本プレスリリースは、2021年6月9日~17日に開催された第26回欧州血液学会(EHA2021)に向け、6月12日にヤンセン米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
約5年間の追跡調査後、無増悪生存期間は中央値に達せず、かつ全生存期間における
有意な改善を確認
データはEHAバーチャル会議でLate-Breaking abstractとして発表
ニュージャージー州ラリタン(米国時間2021年6月12日)- 米国ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズ(以下、ヤンセン)は、新たに多発性骨髄腫と診断され(NDMM)、自家造血幹細胞移植(ASCT)が非適応の患者さんを対象とした第III相MAIA(NCT02252172)試験の全生存期間(OS)についての結果を発表しました。病勢進行が認められるまで治療を行ったこの試験では、ダラザレックス®(一般名:ダラツムマブ)、レナリドミドおよびデキサメタゾンを併用で投与する群(D-Rd群)が、レナリドミドとデキサメタゾンを投与する群(Rd群)に比べ、統計的に有意な生存期間の改善を示しました1。これらのデータは、2021年欧州血液学会(EHA)のバーチャルプレスブリーフィングで取り上げられ、EHAバーチャル会議でLate-Breaking abstract(Abstract #LB1901)として発表されました。
OSに関して事前に規定された中間解析では、追跡期間中央値約5年 (56.2ヵ月)時点でRd治療群と比較して、D-Rd治療群では死亡リスクが32%低下している(HR :0.68、95%信頼区間:0.53~0.86、p=0.0013)ことが認められました1。いずれの群においても、OSは中央値には達しませんでした 1。また無増悪生存期間(PFS)においても、約5年の時点で中央値には到達せず、D-Rd群で認められたPFSの改善が持続し、病勢進行または死亡のリスクは47%低下していました(HR:0.53、95%信頼区間:0.43~0.66、p<0.0001)1。これらのデータは、今後の規制当局への申請時の根拠データとして活用される予定です。
フランスのリールにあるリール大学病院の血液学教授であり試験責任医師でもあるThierry Facon医師(M.D.)*は次のように述べています。「多発性骨髄腫の治療は、再発のたびに複雑さを増します。従って、初発治療によって深い奏効と生存率の改善を達成することが極めて重要です。これらの結果は、新たに多発性骨髄腫と診断された移植非適応の患者さんの生存期間を延長し、予後を改善する新しい標準治療として、ダラツムマブ、レナリドミド、デキサメタゾンによる治療を強く支持するものです」
MAIA試験に登録された全ての患者さん(n=737)は、大量化学療法を伴うASCTが非適応の新たに多発性骨髄腫と診断された方で、28日間サイクルでD-Rd (n=368) もしくはRd (n=369) による治療を受けました。治療は、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続されました1。年齢の中央値は73歳(範囲:45~90歳)でした。PFS中央値は、D-Rd群では未達、Rd群では34.4か月でした(HR:0.53、95%信頼区間:0.43~0.66、p<0.0001)。Rd群で後治療を受けた患者さん186人のうち、46%がダラザレックス®の投与を受けました。
MAIA試験の長期追跡調査解析による新たな知見:
- ・推定の5年全生存率は、D-Rd群で66%であるのに対し Rd群で53%(HR:0.68、95%信頼区間:0.53~0.86、p=0.0013)1。
- ・推定の5年無増悪生存率は、D-Rd群で53%であるのに対し Rd群で29%(HR: 0.53、95 信頼区間: 0.43~0.66、p<0.0001)1。
- ・次の治療までの期間の中央値は、D-Rd群で未到達であるのに対し、Rd群で42.4か月(HR:0.47、95%信頼区間:0.37~0.59、p<0.0001)1。
- ・最新の全奏効率(ORR)は、D-Rd群で93%であるのに対し Rd群で82% 1。
D-Rd群において、新たな安全性の懸念は認められませんでした。治験薬投与下での主なグレード3または4の有害事象は、好中球減少症(D-Rd群:54%、Rd群:37%)、肺炎(D-Rd群:19%、Rd群:11%)、貧血(D-Rd群:17%、Rd群:22%)、リンパ球減少症(D-Rd群:16%、Rd群:11%)でした1。
ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント社のがん領域後期開発・グローバル・メディカル・アフェアーズ バイスプレジデントのCraig Tendler医学博士は、次のように述べています。
