本プレスリリースは、2021年6月4~8日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)Annual Meetingに向け、6月1日にヤンセン米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。
ピボタル臨床試験であるCARTITUDE-1試験の無増悪生存期間に関するデータを
含む18カ月間の追跡調査結果を、米国臨床腫瘍学会(ASCO)および
欧州血液学会(EHA)の年次総会で発表予定
第2相CARTITUDE-2試験の結果も初めて発表予定
ニュージャージー州ラリタン(米国時間2021年6月1日)- 米国ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズ(以下、ヤンセン)は1日、治験中のB細胞成熟抗原(BCMA)を標的としたCAR-T細胞療法ciltacabtagene autoleucel (cilta-cel)に関する新しいデータを公表し、cilta-celが濃厚な前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫患者さんにおいて、持続的かつ長期の有効性を示したことを発表しました。
第1b/2相CARTITUDE-1試験(n=97)の中央値18カ月の長期追跡調査の最新結果では、全奏効率(ORR)が98%、厳格な完全奏効(sCR)を達成した患者さんが80%で、時間経過とともにレスポンスが深まっていることが明らかになりました(ASH2020で発表された67%から増加)1。また18カ月時点で、患者さんの66%が無増悪生存していることをも示しました(95%信頼区間[CI]、範囲:54.9~75.0)。ASCOの年次総会で発表された最新結果では、全生存率が81%(95%信頼区間、範囲:71.4~87.6)1であり、事前に指定したサブグループおよび治療ライン間でも同等の奏効率を示しました(抄録番号8005)1。CARTITUDE-1試験のデータは、米国食品医薬品局(FDA)の生物学的製剤承認申請を裏付けるもので、最近優先審査にかけられました。
レバインがん研究所の形質細胞疾患部門長で本試験の治験責任医師であるSaad Z. Usmani医師†は次のように述べています。「濃厚な前治療歴のある多発性骨髄腫患者さんにおけるcilta-celの有効性は、優れたものでした。報告された無増悪生存期間を達成できる可能性と、より長期の観察で深い奏効が得られたことから、cilta-celが、将来新たな治療を必要とする患者さんの選択肢の1つとなることを期待しています」
本試験では先行治療レジメンを中央値で6つ受けた患者さんが対象となりました(範囲:3~18)。全ての患者さんが、3種類のカテゴリーの薬剤(免疫調整薬(IMiD)、プロテアソーム阻害薬(PI)、抗CD38抗体)での治療経験がありました。全ての患者さんのうち、42%が5剤に対し抵抗性を示し、99%が最終ラインの治療薬に対して抵抗性を示しました1。14%の患者さんが最良部分奏効(VGPR)を達成し、また3%が部分奏効(PR)を達成しました1。初回奏効までの期間の中央値は1カ月(範囲:0.9~10.7カ月)で、奏効は経時的に深まっていきました1。微小残存病変(MRD)を評価できた61人の患者さんのうち、92%が投与後中央値1カ月(範囲:0.8~7.7カ月)時点において検出感度10-5でMRD陰性となりました1。
今回のデータはcilta-celの安全性プロファイルがこれまでの報告と一致していることを示しており、より長期の追跡調査でも新たな安全性シグナルは観察されませんでした1。CARTITUDE-1試験で観察された最も一般的な血液学的有害事象は、好中球減少症(96%)、貧血(81%)、血小板減少症(79%)、白血球減少症(62%)、リンパ球減少症(53%)でした1。全グレードのサイトカイン放出症候群(CRS)は患者さんの95%で観察され、期間中央値は4日(範囲:1~97)でした。そのうちの99%は、発症後14日以内に回復しました1。CRSを発症した92人の患者さんの95%において、グレード1/2の事象が認められました1。全グレードの神経毒性が患者さんの21%(n=20)において認められ、グレード3以上の神経毒性は患者さんの10%(n=10)でした1。
CARTITUDE-2試験の最初の結果について
1~3次の前治療を受けたものの、症状が進行したレナリドミド抵抗性の多発性骨髄腫患者さんを対象に、cilta-celの安全性と有効性を評価した第2相CARTITUDE-2(NCT04133636)試験のコホートA(n=20)の結果が、ASCO(抄録番号8013)で初めて発表され、EHAでは口演発表(抄録番号S190)されます。このコホートの結果は、追跡期間中央値5.8カ月の時点で、早期かつ深いレスポンスを示しました2。全奏効率(ORR)は95%で、厳格な完全奏効(sCR)が45%、完全奏効(CR)が30%、VGPRが10%、PRが10%でした2。CRSの発現率や最も一般的な血液学的有害事象を含む全体的な安全性プロファイルは、CARTITUDEの臨床開発プログラムにおける観察結果と一致していました2。
ASCOの別のポスター発表(抄録番号8028)では、CARTITUDE-2試験のコホートAの患者さんにおける神経系有害事象の発現率、軽減および管理について詳しく説明しています3。神経毒性は、患者さんの20%(n=4)に発現しましたが、コホートAの患者さんには、運動機能および神経認知機能に関わる治療誘発性の有害事象およびグレード3の神経毒性の事象は認められませんでした3。
ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント社の臨床研究開発のバイスプレジデントであるSen Zhuang医師(M.D.、Ph.D.)は次のように述べています。「私たちの目標は、患者さんの予後を改善することであり、とりわけ重要なのは、治療選択肢のない濃厚な前治療歴のある多発性骨髄腫の患者さんの予後を向上させる治療法を開発することです。CARTITUDEの臨床開発プログラムの結果は、引き続きcilta-celの有望性を示しており、近い将来、この重要な治療法を必要とする患者さんに提供するという、私たちの取り組みをサポートするものです」
CARTITUDE-1について
CARTITUDE-1(NCT03548207)は、再発または難治性多発性骨髄腫の成人患者さんを対象にcilta-celの安全性と有効性を評価する進行中の第1b/2相、非盲検、多施設共同試験です。本試験では、患者さんの99%が最終ラインの治療薬に対して抵抗性を示しており、患者さんの88%が免疫調整薬(IMiD)、プロテアソーム阻害薬(PI)、抗CD38抗体に反応しない、または反応しなくなり、3種類のカテゴリーの薬剤に対する抵抗性を示しています。
第1b相試験の主な目的はcilta-celの安全性の特徴を明らかにし、LCAR-B38M CAR-T細胞を用いた初のヒト試験(LEGEND-2)で示唆された推奨用量を確認することでした。CARTITUDE-1試験で観察された安全性プロファイルに基づき、第2相試験では全奏効を主要評価項目として、推奨された第2相用量でのcilta-celの有効性をさらに評価しました1。
