本資料は、米国ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセン社が2020年4月6日(米国時間)に発表したプレスリリースの一部を日本語に翻訳し、4月15日、皆さまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先します。本資料全文(英文)は、www.janssen.com/newsをご参照下さい。なお、本文中には日本未承認用法に関する情報が含まれています。
計1,120例を対象としたDISCOVER-1試験およびDISCOVER-2試験は、
この作用機序を評価する関節症性乾癬における初の第3相試験
トレムフィア®は現在、活動性関節症性乾癬における
成人向け治療を適応とした承認取得のため、米国FDAによる審査中
世界1億2500万人の乾癬患者のうち最大30%が関節症性乾癬を併発する可能性がある1
ペンシルバニア州スプリングハウス、2020年4月6日 – ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズ(以下、ヤンセン)は本日、活動性関節症性乾癬(乾癬性関節炎)(以下、PsA)の成人患者の治療を目的としたトレムフィア®(グセルクマブ)の有効性と安全性を評価した2つの第3相試験、DISCOVER-1試験およびDISCOVER-2試験の包括的なデータをLancet誌で公表したことを発表しました2,3。トレムフィアは、インターロイキン(IL)-23 のp19サブユニットに選択的に結合し、IL-23受容体との相互作用を阻害するモノクローナル抗体です。IL-23は、乾癬やPsAなどの炎症性疾患の病因に対し重要な役割を果たします4。これらは、その作用機序を備えた抗体の活動性PsAにおける安全性と有効性の結果を報告した第3相プログラムの初の公表文献です。トレムフィアは現在、米国ではPsA の治療には認可されておらず、この適応に関しては米国食品医薬品局(FDA)が審査中です。
DISCOVERプログラムの2つの試験のデータは、2019年9月13日付の米国FDAへの生物学的製剤承認事項一部変更承認申請の根拠となりました5。Lancet誌で公表された主要評価項目の結果は、2019年11月に開催された2019年米国リウマチ学会およびリウマチ専門家協会(ACR/ARP)の年次総会でのDISCOVERプログラムにおける最初のデータ発表を補完するものです。DISCOVER-1試験では、抗腫瘍壊死因子(TNF)-αを標的とした生物学的製剤による治療歴のある患者(~30%)を含む、標準治療への反応が不十分だった活動性PsA患者381例を評価しました2。DISCOVER-2試験には、生物学的製剤による治療歴がなく、標準治療への反応が不十分だった739例を組み入れました3
「関節症性乾癬は複雑な疾患であり、患者さんは多くの苦しい症状に可能な限り対処できる治療法を探し求めています」と、DISCOVER-2試験の治験責任医師であり著者である、シアトルのスウェーデン医療センター/プロビデンス・セント・ジョセフ・ヘルスおよびワシントン大学のPhilip J. Measei医師は述べています。「関節、皮膚、軟部組織の炎症および身体機能に関するさまざまな評価項目に加え、頑健な安全性データによって、Lancet誌のこれらの公表文献は、トレムフィアがPsAの多次元的な症状に対する治療選択肢になることを裏付けています。」
Lancet誌で公表された結果は、いずれの試験でも24週時で主要評価項目が統計学的有意差をもって達成されたことを示しています。副次的評価項目の結果も報告されました2,3。
●関節症状
- DISCOVER-1試験では、主要評価項目であるACR反応の20%改善(ACR20)が達成されたのは、4週間ごと(q4w)および8週間ごと(q8w)にトレムフィア100mgを投与された患者のそれぞれ59%および52%であったのに対し、プラセボ群では22%でした(いずれもp <0.001)。DISCOVER-2試験でも主要評価項目が満たされ、トレムフィア q4wまたはq8wを投与された患者の64%がACR20の反応を達成したのに対し、プラセボでは33%でした(いずれもp <0.0001)。
- DISCOVER-1試験では、トレムフィア q4w群の37%およびトレムフィア q8w群の30%がACR50の改善を達成したのに対し、プラセボ群では9%でした(いずれもp <0.0001)。DISCOVER-2試験では、24週時に同評価項目を達成していたのは、トレムフィア q4w群で33%、トレムフィア q8w群で31%だったのに対し、プラセボ群では14%(いずれもp <0.0001)でした。トレムフィア q4w群およびq8w群では、24週時にACR70反応が得られた患者の割合もプラセボ群と比較して高くなりました。