「MAIA試験から得られたこれら最新の知見は、ダラザレックス®併用の本レジメンが、初発治療で長期生存率にもたらす効果を示すものであり、多発性骨髄腫の治療におけるベース治療としてのダラザレックス®の重要性をさらに強固なものにしています。これらの結果は、長期的な予後改善のために新たな治療選択肢を必要とする、新たに多発性骨髄腫と診断された患者さんに希望と自信をもたらすものです。また多発性骨髄腫におけるダラザレックス®の可能性を最大限に追求し続けるという私たちのコミットメントを反映するものです」
MAIA試験について
MAIA試験は、大量化学療法を伴うASCTが非適応の新たに多発性骨髄腫と診断された患者さん737名(45〜90歳、年齢中央値73歳)を対象とする第III相、無作為化、非盲検、多施設共同試験です1。被験者は、28日を1サイクルとし、ダラザレックス®、レナリドミドおよびデキサメタゾンによる治療群(D-Rd群)と、レナリドミドとデキサメタゾン群(Rd群)の2群に無作為に割り付けられました。D-Rd群の被験者は、ダラザレックス®を体重キログラム当たり16mg(mg/kg)で、点滴静脈内注射により、サイクル1~2では毎週、サイクル3~6では 隔週、サイクル7以降は4週ごとに投与されました1。 D-Rd 群とRd群の被験者には各28日サイクルの1日目から21日目までレナリドミド25mgが投与され、各サイクル中の週に1回、デキサメタゾン40mgが投与されました。いずれの治療群の被験者に対しても、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで治療が継続されました1。
MAIA試験の初期の結果は、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用に関するダラザレックス®の米国食品医薬品局(FDA)からの承認 を支持するものです。これによりダラザレックス®は、新たに多発性骨髄腫と診断された移植非適応の患者さんに対して初めて承認された、CD38を標的とするモノクローナル抗体となりました。この試験結果は2019年にThe New England Journal of Medicine 誌にも掲載されました。
ダラザレックス®について *以下は米国での適応です。
ヤンセンは、ダラザレックス®(一般名:ダラツムマブ)が多発性骨髄腫の患者さんにもたらすあらゆる可能性を追求することに注力しています。ダラザレックス®は現在8つの適応を有しており、そのうち3つは、移植適応または移植非適応の新たに多発性骨髄腫と診断された患者さんを対象とする初発治療として承認されています2。
ダラザレックス®は、2015年に米国FDAから承認を受けて以来、世界で190,000人以上、米国だけでも68,000人以上の患者さんに投与されており、多発性骨髄腫治療のベース治療薬となっています3。ダラザレックス®は、多発性骨髄腫の治療薬として、世界で初めて承認されたCD38を標的とするモノクローナル抗体です2。
CD38は、病期に関係なく多発性骨髄腫の細胞表面に多く発現しているタンパク質です4。ダラザレックス®は、CD38と結合し腫瘍細胞の増殖を抑制し、骨髄腫細胞死を引き起こします4。ダラザレックス®は、正常細胞にも影響を及ぼす可能性があります4。初発治療と再発治療の双方における8つの第III相臨床試験のデータから、ダラザレックス®をベースとした治療レジメンにより、無増悪生存期間および/もしくは全生存期間を有意に改善することが示されています5,6,7,8,9,10,11,12。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、骨髄内にある形質細胞と呼ばれる白血球の一種が侵される血液がんで、治癒は難しいとされています13,14。形質細胞は損傷を受けると急速に広がり、骨髄内の正常な細胞が腫瘍に置き換わります。2021年には米国で34,000人以上が多発性骨髄腫と診断され、12,000人以上が亡くなると推定されています15。多発性骨髄腫と診断されても、最初は無症状の場合もあります。しかしほとんどの場合、骨折や骨痛、赤血球数の減少、疲労感、カルシウム値の上昇、腎臓障害、感染症などの症状により診断されます15。
* Facon医師は、ヤンセンに対するコンサルタントとして謝礼が支払われていますが、メディアに対する活動についての支払いはされておりません。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
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参考文献
- Facon T et al. Overall Survival Results With Daratumumab, Lenalidomide and Dexamethasone Versus Lenalidomide and Dexamethasone in Transplant-ineligible Newly Diagnosed Multiple Myeloma: Phase 3 MAIA Study. Abstract #LB1901. Presented at 2021 European Hematology Association Virtual Congress.
