ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「ヤンセン」)は本日、ヒト型抗CD38モノクローナル抗体「ダラツムマブ(遺伝子組換え)(以下、ダラツムマブ)」と「ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(以下、rHuPH20)」を配合した皮下投与製剤『ダラキューロ®配合皮下注(以下、ダラキューロ)』の販売を開始しました。ダラキューロは、本年3月23日に「多発性骨髄腫」を効能又は効果として製造販売承認を取得しています。
ダラツムマブの点滴静注製剤(以下、ダラツムマブ(IV))は、多発性骨髄腫に対して、複数の治療レジメンで承認されており、国内外の各種ガイドライン*でも推奨されています1,2,3。一方で、infusion reaction(急性輸液反応)と呼ばれる一過性の炎症やアレルギー反応を予防するため、投与に際しては500~1,000mlの輸液が必要となり、約3〜7時間の投与時間を要します。今回製造販売承認を取得したダラキューロでは、皮下投与に要する時間が約3〜5分へと短縮され、また固定用量となるため薬剤調製手順が簡略化されることにより、医療従事者および患者さんの負担が軽減されることが期待されています4,5。
ダラキューロについては、日本人を含む再発または難治性の多発性骨髄腫の患者さんを対象とした国際共同第III相試験(MMY3012試験 [COLUMBA試験])において、ダラツムマブ(IV)に対する非劣性が単剤療法*にて示されており、安全性が確認されました。また日本人集団と全体集団の薬物動態および有効性に一貫性が認められ、安全性に明らかな差異は認められませんでした。同試験に加え、国内第I相試験(MMY1008試験)、海外第Ib相試験(MMY1004試験 [PAVO試験])、国際共同第II相試験(MMY2040試験 [PLEIADES試験])の結果に基づき、本年3月23日に製造販売承認を取得しました。
*ダラツムマブの単剤療法は国内未承認です。
ヤンセンの代表取締役社長である關口修平は、次のように述べています。「ダラキューロの販売開始は、科学の力と画期的な発想力で、ヘルスケアを進化させるという私たちの決意を体現するものです。ヤンセンは、ダラキューロを通じて、多発性骨髄腫治療における革新を牽引し、患者さんにとって治療の利便性を高める取り組みを続けていきます。今後、治療に費やしていた時間が短縮され、患者さんが他に大切なことに時間を割けるようになることを、大変嬉しく思います」
また、ヤンセンの研究開発本部 本部長のアマナス・シャーマは次のように述べています。「今回の承認、販売開始につながった重要な治験にご参加いただいた日本の患者さん、そして医療従事者の皆さまに、心よりお礼申し上げます。ヤンセンでは、患者さんの生活の質を高めるために常に取り組みを続けていますが、今回のイノベーションは、多発性骨髄腫の患者さんにとって、治療の経験を大きく変えるものです。ダラキューロは、従来の点滴静注製剤と比べ、投与時間を短縮し、利便性を改善します。これは、患者さん、医療従事者の皆さんへの恩恵をもたらしえる、新たな治療の選択肢です」
「ダラキューロ®配合皮下注」製品概要
A 法:1週間間隔、2週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。
B 法:1週間間隔、3週間間隔及び4週間間隔の順で投与する。
国際共同第III相試験(MMY3012試験 [COLUMBA試験])について6
MMY3012試験は、「プロテアソーム阻害剤(PI)及び免疫調整薬(IMiDs)を含む3ライン以上の前治療歴を持つ、またはPI およびIMiDsに治療抵抗性を示す再発または難治性の多発性骨髄腫患者」を対象とする第Ⅲ相、ランダム化、非盲検、実薬対照、多施設共同、並行群間比較試験です。被験者は、ダラキューロを投与する群(263例)と、ダラツムマブ(IV)を投与する群(259例)に無作為に割り付けられました。試験の主要評価項目は全奏効率(ORR)と最高血清中トラフ濃度(サイクル3 Day 1の投与前の最高血清中ダラツムマブ濃度)で、ダラキューロ(ダラツムマブ1,800mg/ rHuPH20 30,000U)単剤療法の、ダラツムマブ(IV)(ダラツムマブ16mg/kg)単剤療法に対する非劣性が示され、安全性が確認されました。
国内第I相試験(MMY1008試験)について
MMY1008試験は、日本人の「再発または難治性の多発性骨髄腫患者」を対象とする非盲検、非ランダム化、多施設共同試験です。ダラキューロ(ダラツムマブ1,800mg/ rHuPH20 30,000U)を単独で皮下投与したときの、日本人患者における忍容性を評価したもので、同試験によってダラキューロ単剤療法の、日本人患者における忍容性が確認されました。
海外第Ib相試験(MMY1004試験 [PAVO試験])について
