ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「ヤンセン」)は22日、抗悪性腫瘍剤『イムブルビカ®カプセル 140mg(以下、イムブルビカ®、一般名:イブルチニブ)』について、「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」を効能又は効果として、製造販売承認事項一部変更承認を申請しました。
今回の申請は、海外で実施されたPCYC-1127(iNNOVATE)試験およびPCYC-1118E試験と、日本で実施された第II相WAL2002試験の結果に基づくものです。これらの試験において、イブルチニブ単剤療法もしくはリツキシマブとの併用療法は、未治療又は再発・難治性の原発性マクログロブリン血症患者さんにおいて、臨床的に意義のある有効性および安全性を示しました。
ヤンセンの代表取締役社長である關口修平は次のように述べています。「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫は、いまだに治癒困難な疾患です。今回の申請は、これらの患者さんのアンメットニーズに対処するための重要な一歩であり、日本の患者さんに革新的な治療をもたらすという私たちのコミットメントをさらに強くするものです」
また、ヤンセンの取締役 研究開発本部 本部長のアマナス・シャーマは次のように述べています。「今回の申請は、日本の原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫患者さんを対象とした臨床試験で確認されたイムブルビカ®の一貫した臨床的ベネフィットに基づくものであり、日本の患者さんにいち早くこの革新的な治療選択肢をお届けできるよう、当局とも緊密に連携して参ります」
臨床試験について
PCYC-1127(iNNOVATE)試験は、未治療又は再発・難治性の原発性マクログロブリン血症の成人患者さん150例を対象とした、第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検プラセボ対照試験で、イブルチニブとリツキシマブ併用群、プラセボとリツキシマブ併用群の有効性および安全性を評価しました。その結果、イブルチニブとリツキシマブ併用群において、無増悪生存期間(Progression Free Survival :PFS)が統計学的に有意に改善し[30カ月時点の無増悪生存率:イブルチニブとリツキシマブ併用群82%、プラセボとリツキシマブ併用群28%(ハザード比0.20;P<0.001)]、主要評価項目を達成しました。観察されたイブルチニブ+リツキシマブ併用群の安全性プロファイルは、個別に使用した各薬剤で既に確認されている安全性プロファイルと一貫していました1。
PCYC-1118E試験は、治療歴のある再発・難治性の原発性マクログロブリン血症の成人患者さん63例を対象とした、第II相、多施設共同、非盲検、単群試験で、イブルチニブ単剤の有効性および安全性を評価しました。主要評価項目は、Minor Response(血清M蛋白が25%以上の減少)、Partial Response(同50%以上の減少)、Very Good Partial Response(同90%以上の減少)及びComplete Responseを含む全奏効率です。試験の結果、全奏効率は90.5%(95%信頼区間[CI]80.4~96.4)と、主要評価項目を達成しました。全体として、治療の忍容性は良好でした2。
WAL2002試験は、未治療又は再発・難治性の原発性マクログロブリン血症の日本人患者さん(20歳以上)を対象とした、第II相、多施設共同、非盲検、単群試験で、リツキシマブと併用した際のイブルチニブの有効性及び安全性を評価しています。日本人の未治療又は再発・難治性の原発性マクログロブリン血症患者さんにおいて、イブルチニブとリツキシマブの併用療法は、有効性評価項目全体で速やかかつ高度な臨床上の活性が認められ、良好な安全性プロファイルを示しました。これは、iNNOVATE試験で確認されたものと概ね一致していました。WAL2002試験の詳細な結果は、今後開催される学会で発表される予定です。
原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫について
原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫は、進行が遅く、治癒困難で患者数の少ないB細胞リンパ腫です3。日本における年間の新規患者数は約350人で4,5、診断時の年齢中央値は約70歳6です。白血球(リンパ球)の1種であるB細胞が成熟する過程で悪性化し、悪性のB細胞が増殖し続けることで発症します。特に原発性マクログロブリン血症は、免疫グロブリンM(IgM)という抗体を大量に産生します。IgMなどの抗体は、通常は感染症の予防に寄与しますが、過剰に産生されることで血液の濃度を上げ、過度な出血、視力障害、末梢神経障害などさまざまな症状を引き起こします7。
イムブルビカ®(一般名 イブルチニブ)について8
イムブルビカ®は、1日1回経口投与するキナーゼ阻害剤で、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)というタンパク質を阻害することにより、作用します。BTKは、B細胞が成熟し抗体を産生するよう指示する重要なシグナルを伝達し、特定のがん細胞の増殖やがんの進展のために必要とされるものです。イムブルビカ®は、BTKを標的として阻害することで、がん細胞の生存やがんの進展を抑制し、他の重篤な病態に関連するシグナル伝達に作用します。
日本国内においてイムブルビカ®は、2016年3 月に「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病 (小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応で製造販売承認を取得し、同年12月に「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」、2018年7月に未治療を含む「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応に対する承認を取得しています。また2021年9月には、成人および12歳以上の小児を対象とし、「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」の適応で承認を取得しています。
本剤は、ヤンセン・バイオテック社とアッヴィ社の傘下にあるファーマサイクリックス社が共同で開発しています。日本国内では、ヤンセンが製造販売しています。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。
ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
本件に関するお問合せ先
ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected]
参考文献
- N Engl J Med. 2018 Jun 1;378(25):2399-2410.
- N Engl J Med. 2015 Apr 9;372(15):1430-40.
- American Cancer Society. “What are the key statistics about Waldenstrom macroglobulinemia?” Available at: http://www.cancer.org/cancer/waldenstrommacroglobulinemia/detailedguide/.... Accessed October 2014.
- 全国がん統計https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/25_ml.html
- Lymphoma Study Group of Japanese Pathologists. The world health organization classification of malignant lymphomas in japan: incidence of recently recognized entities. Pathol Int. 2000;50(9):696-702.
- Int J Cancer. 2014 Jan 1;134(1):174-80.
- American Cancer Society. “What is Waldenstrom macroglobulinemia?” Available at: http://www.cancer.org/cancer/waldenstrommacroglobulinemia/index. Accessed October 2014.
- IMBRUVICA Product Information, Japan.