米ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品日本法人、ヤンセンファーマ株式会社(住所: 東京都千代田区、社長: 関口 康)は、2004年6月に全国一般40代以上の400名(身近にがん患者有り205名、身近にがん患者無し195名)を対象として、がん疼痛治療に関する意識調査を実施しました。この結果から、一般に「がんの痛み(疼痛)は非常に強いものである」という認識は高いものの、疼痛治療に用いられる薬剤「モルヒネ」については、誤解が多く、情報が不足していることが明らかになりました。
●がんの痛みのイメージは「耐えられない痛み(61%)」、でも5人に1人は「限界まで我慢」
がんの痛みは、がん病変で治療を受けている患者の3分の1の人に発生します。終末期がんの患者では、3分の2以上で主症状となり、しばしば複数の部位に起こります。 大多数が持続性の痛みで、50%は強い痛み、30%は耐え難いほど強くなり、不眠や食欲の低下をもたらすなど、患者のQOLのすべての側面の妨げになるといわれています。
がんの痛みに対するイメージを選択肢から選んでもらったところ(複数回答)、一番多い回答が「耐えられない痛み」で回答者の61%が選択していました。一方、「がん以外の病気と変わらない」は3%にとどまり、がんは、他の疾患と比べて特に激しい痛みに襲われるイメージが強いことがわかりました【グラフ1】。また、自分ががんで痛みを伴なった場合に望む治療では、「痛みを取れる薬があれば、何でも使ってもらいたい」人が66%と多数いるものの、5人に1人は「限界まで我慢すると思う(21%)」と疼痛治療をできるだけ避けたいと考える人がいることがわかります【グラフ2】 。
●「モルヒネ」に対するイメージは、「最後の手段の痛み止め」、「中毒・依存になる麻薬」 がん疼痛治療に用いられる医療用麻薬製剤「モルヒネ」に対するイメージを選択肢から選んでもらったところ(複数回答)、上位5項目は、「強力な痛み止め(66%)」、「麻薬(56%)」、「痛みを止める最後の手段(54%)」、「中毒・依存症になる(48%)」、「痛みから解放される(47%)」となりました。一方、「医薬品(12%)」、「緩和ケア(21%)」を選択した人の割合は低くなりました【グラフ3】。およそ半数の人が「中毒・依存症になる」と思っているという結果からは、がん疼痛治療を受けるにあたって、「モルヒネは、痛みを止める最後の手段である強力な薬剤で使用すれば痛みから解放されるかもしれないが、そのかわり中毒や依存症のリスクがある」という認識があり、「激しい痛みを我慢」するか「中毒・依存を覚悟」するか、という選択をしなくてはならないと考える人がいることがわかります。
がんの痛みに用いられる、モルヒネなどの医療用麻薬製剤を用いても、身体的依存は対処可能で、一般に危惧されている精神的依存はおきないことが実証されていますが、実際には、不正麻薬のネガティブなイメージによって、医療用麻薬製剤による疼痛治療を誤解している人が多いのが現状です。
●誤解と情報不足が痛みの我慢の原因に
身近にがん患者がいない人では、がんの痛みにモルヒネが処方された場合、「使用することに抵抗がない(「受け入れられる」(「受け入れられない」の7段評価で上位3段階)」と回答した人は40%でした。モルヒネについて、「中毒・依存の心配はない」、「だんだん効果が弱まることはない」、「適切な使用でがんの痛みの9割はおさえられる」などの点について、詳しく説明を提示した後に同じ質問をしたところ、使用することに抵抗がないと回答したのは、身近にがん患者がいない人では、69%とおよそ30%増えました【グラフ4】。また、「判断がつかない」とした人は、22%から6%に減少し、一般に医療用間麻薬製剤に対する誤解があると同時に、判断材料となる情報が不足していることがわかりました。
今回の調査により、一般に、「医療用麻薬製剤についての正しい情報が十分に伝われば、がん疼痛治療に対してより積極的になる」ことがわかりました。医療現場においては、医師、看護師など医療情報の提供者側が医療用麻薬製剤について正確な情報を習得し、患者や家族に正確に伝えることが、患者が不要な痛みを我慢せずに治療に専念し、QOL向上を実現するために重要であるといえるでしょう。
以上
「がん疼痛治療に関する一般意識調査」調査概要
調査実施日 2004年6月10日~6月21日
実施方法 インターネット調査
回答者 全国40代以上男女400名
(身近にがん患者有り205名、身近にがん患者無し195名 )