MMY1004試験は、海外の「PI及びIMiDsを含む2レジメン以上の前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫患者」を対象とする、非盲検、非ランダム化、用量漸増、多施設共同試験です。ダラツムマブ1,200mgまたは1,800mgとrHuPH20を用時混合して皮下投与したパート1と、ダラキューロを投与したパート2において有効性、安全性、薬物動態が確認されました。
国際共同第II相試験(MMY2040試験 [PLEIADES試験])について7
MMY2040試験は、第II相、非ランダム化、非盲検、多施設共同試験です。被験者の標準的レジメン併用下におけるダラツムマブ皮下投与製剤投与の臨床的ベネフィットを全奏効率(ORR)または最良部分奏効(VGPR)以上の割合を指標として評価したもので、同試験において標準的レジメン併用化におけるダラキューロの有効性および安全性が確認されました。
ダラツムマブについて
ダラツムマブは、CD38を標的とするモノクローナル抗体です。病期に関わらず多発性骨髄腫の表面に過剰発現するシグナル伝達分子のCD38に結合することによって機能します8。ダラツムマブについては、未治療、再発などの対象患者において、包括的な臨床開発プログラムを通じて多発性骨髄腫治療における様々な可能性を評価しています9,10,11,12,13,14,15,16 。くすぶり型などのCD38が発現する他のタイプの多発性骨髄腫における可能性を評価するなど、進行中または計画中の試験があります17,18。
日本国内においてダラツムマブは、点滴静注製剤で「多発性骨髄腫」の適応が承認されており、2017年より『ダラザレックス®点滴静注100mg』および『ダラザレックス®点滴静注400mg』として販売されています。再発又は難治性の多発性骨髄腫に対し、2017年9月にレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法(DLd)、並びにボルテゾミブおよびデキサメタゾンとの併用療法(DBd)が、2020年11月にはカルフィルゾミブ、デキサメタゾンとの併用療法(DCd)が承認されています。未治療の多発性骨髄腫に対しては、2019年8月にボルテゾミブ、メルファランおよびプレドニゾロンとの併用療法(DMPB)、2019年12月にはレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用療法(DLd)が承認されています。
またダラツムマブは、移植非適応の未治療多発性骨髄腫の治療において、DLd療法、ダラツムマブ、ボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾロンの併用療法(DMPB療法)が国内の主要な血液・骨髄腫のガイドラインにおいて推奨療法となっています19,20。
さらに2020年11月には、皮下投与製剤について、「全身性ALアミロイドーシス」の適応取得を目的とした製造販売承認を申請中です。
ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(rHuPH20)について
rHuPH20 は、真皮の主要な結合基質であるヒアルロン酸をN-アセチルグルコサミンの四糖類、または六糖類のサブユニット及びグルクロン酸間の結合を加水分解しヒアルロン酸を脱重合することにより、皮下組織に薬剤を注入する際の抵抗を減少させ、薬剤の体内への浸透と分散を促進します。
多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、形質細胞が骨髄で異常に増殖することで生じます21,22。形質細胞が増殖し、がん化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します17,18。2019年の多発性骨髄腫の罹患数予測は7,800人で、死亡数予測は4,500人と推計されています23。多発性骨髄腫は無症状の場合もありますが、骨痛や骨折、息切れ・倦怠感、免疫機能の低下、腎障害や血液障害などにより受診し診断されることがあります24。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。
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TEL:03-4411-5046 FAX: 03-4411-5050 E-mail: [email protected]
参考文献
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- 多発性骨髄腫の診療指針 第5版 日本骨髄腫学会編 2020年9月出版 文光堂出版
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