ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・フウリガン、以下「ヤンセン」)は本日、抗HIV薬「オデフシィ®配合錠」(一般名:リルピビリン塩酸塩/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩/エムトリシタビン、以下「オデフシィ」)について、成人および小児(12 歳以上かつ体重35kg以上)のHIV-1 感染症を効能・効果として製造販売承認を取得しました。
オデフシィは、リルピビリン(RPV)として25 mg、テノホビル アラフェナミド(TAF)として25 mgおよびエムトリシタビンとして(FTC)200 mgの3 成分を固定用量で配合したフィルムコーティング錠で、1日1回1錠のHIV-1 感染症に対する治療薬です。オデフシィはヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメントとギリアド・サイエンシズ社により共同開発され、ヤンセンは同社とのライセンス契約に基づいて、日本における独占的開発・商業化権を保有しています。
オデフシィは米国では2016年3月、欧州では同年6月に承認されています。今回の承認は、海外第Ⅰ相試験(GS-US-366-1159試験)において、オデフシィと既承認製剤であるエジュラント錠25 mg又はゲンボイヤ配合錠投与時のRPV、FTC及びTAFの血漿中薬物動態パラメータで、生物学的同等性が示されたことから、RPV、FTC又はTAFを含有する製剤を用いて実施された臨床試験データ等の利用に基づくものです。さらに、他の抗HIV薬からオデフシィに切り替えた際の有効性および安全性を検討した海外第Ⅲ相試験を2試験(GS-US-366-1216試験およびGS-US-366-1160試験)実施し、良好な忍容性が認められています。
ヤンセンの代表取締役社長であるクリス・フウリガンは、次のように述べています。「HIV感染症の治療は、複数の抗HIV 治療薬を併用するとともに長期間に渡るため、患者さんが積極的に治療方針の決定に参加して治療を受ける、服薬アドヒアランスの向上が重要です。オデフシィは、既存の3剤を組み合わせ、1日1回1剤で治療を行えるHIV感染症の新たな選択肢として、患者さんの服薬アドヒアランスと治療効果の向上に貢献できることを期待されています。」
ヤンセンは今後も、未だに満たされない医療ニーズに応えることで、患者さんのQOL向上に尽力していきます。
「オデフシィ®配合錠」製品概要
製品名 オデフシィ®配合錠
一般名 リルピビリン塩酸塩/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩/エムトリシタビン
効能・効果 HIV-1 感染症
用法・用量 通常、成人および12歳以上かつ体重35kg以上の小児には、1回1錠(リルピビリンとして25 mg、テノホビル アラフェナミドとして25 mgおよびエムトリシタビンとして200 mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する
HIV(ヒト免疫不全ウイルス) 感染症について
HIV感染症は、公衆衛生上極めて重要な、生命を脅かす重篤疾患であり、2017 年に全世界で約3,690 万人が罹患していると報告されています1。一方日本では、新規のHIV 感染および後天性免疫不全症候群(AIDS)患者として年間約1,500 人が報告されており、2017 年の累計患者数は約2 万8,750 人と報告されています2。
HIV感染症の標準治療について
HIV 感染症の標準治療は、複数の抗HIV 治療薬を併用し、ウイルスの複製抑制、CD4陽性リンパ球数の増加および疾患進行の抑制を目指す、抗レトロウイルス療法です。日本の抗HIV 治療のガイドライン3では、抗HIV 治療未経験の患者さんに対する初回治療は、NRTI 2 剤に加えて、3 つの薬剤クラス(インテグラーゼ阻害剤、NNRTIまたはプロテアーゼ阻害剤)から1 つの抗HIV 治療薬を選択して併用する抗レトロウイルス療法が推奨されています。また、同ガイドラインは「服薬率を維持するためには、1 日1 回投与の処方が有利であり、今後新規に治療を開始する症例には積極的に選択すべき」としています3。服薬率が95%を下回ると十分な治療効果を得られないとするデータも発表されています4。さらに、抗HIV 治療のメタアナリシスにより、1日に内服する錠数が少ないほど、服薬アドヒアランスとウイルス抑制率が高いことが示されています5。
新規薬剤の登場とそれらの併用治療により、ウイルス複製の抑制が可能となり、HIV感染患者さんの生命予後は著しく改善されました。しかし、現在でも薬物治療のみではHIV感染患者さんからウイルスを完全に排除することはできず、生涯治療を継続する必要があります。
GS-US-366-1216試験について6
リルピビン/エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合剤による抗HIV治療薬により6か月以上持続してウイルス学的に抑制され、かつオデフシィの有効成分に対する耐性がないHIV-1感染患者さんを対象とし、オデフシィに切り替えた際の有効性および安全性を検討するために、継続投与群(313例)を対照にオデフシィ切り替え群(316例)との無作為化二重盲検並行群比較試験を実施した結果、48週時の臨床成績においてオデフシィの非劣性が認められました。
GS-US-366-1160試験について7
エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩配合剤(国内未承認)による抗HIV治療薬により6か月以上持続してウイルス学的に抑制され、かつオデフシィの有効成分に対する耐性がないHIV-1感染患者さんを対象とし、オデフシィに切り替えた際の有効性および安全性を検討するために、継続投与群(437例)を対照にオデフシィ切り替え群(438例)との無作為化二重盲検並行群比較試験を実施した結果、48週時の臨床成績においてオデフシィの非劣性が認められました。
参考文献
- UNAIDS [homepage on the Internet]. Geneva: Joint United Nations Programme on HIV/AIDS (UNAIDS). AIDS DATA.
Available from: http://www.unaids.org/en/resources/aids_data - AIDS Prevention Information Network [homepage on the Internet].
東京: 公益財団法人 エイズ予防財団. エイズ動向委員会報告 2017 年.
Available from: http://apinet.jfap.or.jp/status/2016.html - 平成29 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業 HIV 感染症及びその合併症の課題を克服する研究班. 抗HIV 治療ガイドライン. 2018 年3 月.
- Paterson, D. L., S. Serndells, J. Mohr, M. Brester, E. N. Vergis, C. Squier, M. M. Wagener, and N. Singh. Adherence to protease inhibitor therapy and outcomes in patients with HIV infection. Ann Intern Med 133:21-30. 2000
- Nachega JB, Parienti JJ, Uthman OA, et al. Lower pill burden and once-daily antiretroviral treatment regimens for HIV infection: A meta-analysis of randomized controlled trials. Clin Infect Dis. May; 58(9):1297-307. 2014
- Orkin, C., et al.: Lancet HIV., May; 4(5), e195, 2017
- DeJesus, E., et al.: Lancet HIV., May; 4(5), e205, 2017
ヤンセンについて
ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンは、病気のない世界を実現するために日々努力しています。今までにない、より良い方法で疾患を予防・撲滅・治療・治癒し、人々の命に貢献することが私たちの望みです。そして、常に患者さんのことを考え、最も有望なサイエンスを追及しています。私たちヤンセンは、人々の希望と命を明日につなぐため、世界中とコラボレーションしています。
さらに詳しい情報はwww.janssen.com/japanをご覧ください。
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ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
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