ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・フウリガン)は本日、持効性抗精神病剤『ゼプリオンTRI®水懸筋注シリンジ』(一般名:パリペリドンパルミチン酸エステル、以下「ゼプリオンTRI®」)について、「統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた患者に限る)」を効能又は効果とする製造販売承認を取得しました。同製品は、国内で承認されている統合失調症治療薬において、最長の投与間隔となる12週間隔の持効性注射剤です。なお、ゼプリオンTRI®の投与開始前には、患者は他の抗精神病薬を併用せずにゼプリオン®水懸筋注(パリペリドン4 週間隔筋注製剤)が4ヵ月以上継続して投与され、安全性・忍容性が確認され症状が安定している必要があります。
「この承認は統合失調症患者さんにとって大きな前進です。医師がこの治療に適していると判断した患者さんは、長期的に症状をコントロールすることができ、再発のリスクを低減するとともに、患者さんが服薬アドヒアランス以外の治療計画や患者さんの身体的、精神的な状態を確認することに注力でき、医療チームとの一層の協力体制構築が可能となります」とヤンセンファーマ株式会社 代表取締役社長のクリス・フウリガンは述べています。
薬物治療は統合失調症治療の症状管理において重要な役割を果たします。しかし、服薬アドヒアランスの低下は問題として認識されており、統合失調症治療の困難な側面の一つでもあります。服薬アドヒアランスの低下は、結果として再発、入院および自殺のリスクの増大につながります1。
承認は2つの海外および国際共同第Ⅲ相臨床試験に基づくもので、ひとつは500人以上の統合失調症患者を対象としたランダム化、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、再発予防試験2、もう一方は、12週間製剤と4週間製剤の有効性と安全性を比較する多施設共同、ランダム化、二重盲検、非劣性試験です3。12週間隔筋注製剤であるゼプリオンTRI®は再発に対する有効性が認められ、新規または予期せぬ安全性シグナルは認められませんでした3。
海外再発予防試験においては、二重盲検期にゼプリオンTRI®で治療された患者群において有効性の主要評価項目である再発までの期間がプラセボ投与群に対し有意に延長したことが認められました2。日本が参加した国際共同非劣性試験においては、有効性の主要評価項目であるKaplan-Meier推定値に基づいた非再発率は両群で類似(12週間製剤: 458例(91.2%); 4週間製剤: 490例(90.0%); 非再発率の群間差: 1.2% [95% CI: -2.7%; 5.1%])しており、副次評価項目の結果(陽性・陰性症状尺度総スコアおよび下位尺度スコア、臨床全般印象度-重症度および個人的・社会的機能遂行度尺度スコアにおける二重盲検期のベースラインからの変化)は主要評価項目の結果と一致していました3。
なお、安全性評価対象例504例(日本人52例を含む)中210例(41.7%)に副作用が認められた。その主なものは、体重増加91例(18.1%)、アカシジア20例(4.0%)、注射部位硬結14例(2.8%)、注射部位疼痛11例(2.2%)、不安9例(1.8%)、振戦9例(1.8%)であり、これらの安全性プロファイルは4週間製剤と同様でした。
ゼプリオンTRI®は約80ヵ国で承認されており、2015年に米国で初めて承認されて以来、年間33万5,000人以上を対象に治療が行われてきました。
※ゼプリオン®水懸筋注シリンジにおいては、2014年に安全性速報を発出しましたが、その後、特定使用成績調査等の結果、臨床使用実態下においても、パリペリドンパルミチン酸エステル持効性懸濁注射剤投与が死亡リスクの増大につながる危険性は低いと示されています。(出典:若松ら 臨床精神薬理 20 : 1335-1349, 2017)
統合失調症について
統合失調症は思春期から成人期にかけて発症する疾患で、患者数は日本国内で約80万人程度と推計されています4。幻覚、妄想などの陽性症状、感情の平板化、意欲低下などの陰性症状、注意、記憶の障害などの認知機能障害を主徴とします。統合失調症の治療において薬物治療は重要な要素のひとつであり、維持期における再発・再燃を予防するために長期的な治療も必要とされています5,6。しかし、多くの患者が治療中断による再発や再入院を繰り返しています7。これら再発・再燃に関する種々の問題を解決し治療を成功させるためには、服薬アドヒアランスの向上が重要な課題として考えられています8
ゼプリオン®について
パリペリドンパルミチン酸エステルは水に対する溶解度が極めて低いため、筋肉内投与された後、緩徐に溶解し、その後パリペリドンに加水分解され全身循環に移行します。投与部位から緩徐にパリペリドンが放出されることで、長期に渡って有効血漿中濃度を維持します。国内においては、『ゼプリオンTRI®水懸筋注シリンジ』と同じパリペリドンパルミチン酸エステルを有効成分とする『ゼプリオン®水懸筋注シリンジ』が、統合失調症を効能又は効果とする4週に1回投与の非定型抗精神病薬の持効性注射剤として2013年9月に製造販売承認、同年11月から販売されています。
ヤンセンについて
ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し希望を与えます。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/およびwww.facebook.com/JanssenJapan/をご覧ください。
ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です
References:
- Higashi, K, Medic G, Littlewood, K, et al. Medication adherence in schizophrenia: factors influencing adherence and consequences of nonadherence, a systemic literature review. Therapeutic Advances in Pharmacology. 2013 Aug; 3(4): 200–218.
- Berwaerts J, Liu Y, Gopal S, et al. Efficacy and Safety of the 3-Month Formulation of Paliperidone Palmitate vs Placebo for Relapse Prevention of Schizophrenia: A Randomized Clinical Trial. JAMA Psychiatry. 2015;72(8):830-9.
- Savitz AJ, Xu H, Gopal S, et al. Efficacy and safety of paliperidone palmitate 3-month formulation for patients with schizophrenia: A randomized, multicenter, double-blind, noninferiority study. Int J Neuropsychopharmacol. 2016.
- 厚生労働省ホームページ:平成29年(2017年)患者調査の概況. Available from:http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/kanja.pdf
- American Psychiatric Association (APA). Practice guidelines for the treatment of patients with schizophrenia, Second Edition. American Psychiatric Association. 2010.
- Robinson D, et al. Predictors of relapse following response from a first episode of schizophrenia or schizoaffective disorder. Arch Gen Psychiatry. 1999;56(3):241-7.
- 稲垣中, et al. 精神分裂病維持療法における非定型抗精神病薬とデポ剤の役割. 臨床精神薬理. 2001;4(3):361-7.
- Velligan DI, et al. The expert consensus guideline series: adherence problems in patients with serious and persistent mental illness. J Clin Psychiatry. 2009;70 Suppl 4:1-46.
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