※当資料は、2018年2月8日(現地時間)に米国・サンフランシスコで開催されている2018年全米臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU)で発表した抄録#161の抄訳版プレスリリースです。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。また、正式言語が英語であるため、原文の発表内容が優先されます。
2018年2月8日、米国カリフォルニア州サンフランシスコ及びニュージャージー州ラリタンにて発表
ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンは本日、第III相臨床試験であるSPARTAN試験において、アパルタミド群がプラセボ群と比較してハイリスクの非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の転移及び死亡のリスクを72%減少、無転移生存期間(MFS:metastasis-free survival)中央値を2年以上延長したことを発表しました。これらの結果は、米・サンフランシスコで開催された全米臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(American Society of Clinical Oncology Genitourinary Cancers Symposium:ASCO GU)2018で発表されました。同時に試験結果がThe New England Journal of Medicine誌に掲載されました。
「ここ数年間で前立腺がんの治療は進歩を遂げていますが、転移性去勢抵抗性前立腺がんは依然として生命を脅かす疾患のひとつです。SPARTAN試験の結果は、非転移性去勢抵抗性前立腺がんにおいて初めて無転移生存期間を延長し、良好な転帰が得られる可能性があることを示したものです。これらのデータは、アパルタミドが非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんに対する新たな標準治療となり得ることを示唆しています」と米・カリフォルニア大学サンフランシスコ校血液・腫瘍内科部門責任者でSPARTAN試験の治験責任医師であるEric Small氏(全米臨床腫瘍学会フェロー)は述べています。
SPARTAN試験には、非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者1,207名が参加し、北米、欧州、アジアパシフィックの26ヵ国332施設で行われました。これらの患者は2:1の割合でアンドロゲン除去療法(ADT:androgen deprivation therapy)とアパルタミドを投与する群(アパルタミド群)(n = 806)、ADTとプラセボを投与する群(プラセボ群)(n = 401)に無作為に割り付けられました。
アパルタミド群はプラセボ群と比較して、転移及び死亡のリスクが72%減少(HR = 0.28、95%CI:0.23~0.35、p<0.0001)[1]。MFSの中央値は、アパルタミド群は40.5ヵ月であったのに対して、プラセボ群では16.2ヵ月でした。MFSに対する効果は、すべてのサブグループに一貫してみられました1。
「前立腺がんの無転移生存期間を延長することは重要です。がんの転移が見つかると患者さんの健康面、精神面および予後のすべてが大きく変わります。ASCO GUで発表されたアパルタミドの結果は、アンメットニーズに対処するヤンセンの取り組みを明確に示しています」とヤンセン リサーチ & ディベロップメント社 研究開発部門グローバルヘッドのMathai Mammen(M.D., Ph.D.)は述べています。
アパルタミド群では、プラセボ群と比較してすべての副次的評価項目でも良好な結果がみられ、転移までの期間中央値(アパルタミド群40.5ヵ月、プラセボ群16.6ヵ月)、無憎悪生存期間中央値(アパルタミド群40.5ヵ月、プラセボ群14.7ヵ月)において有意な延長を認めました。アパルタミド群は、プラセボ群と比較して、症状が進行するリスクが55%減少しました(HR = 0.45、95%CI,0.32-0.63; p<0.0001)。また、全生存期間に関する中間解析においてアパルタミド群はプラセボ群と比較して、死亡リスクが30%減少しました1。探索的評価項目において、アパルタミド群ではプラセボ群と比較して、前立腺特異抗原(PSA:prostate-specific antigen)憎悪までの期間におけるリスク(HR = 0.06、95%CI:0.05~0.08、P<0.0001)が94%減少し、二次無憎悪生存期間(PFS2:second progression-free survival)におけるリスクも51%減少しました。
アパルタミド群とプラセボ群を比較したところ、治療下で発現した最もよくみられたグレード3および4の有害事象は、皮疹(アパルタミド群5.2%、プラセボ群0.3%)、転倒(アパルタミド群1.7%、プラセボ群0.8%)および骨折(アパルタミド群2.7%、プラセボ群0.8%)でした。有害事象により治療が中止された患者の割合は、アパルタミド群で11%であったのに対し、プラセボ群では7%でした。重篤な有害事象(SAE)の発現率は、アパルタミド群プラセボ群で同等でした(アパルタミド群25%、プラセボ群23%)。
非転移性去勢抵抗性前立腺がんについて
非転移性去勢抵抗性前立腺がんは、テストステロンを減少させる内科的、外科的去勢が有効ではなくなってきているにもかかわらず、骨スキャンやCTスキャンで他の身体部位に転移病変がみられない前立腺がんの病態のことを指します[2]。その特性には、検出可能な転移病変がないこと2、ADT中のPSAの急激な増加がみられず、血清テストステロン濃度が50 ng/dL未満であることが含まれます[3],[4]。非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の90%が最終的には骨転移を発現します。転移性去勢感受性前立腺がん、または、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者の5年相対生存率は約30%です[5],[6]。非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者における転移の発現を遅延または予防することが重要ですが、現時点でFDAにより承認されている治療薬はありません。
アパルタミドについて
アパルタミドは、研究段階にある次世代型の経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤であり、前立腺がん細胞のアンドロゲンシグナル経路を遮断します。アパルタミドはアンドロゲンがアンドロゲン受容体(AR:androgen receptor)に結合するのを阻害する、ARががん細胞内に移行するのを止める、ARががん細胞のDNAに結合するのを阻害する、という3つの方法でがん細胞の増殖を阻害します。
ヤンセンについて
ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンは、病気のない世界を実現するために日々努力しています。今までにない、より良い方法で疾患を予防・撲滅・治療・治癒し、人々の命に貢献することが私たちの望みです。そして、常に患者さんのことを考え、最も有望なサイエンスを追及しています。私たちヤンセンは、人々の希望と命を明日につなぐため、世界中とコラボレーションしています。さらに詳しい情報はwww.janssen.com/japanをご覧ください。
参考資料
[1] Small E., et all. SPARTAN, a phase 3 double-blind, randomized study of apalutamide (APA) vs placebo (PBO)
in patients (pts) with nonmetastatic castration-resistant prostate cancer (nmCRPC). Abstract #161.
[2] Scher HI, et al. Design and end points of clinical trials for patients with progressive prostate cancer and castrate levels of testosterone: recommendations of the Prostate Cancer Clinical Trials Working Group. J Clin Oncol. 2008;26:1148-1159.
[3] Scher HI, et al. Trial Design and Objectives for Castration-Resistant Prostate Cancer: Updated Recommendations From the Prostate Cancer Clinical Trials Working Group 3. J Clin Oncol. 2016;34:1402-1418.
[4] Virgo K, et al. Second-Line Hormonal Therapy for Men with Chemotherapy-Naïve, Castration-Resistant Prostate Cancer: American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion. Journal of Clinical Oncology. 2017; 0732-183X/17/3599-1. Accessed January 2018.
[5] Saad F, et al. Can Urol Assoc J. 2015;9(3-4):90-96.
[6] American Cancer Society. Survival Rates for Prostate Cancer. Available at: https://www.cancer.org/cancer/prostate-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html. Accessed January 2018.
【本件に関するお問合せ先】
ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部
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