する抵抗性を示しています3。
カービクティ®点滴静注について
シルタカブタゲン オートルユーセルは、BCMAを標的とする自家キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)製品であり、BCMAを発現する細胞を認識し除去するキメラ抗原受容体(CAR)をコードする遺伝子導入により、患者さん自身のT細胞を再プログラミングします。BCMAは、主に多発性骨髄腫のB細胞系列、後期B細胞及び形質細胞の表面に多く発現します。シルタカブタゲン オートルユーセルのCARタンパク質は、ヒトBCMAに対し高い結合性を示すようデザインされた、BCMAを標的とする単ドメイン抗体2つを含むことを特徴としています。CARは、BCMAが発現した標的細胞に結合すると、T細胞の活性化、増殖及び標的細胞の消失を促します1。
2017年12月、ヤンセン・バイオテック社は米国レジェンド・バイオテック社と、シルタカブタゲン オートルユーセルの開発および商品化に関する全世界での独占的ライセンス契約および業務提携契約を締結しました。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、形質細胞が骨髄で異常に増殖することで生じます4。形質細胞が増殖し、がん化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します5。日本国内における2018年の多発性骨髄腫の罹患者数は約7,800人で、2020年の死亡者数は約4,200人です6。多発性骨髄腫は無症状の場合もありますが、骨痛や骨折、息切れ・倦怠感、免疫機能の低下、腎障害や血液障害などにより受診し診断されることがあります7。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちは循環器疾患、代謝・網膜疾患、免疫疾患、感染症・ワクチン、精神・神経疾患、がん、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
【本件に関するお問合せ先】
ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]
参考文献
- カービクティ® 添付文書
- 社内資料:再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第Ib/II相試験(MMY2001試験)(2022年9月26日承認、CTD2.7.6.1)(承認時評価資料)」
- ClinicalTrials.gov. A Study of JNJ-68284528, a Chimeric Antigen Receptor T Cell (CAR-T) Therapy Directed Against B-Cell Maturation Antigen (BCMA) in Participants With Relapsed or Refractory Multiple Myeloma (CARTITUDE-1). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03548207 Last accessed September 2022.
- Gandhi, U., Cornell, R., Lakshman A., et al. Outcomes of patients with multiple myeloma refractory to CD38-targeted monoclonal antibody therapy. Leukemia. 2019;33(9). http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30858549.
- Cho SF, et al. Targeting B Cell Maturation Antigen (BCMA) in Multiple Myeloma: Potential Uses of BCMA-Based Immunotherapy. Front Immunol. 2018 Aug 10;9:1821.
- 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/26_mm.html#anchor1 Last accessed: September 2022. - American Cancer Society. Multiple myeloma: early detection, diagnosis and staging. Available at: https://www.cancer.org/content/dam/CRC/PDF/Public/8740.00.pdf Last accessed: September 2022.