Skip to main content

「イムブルビカ®」の慢性移植片対宿主病に係る製造販売承認を申請

公開日: 
2021/01/15

 

ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・フウリガン、以下「ヤンセン」)は13日、抗悪性腫瘍剤『イムブルビカ®カプセル 140mg(以下、イムブルビカ、一般名:イブルチニブ)』について、「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」を効能または効果として、製造販売承認事項一部変更承認を申請しました。イブルチニブは、2020年12月25日に厚生労働省より「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病」を予定される効能または効果として、希少疾病用医薬品に指定されています。

 

慢性の移植片対宿主病(GVHD: Graft-Versus-Host Disease)は、同種造血幹細胞移植(allo-HSCT: allogeneic hematopoietic stem cell transplantation)を受けた患者さんに発症する合併症で、ドナーから移植された免疫細胞が患者さんの組織を「非自己」と認識し、免疫応答を起こすことで発症します。特に皮膚、消化管、肝臓、肺、眼、筋骨格系などに起きやすく、発症部位では炎症や線維化に伴う症状が生じます。成人で30~70%1、小児で20~40%2に発症するとされており、allo-HSCTにより移植の原因となった疾患が治癒する可能性がある一方で、慢性GVHDは移植後の生活の質(QOL)や予後に影響する重篤かつ致死的な疾患です3,4,5,6。約半数の患者さんが、一次治療であるステロイド療法では十分な治療効果が得られず、二次治療を必要としますが7、二次治療として有効な治療手段は確立されていません。

 

今回の申請は、ステロイド依存性又は抵抗性の慢性GVHDの患者さんを対象としたPCYC-1129-CA試験(以下1129試験)、ステロイド依存性又は抵抗性の日本人慢性GVHD患者さんを対象とした54179060GVH3001試験(以下GVH3001試験)、および小児の慢性GVHD患者さんを対象としたPCYC-1146-IM試験(以下1146試験)の中間解析において、ステロイド依存性又は抵抗性の慢性GVHD患者さんに対する、イブルチニブの臨床的有用性が確認されたことから行うものです。

 

ヤンセンの代表取締役社長であるクリス・フウリガンは次のように述べています。「慢性GVHDとの診断を受けることは、造血幹細胞移植前から厳しい治療に耐えてきた患者さんにとって大変つらいことです。現在、ステロイド剤の投与で効果不十分な場合には、限定的な治療選択肢しかありません。当局との連携のもと、慢性GVHDに苦しむ患者さんたちに、この重要で新しい治療法をお届けできることを心待ちにしています。」

 

また、ヤンセンの研究開発本部 本部長のアマナス・シャーマは次のように述べています。「慢性GVHDに苦しむ日本の患者さんたちのための、イムブルビカの新しい適応症の承認申請を嬉しく思います。造血幹細胞移植後、一定の割合の患者さんが慢性GVHDを発症し、その症状や治療は長期にわたり患者さんの心身や生活に大きく影響します。この治療方法は、そのような重大なアンメット・ニーズに対応するものです。」

 

日本国内においてイムブルビカは、2016年3月に「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病 (小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応で製造販売承認を取得し、同年12月に「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」、2018年7月に未治療を含む「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応に対して承認を取得しています。

 

イムブルビカ®について

イムブルビカは、1日1回経口投与の新しい作用機序を有するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。BTKは、B細胞の成熟と生存を制御する細胞内シグナル伝達に関与する重要なタンパク質で、本剤は、このBTKを標的にすることで腫瘍細胞の生存シグナルを阻害し、増殖を抑制します8,9

本剤は、Cilag GmbH International(ヤンセンファーマシューティカルズカンパニーの1社)と、アッヴィ社の傘下にあるファーマサイクリックス社が共同開発しています。ファーマサイクリックス社とヤンセン・バイオテック社が共同販売をしている米国を除く、その他の国と地域では、ヤンセンが販売します。

 

1129試験(PCYC-1129-CA試験)について

ステロイド依存性又は抵抗性の慢性GVHD患者さんを対象に、2014年7月から2017年9月に実施した海外第Ib/II相試験で、NIH Consensus Development Project Criteria (2005)に基づくイブルチニブの高い有効性および良好な安全性プロファイルが示されました。この結果に基づき、米国では、2016年6月にイブルチニブがorphan drugおよびbreakthrough therapyの指定を受け、また2017年8月には1種類以上の全身治療で効果不十分な成人慢性GVHD患者さんに対する治療薬として承認されました。2020年12月現在、慢性GVHDの二次治療に対する適応は29カ国で承認されています。

 

1146試験(PCYC-1146-IM試験)について

海外において、1〜21歳の未治療又は1種類以上の全身治療で効果不十分な慢性GVHD患者さんを対象に実施中の第I/II相試験です。

 

ヤンセンについて

ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。

ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。

 

報道関係の皆様からのお問合せ先

 ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]  TEL:03-4411-5046   FAX: 03-4411-5050

 

参考文献

  1. Jagasia MH, Greinix HT, Arora M, et al. National Institutes of Health Consensus Development Project on Criteria for Clinical Trials in Chronic Graft-versus-Host Disease: I. The 2014 Diagnosis and Staging Working Group report. Biol Blood Marrow Transplant. 2015 Mar;21(3):389-401.
  2. Jacobsohn DA, AroraM, Klein JP, et al. Risk factors associated with increased nonrelapse mortality and with poor overall survival in children with chronic graft-versus-host disease. Blood. 2011 Oct 20; 118 (16): 4472-9.
  3. Arai S, Jagasia M, Storer B,et al. Global and organ-specific chronic graft-versus-host disease severity according to the 2005 NIH Consensus Criteria. Blood. 2011 Oct;118(15):4242-9.
  4. Baird K,Pavletic SZ.Chronic graft versus host disease. Curr Opin Hematol.2006 Nov;13(6):426- 35.
  5. Lee SJ, Vogelsang G, Flowers ME. Chronic graft-versus-host disease. Biol Blood Marrow Transplant. 2003 Apr;9(4):215-33.
  6. Pidala J, Kim J, Anasetti C, et al. The global severity of chronic graft-versus-host disease, determined by National Institutes of Health consensus criteria, is associated with overall survival and non-relapse mortality. Haematologica. 2011 Nov;96(11):1678-84.
  7. Flowers ME, Martin PJ. How we treat chronic graft-versus-host disease. Blood. 2015 Jan;125(4):606-15. Secondary systemic treatment
  8. 厚生労働省: 平成23年患者調査 第97表.
  9. Hallek M: Am J Hematol 90; 446-460, 2015