- DARZALEX® Prescribing Information, March 2021.
- Data on File. Janssen Biotech, Inc.
- Moreau P, Attal M, Hulin C, et al. Phase 3 randomized study of daratumumab (DARA) + bortezomib/thalidomide/dexamethasone (D-VTd) vs VTd in transplant-eligible (TE) newly diagnosed multiple myeloma (NDMM): CASSIOPEIA Part 1 results. Presented at Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology (ASCO), Chicago, IL, USA, 31 May – 4 June 2019: abstract 8003.
- Janssen Research & Development, LLC. A Study Comparing Daratumumab, Lenalidomide, and Dexamethasone With Lenalidomide and Dexamethasone in Relapsed or Refractory Multiple Myeloma. In: ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2000-[cited 2018 July 24] Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02076009?term=mmy3003&rank=1 Identifier: NCT02136134.
- Janssen Research & Development, LLC. Addition of Daratumumab to Combination of Bortezomib and Dexamethasone in Participants With Relapsed or Refractory Multiple Myeloma. In: ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2000-[cited 2018 July 24]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02136134?term=mmy3004&rank=1 Identifier: NCT02076009.
- Janssen Research & Development, LLC. A Study to Evaluate Daratumumab in Transplant Eligible Participants With Previously Untreated Multiple Myeloma (Cassiopeia). In: ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2000-[cited 2018 July 24]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02541383?term=mmy3006 Identifier: NCT02541383.
- Janssen Research & Development, LLC. A Study of Combination of Daratumumab and Velcade (Bortezomib) Melphalan-Prednisone (DVMP) Compared to Velcade Melphalan-Prednisone (VMP) in Participants With Previously Untreated Multiple Myeloma In: ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2000-[cited 2018 July 24]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02195479?term=mmy3007&rank=1 Identifier: NCT02195479.
- Janssen Research & Development, LLC. Study Comparing Daratumumab, Lenalidomide, and Dexamethasone With Lenalidomide and Dexamethasone in Participants With Previously Untreated Multiple Myeloma. In: ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2000-[cited 2018 July 24]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02252172?term=mmy3008&rank=1 Identifier: NCT02252172.
- Janssen Research & Development, LLC. A Study of VELCADE (Bortezomib) Melphalan-Prednisone (VMP) Compared to Daratumumab in Combination With VMP (D-VMP), in Participants With Previously Untreated Multiple Myeloma Who Are Ineligible for High-Dose Therapy (Asia Pacific Region). In: ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2000-[cited 2018 July 24]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03217812?term=MMY3011&rank=1 Identifier: NCT03217812.
- European Myeloma Network. Compare Progression Free Survival Btw Daratumumab/Pomalidomide/Dexamethasone vs Pomalidomide/Dexamethasone (EMN14). In: ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2000-[cited 2018 July 24] Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03180736?term=MMY3013&rank=2 Identifier: NCT03180736.
- Amgen. Study of Carfilzomib, Daratumumab and Dexamethasone for Patients With Relapsed and/or Refractory Multiple Myeloma. (CANDOR). In: ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2000-[cited 2018 July 24] Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03158688?term=NCT03158688&rank=1 Identifier: NCT03158688.
- Kumar, SK et al. Risk of progression and survival in multiple myeloma relapsing after therapy with IMiDs and bortezomib: a multicenter international myeloma working group study. Leukemia. 2012 Jan; 26(1):149- 57.
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- American Cancer Society. "Key Statistics About Multiple Myeloma." Available at:https://www.cancer.org/cancer/multiple-myeloma/about/key-statistics.html. Accessed May 2021