- X線評価による関節破壊進行の抑制に対するトレムフィアの影響を評価したDISCOVER-2試験では、トレムフィア q4w群は、van der Heijdeスコアのベースライン値からの改善の平均値により測定される、X線評価による関節破壊の進行を統計学的有意に抑制することが示されました(p = 0.011)6。また、トレムフィア q8w群は、24週目にプラセボと比較して、数値的には低いものの、構造破壊の進行を統計学的な有意差をもって抑制することは示されませんでした(p = 0.072)。
●皮膚
- DISCOVER-1試験のベースライン時に臨床的に意義のある乾癬があった患者では、24週時に皮膚症状がないまたはほぼ症状がない状態に達していたのは、トレムフィア q4w群で75%、トレムフィア q8w群で57%だったのに対し7、プラセボ群では15%でした(いずれもp <0.0001)。DISCOVER-2試験では、24週時に同評価項目を達成していたのは、トレムフィア q4w群で68%、トレムフィア q8w群で70%だったのに対し、プラセボ群では19%でした(いずれもp <0.0001)。
- 24週時の乾癬面積及び重症度指標(PASI)75、PASI 90、PASI 100の反応率はプラセボ群よりトレムフィア群の方が高くなりました(DISCOVER-1試験ではいずれも未調整 p 値<0.0001でPASI 100はp = 0.0005、DISCOVER-2試験では、いずれも未調整 p 値<0.0001)。
●軟部組織の炎症および疾患活動性の複合的尺度
- DISCOVER-1試験およびDISCOVER-2試験の併合データの解析結果に基づくと、ベースライン時に腱付着部炎(骨、腱、靭帯が接触する場所の疼痛)があった患者では、腱付着部炎が消失したのはトレムフィア q4w群で45%、トレムフィア q8w群で50%だったのに対し、プラセボ群では29%でした(いずれもp = 0.0301)8。
- DISCOVER-1試験およびDISCOVER-2試験の併合データの解析結果に基づくと、ベースライン時に指炎(手指と足趾の関節の重度の炎症)があった患者では、指炎が消失したのはトレムフィア q4w群で64%、q8w群で59%だったのに対し、 プラセボ群では42%でした(それぞれp = 0.011およびp = 0.0301)9。
- DISCOVER-1試験では、最小疾患活動性を達成したとみなされたのはトレムフィア q4w群で30%、トレムフィア q8w群で23%だったのに対し、プラセボ群では11%でした(それぞれp = 0.0002およびp = 0.012)。DISCOVER-2試験では、同評価項目を達成したのはトレムフィア q4w群で19%、トレムフィア q8w群で25%だったのに対し、プラセボ群では6%でした(いずれもp 10。
●身体機能および健康関連の生活の質を評価する患者報告アウトカム尺度
- トレムフィア群の患者では、ベースライン値からの患者報告による身体的機能を測定する、健康評価質問票機能障害指数(HAQ-DI)11(いずれもp <0.0001)および36項目の簡易型健康調査票(SF-36)12の身体的健康度スコア(PCS)13で臨床的に意義のある改善平均値が報告されました(DISCOVER-1試験ではいずれもp <0.0001、DISCOVER-2試験ではいずれもp = 0.011)。患者報告による精神的幸福を測定するSF-36の精神的健康度(MCS)では、報告されたベースライン値からの改善はプラセボと比較して統計学的な有意差を示しませんでした(いずれもp > 0.05)。
●安全性
- DISCOVER-1試験およびDISCOVER-2試験では、q4w群(0%および3%)およびq8w(3%および1%)の24週時までの重篤な有害事象(AE)の発現率は、プラセボ群(4%および3%)と同程度でした。
「IL-23免疫経路は、乾癬や関節症性乾癬を含む、多くの免疫介在性炎症性疾患に関連しています」とヤンセン・リサーチ&ディベロップメント社のバイスプレジデント、リウマチ疾患領域事業部長、Alyssa Johnsen医師は述べています。「関節症性乾癬のDISCOVER-1試験とDISCOVER-2試験のデータを共有できることを嬉しく思っています。関節症性乾癬は、トレムフィアがすでに治療効果に関する実績を持つ乾癬と闘っている多くの人々が懸念している疾患です。」
トレムフィアは、全身療法または光線療法の対象となる中等度から重度の尋常性乾癬を有する成人患者の治療薬として2017年7月13日に米国FDAによって初めて承認されました14。現在、この適応症は日本を含む72ヵ国で承認されています。
DISCOVER-1試験(NCT03162796)について15
DISCOVER-1試験は、抗TNF療法による治療歴のある患者を含む活動性PsA患者に皮下注射で投与した場合のトレムフィアの有効性と安全性を評価した無作為化、二重盲検、多施設共同第3相試験です。DISCOVER-1試験は381例を評価し、約1年後に終了しました。
この試験は、最長6週間のスクリーニング期、0週から24週時までのプラセボ対照期間と24週時から52週時までの実薬投与期間を含む52週間の盲検投与期、および52週時以降の8週間の安全性追跡調査期(52週から60週時、治験薬の最終投与[48週時]から安全性追跡調査期の最終来院までの12週間)で構成されました。 有効性、安全性、薬物動態、免疫原性、およびバイオマーカーの評価は、既定のスケジュールに基づいて実施されました。