CARTITUDE-2について
CARTITUDE-2(NCT04133636)は多発性骨髄腫患者さんを対象に、cilta-celの安全性および有効性を評価する進行中のマルチコホートの第2相試験です。CARTITUDE-2コホートAでは、PIやIMiDを含む1~3ラインの前治療を受けてもが症状が進行したレナリドミド抵抗性で、BCMAを標的とした薬剤の投与歴がない多発性骨髄腫患者さんを対象としています。主要評価項目は検出感度10-5での微小残存病変(MRD)陰性率です2,3。
ciltacabtagene autoleucel (cilta-cel)について
cilta-celはキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法であり、再発または難治性多発性骨髄腫患者さんおよび初期治療ラインでの投与を目的として、包括的な臨床開発プログラムで研究開発が進められています。cilta-celは、BCMAを標的とする単ドメイン抗体2つを含んだ構造的に区別されたCAR-T細胞療法薬です1。2017年12月、ヤンセン・バイオテック社は米国レジェンド・バイオテック社と、cilta-celの開発および商品化に関する全世界での独占的ライセンス契約および業務提携契約を締結しました。
2021年4月、ヤンセンは再発および/または難治性多発性骨髄腫患者さんの治療を目的としたcilta-celの販売承認申請を欧州医薬品庁に提出したことを発表しました。また2020年12月、米国食品医薬品局(FDA)に対し、cilta-celの生物製剤承認申請(BLA)の段階的な申請開始を発表し、2021年第1四半期に完了しました。cilta-celは、2019年12月に付与された米国のブレイクスルーセラピー指定に加え、2019年4月に欧州委員会からPRIority MEdicines(PRIME)指定を、2020年8月に中国でブレイクスルーセラピー指定を受けました。またヤンセンは2019年2月に米FDAから、2020年2月に欧州委員会からcilta-celの希少疾病用医薬品指定を受けています。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、骨髄内にある形質細胞と呼ばれる白血球の一種が侵される血液がんで、治癒は難しいとされています4,5。形質細胞は損傷を受けると急速に広がり、骨髄内の正常な細胞が腫瘍に置き換わります。2021年には米国で34,000人以上が多発性骨髄腫と診断され、12,000人以上が亡くなると推定されています6。多発性骨髄腫と診断されても、最初は無症状の場合もあります。しかしほとんどの場合、骨折や骨痛、赤血球数の減少、疲労感、カルシウム値の上昇、腎臓障害、感染症などの症状により診断されます6。
† Saad Z. Usmani医師は、ヤンセンに対するコンサルタントとして謝礼が支払われていますが、メディアに対する活動についての支払いはされておりません。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
【本件に関するお問合せ先】
ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
E-mail: [email protected] TEL:03-4411-5046 FAX: 03-4411-5050
参考文献
- Usmani, S. Ciltacabtagene autoleucel, a B-cell maturation antigen (BCMA)-directed chimeric antigen receptor T-cell (CAR-T) therapy, in relapsed/refractory multiple myeloma (R/R MM): Updated results from CARTITUDE-1. Abstract #8005 [Oral]. To be presented at the 2021 American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meeting.
- Agha,M. Efficacy and Safety of the BCMA-Directed CAR-T Cell Therapy, Ciltacabtagene Autoleucel, in Patients With Progressive Multiple Myeloma After 1–3 Prior Lines of Therapy: Initial Results From CARTITUDE-2. Abstract #8013 [poster]. To be presented at the 2021 American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meeting.
- Einsele H. Incidence, mitigation, and management of neurologic adverse events in patients with multiple myeloma (MM) treated with ciltacabtagene autoleucel (cilta-cel) in CARTITUDE-2. Abstract #8028 [poster]. To be presented at the 2021 American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meeting.
- Kumar, SK et al. Risk of progression and survival in multiple myeloma relapsing after therapy with IMiDs and bortezomib: a multicenter international myeloma working group study. Leukemia. 2012 Jan; 26(1):149-57.
- American Cancer Society. "What Is Multiple Myeloma?" Available at: http://www.cancer.org/cancer/multiplemyeloma/detailedguide/multiple-myel.... Accessed December 2020.
- American Cancer Society. "Key Statistics About Multiple Myeloma." Available at: https://www.cancer.org/cancer/multiple-myeloma/about/key-statistics.html...'s%20estimates,men%20and%205%2C570%20in%20women). Accessed April 2021.