DISCOVER-2試験(NCT03158285)について16
DISCOVER-2試験は、生物学的製剤による治療歴のない活動性PsA患者に皮下注射で投与した場合のトレムフィアの有効性と安全性を評価した、無作為化、二重盲検、多施設共同第3相試験です。 DISCOVER-2試験は739例を評価し、約2年間継続中です。
この試験は、最長6週間のスクリーニング期、0週から24週時までのプラセボ対照期間と24週から100週時までの実薬投与期間を含む盲検投与期(約100週間)、および治験薬の最終投与後12週間の安全性追跡調査期で構成されました。有効性、医療費、安全性、薬物動態、免疫原性、バイオマーカー、および薬理ゲノミクスの評価を、既定のスケジュールに従って試験にて実施中です。
関節症性乾癬(乾癬性関節炎)について
関節症性乾癬(乾癬性関節炎)(PsA)は、慢性の免疫介在性炎症性疾患で、末梢関節の炎症、腱付着部炎、指炎、体軸関節病変、乾癬に伴う皮膚病変を特徴とします17。乾癬患者の10%から30%がPsAを併発することが研究で示されています1。PsAは関節とその周囲の疼痛、こわばり感、腫脹を引き起こします。通常、30~50歳で発症しますが、年齢を問わずに発症することもあります1。PsAの正確な原因は不明ですが、遺伝子、免疫系、環境因子のすべてがPsAの発症に関与していると考えられています18。
トレムフィア®(グセルクマブ)について
ヤンセンが開発したトレムフィアは、IL-23のp19サブユニットに選択的に結合し、IL-23受容体との相互作用を阻害するモノクローナル抗体です。トレムフィアは、中等度から重度の尋常性乾癬の成人患者の治療を適応として、米国、カナダ、EU、日本、および世界中の国々で承認されています。IL-23は、乾癬や関節症性乾癬などの炎症性疾患の病因において重要な役割を担っています4。トレムフィアは1回100mg を初回、4週後、以降8週間隔で皮下注射として投与されます。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズは、トレムフィア®の全世界での独占販売権を有しています。
安全性情報について
グセルクマブの安全性に関する情報は、プレスリリース原文(英語)を参照ください。
https://www.janssen.com/us/sites/www_janssen_com_usa/files/the_lancet_si...
参考文献
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- Creaky Joints. What is Dactylitis? https://creakyjoints.org/symptoms/what-is-dactylitis/. Accessed March 2020. In DISCOVER-1 and -2, resolution of dactylitis was defined as complete absence of dactylitis in 20 sites (10 fingers, 10 toes) as measured by Dactylitis Severity Scale (DSS). Results were pooled across DISCOVER-1 and -2.
- Patients were considered to have achieved minimal disease activity if fulfilling at least five of the following seven criteria: tender joint count 1 or less, swollen joint count 1 or less, PASI score 1 or less, patient pain VAS score 15 or less, patient global disease activity VAS score 20 or less, HAQ-DI score 0・5 or less, and tender entheseal points 1 or less.
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ヤンセンについて
ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンは、病気のない世界を実現するために日々努力しています。今までにない、より良い方法で疾患を予防・撲滅・治療・治癒し、人々の命に貢献することが私たちの望みです。そして、常に患者さんのことを考え、最も有望なサイエンスを追及しています。私たちヤンセンは、人々の希望と命を明日につなぐため、世界中とコラボレーションしています。
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